2019年6月17日 更新

リクルート事件をわかりやすく解説!加戸守行は冤罪だったのか?

戦後の日本において、最大の汚職事件がリクルート事件。当時の社会背景・複雑な人間関係、加戸守行や森喜朗など多くの政治家が関わり、さらに事件そのものが冤罪だったのではと言われるなど、実に多様な顔を持っています。この日本最大の政治的汚職事件をわかりやすく説明します。

目次

真藤 恒(しんとう ひさし、1910年7月2日 - 2003年1月26日)は、日本の実業家。福岡県久留米市出身。石川島播磨重工業(現:IHI)の社長、電電公社の最終代総裁、NTT初代社長・会長を務めました。

リクルート事件で、同社事業への支援の謝礼として値上がり確実なリクルートコスモス(現:コスモスイニシア)非公開株1万株の譲渡を受けたことが発覚し、1988年12月12日にNTT会長を辞任。1989年3月6日にNTT法違反(収賄)容疑で元秘書ともども逮捕、東京拘置所へ収監されました。

真藤は当時78歳であり、高齢での逮捕は当時としては異例であったことが各メディアで伝えられたが、拘置所に収監された時の思い出として、初めて布団の上げ下ろしの仕方を看守から教えてもらったと語っています。

1990年10月9日、東京地裁において懲役2年、執行猶予3年、追徴金2270万円の有罪判決を言い渡され、その後、確定。そしてその罪を一切弁明せず、公職や経営の一線から身を引いています。

森喜朗は売却によって1憶円の収益を得ていた

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森 喜朗(もり よしろう、1937年(昭和12年)7月14日 ‐ )は、日本の政治家。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長。

1988年のリクルート事件で2度目の入閣間近という時に一時謹慎を余儀なくされます。 安倍にリクルートの江副浩正を紹介したのは森といわれており(森自身は否定)、晩年の安倍は森と距離を置いていました。森喜朗は、リクルートコスモスの未公開株3万株を、ファーストファイナンスから融資を受けて入手し、1憶円を超える利益を受けていました。

譲渡を受けた議員が所属する党

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リクルート事件が報道された当初は、政治家たちへの譲渡が、刑事事件になるとは誰もが思っていなかったし、違法だという意識もありませんでした。そのため、リクルートはマスコミの取材にも応じて、何事も包み隠さずに話しており、コスモス株を76人に譲渡したことを認めたのも、リクルート側でした。

その後刑事事件へと発展していきますが、多くの人に未公開株をばら撒いていたリクルート社であったため、譲渡を受けた議員が所属する党も一つではありませんでした。

自由民主党

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竹下登首相、長谷川峻法相、宮沢喜一蔵相、小渕恵三官房長官、原田憲経企庁長官、小沢一郎官房副長官、安倍晋太郎幹事長、渡辺美智雄政調会長、愛野興一郎前経企庁長官、中曽根康弘元首相、橋本龍太郎元運輸相、梶山静六元自治相、森喜朗元文相、中島源太郎元文相、砂田重民元文相、塩川正十郎元文相、加藤六月元農水相、大野明元労相、栗原祐幸元労相、山口敏夫元労相、坂本三十次元労相、藤波孝生元官房長官、加藤紘一元防衛庁長官、渡辺秀央元官房副長官、原健三郎前衆院議長、浜田卓二郎代議士、伊吹文明代議士など多くの人が譲渡されていました。

藤波は収賄容疑で在宅起訴され離党し、同じく強い関与が疑われた中曽根も離党。1989年(平成元年)4月に竹下(党総裁)が「国民に政治不信を招いた」として内閣総辞職を表明。有力議員の多くがリクルート事件の影響で後任に名乗りを上げることができず、同事件での竹下内閣の閣僚のなかで関連性が薄かった宇野宗佑外相が後継総理に就任し、宇野内閣が発足します。

