2019年6月17日 更新

ホモフォビアの意味と原因とは?同性愛の歴史と日本で起きた事件

性について寛容と言われる日本でも多く存在する『ホモフォビア』という思想をご存じでしょうか。同性愛などの性的思考と関係が深いその言葉が生まれた歴史的背景や、原因について、また世界での捉え方も同時に触れて、性的志向への議論に関しても考えて行きます。

ホモフォビアの意味

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『同性愛』『LGBT』など、性に関する言葉は巷に多く存在しますが、今回取り上げる『ホモフォビア』についてはさほど認知はされていない印象があります。果たしてどのくらい世の中に浸透しているのでしょうか。

この言葉の意味について理解すると共に、多様に存在する性的志向や、その中で育まれてきた世界で起きた歴史的な出来事について触れることで、『同性愛』『ホモフォビア』に対する人々の捉え方や認知について理解していきます。

同性愛者に対する恐怖感・嫌悪感

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一般文献でホモフォビアとは、『同性愛嫌悪。同性愛や同性愛者に対し否定的な価値観のこと』と記されています。同性愛や同性愛者に対して抱く偏見的感情を意味しています。また、過去の歴史から、宗教的教義などに基づいて同性愛に否定的な価値観を持つこと、とも言われています。

その根源には、一般的な性的志向とは異なる価値観を、認めて受け入れる事に対する『恐怖感』がある一定の人の中に存在している事を意味していると感じます。

日本語では同性愛憎悪・同性愛恐怖

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語源としては『嫌悪』と言った次元でとらえられているホモフォビアですが、日本語では否定的な感情がより強く認識されている傾向があり、憎悪や拒絶、恐怖といった、いわば『相手の尊厳をおとしめる』『相手の存在を受け入れたくない』と言った強い拒否感情から、一緒に生きていくこともできない意思を表しているとも考えられます。

「共存することも認めたくない」といった強い意志が垣間見えるのが、『日本語でのホモフォビア』となっています。

ラテン語「homo」+ギリシア語「phobia」

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元々『ホモフォビア』という言葉は、「人間に対する嫌悪や恐怖」という広義に解釈されていました。ラテン語で人間を意味する 『homo』 と、ギリシア語で恐怖を意味する『phobia』が起因と言われていますが、現代ではほとんど使用されていません。

1969年のタイム誌において心理学者のジョージ・ヴァインベルクが、現在の意味として主流である、ホモセクシャルの 『homo-(同じ)』と解釈し現在の意味に繋がっています。

同性愛の歴史

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最近では『LGBT』の表現もスタンダードとなり、同性愛についても、比較的寛容になっている国も増えていますが、世界の永きに渡る歴史の中では宗教的観点や時の指導者の考え方に左右され、国家によっては今でも非常に差別的な扱いを受けていたり、犯罪と認識されている国も多く存在します。

ここからは、歴史的な文献などでどのようにして同性愛が残っているか、また、現代社会で受け入れられるまでの流れなどについて解説していきます。

紀元前25世紀史上最古の同性愛の記録

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紀元前25世紀から24世紀、カーヌムホテップとニアンカーカーヌムという男性がいました。彼らは、エジプト第5王朝のファラオの宮殿に仕え、後に共同墓が建設されました。この2人の男性は、恋人同士との説があり、史上最古の同性愛関係の記録と考えられています。

彼らの名前(クヌム神から授かった名前)は言葉の上でも親密な関係を示しており、ニアンカーカーヌムの意