しかし直後に宇野の愛人スキャンダルが発覚し、リクルート事件や消費税導入とのセットで逆風を受けた自民党は、東京都議会議員選挙では日本社会党に押され惨敗し、第15回参議院議員通常選挙では自民党結党史上初の参議院過半数割れを招く大敗を喫しました。

日本社会党

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日本社会党の上田卓三代議士が譲渡されていました。1988年にリクルート事件が発覚し、リクルートコスモスの未公開株の譲渡先の一人であったことが判明し、議員を辞職しましたが、折からの社会党の土井ブームなどによる追い風もあって2年後の衆院選で国政復帰しています。

また都議選では社会党が大勝し、参院選で公民連の3党との選挙協力などで40議席台の大台に乗せて圧勝(第2党)しました。 土井ブームにより、他の党に比べて事件の影響が少なく済んだ結果と言えます。

公明党

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公明党の池田克也執行部副書記長が未公開株を譲渡されていました。池田は、収賄容疑で在宅起訴され離党しています。1989年(平成元年)5月には矢野絢也委員長が明電工事件絡みで委員長を辞任し(その後最高顧問に就任)、後任の委員長に石田幸四郎副委員長が就任しました。しかし、参院選で強いはずの公明党も、事件の影響もあり、社民連(社会党、民社党、連合)の3党との選挙協力をしたにも関わらず得票率が過去最低を記録しました。

民社党

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民社党の塚本三郎中央執行委員長、田中慶秋国会対策副委員長が譲渡されています。塚本のリクルート関与疑惑が発覚し、佐々木良作顧問から辞任要求され、1989年(平成元年)2月に辞任し、後任の委員長に永末英一副委員長が就任します。(一部でこの執行部体制は、佐々木が野党共闘路線を視野に入れたと言われている)。

しかし参院選では事件の影響と社公連の3党の選挙協力などが原因で10議席台割れの惨敗となり、単独での議案提出権を失ったため、アントニオ猪木が当選したスポーツ平和党と統一会派を組みました(民社党・スポーツ・国民連合)。

リクルート事件の目的

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リクルート社が政界と深く結びついていたことは事実でしょう。政治家本人の指示か「秘書がやったこと」かは別にして、リクルート社が規模を大きくしていく過程で政界にコネを作っておくことは有利に働いたことは疑いありません。問題は、そのことが果たして悪いことなのかどうかです。

1980年代当時、関係者や親しい人・社会的に信用のある人々へ未公開株を買ってもらうのは、どこの企業でもやっていたことであり、むしろ証券業界では常識とも言えるものでした。ではなぜリクルート事件だけ違法とされたのか、そこには一罰百戒のようなみせしめの意味もあったのかもしれません。

政治的財界的地位を高めるため

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現在と比べてリクルート社はまだ規模がさほど大きくなく、成長途上の企業でした。バブル景気まっさかりの1988年という時代で、値上がりがほぼ確定しているリクルートコスモス社の未公開株をばらまくことはフェアではない、というマスコミの論調もあって、リクルート事件の判決は当時の多くの国民にとっては当然という風潮もありました。
創業以降順調に業績を伸ばした株式会社リクルートは、バブル期に銀座に自社ビルを建てるほどの成長を遂げていました。しかし勢いはあっても新興企業ということで、歴史ある大企業からは一線を画されており財界では浮いた存在だったといいます。そんな状況を変えるために政財界との交流を深めようとしていたことが、リクルート事件の背景にありました。

再開発事業のため

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1985年4月、川崎駅前のかわさきテクノピア地区への進出を決めましたが、当時は容積率が300%であり、採算が取れないはずでした。しかしリクルートが契約を結んだ1か月後に、川崎市がこの地域を「特定街区」に決めたため、容積率が700%までにアップ、リクルート側は20階建てのビルを建設できるようになりました。

この時、企画調整局長でテクノピア地区の開発を担当していたのが小松秀煕であり、リクルート側に便宜を図り、その見返りに未公開株を譲渡されたという「リクルート事件」へ結びつくのです。

捜査の流れ

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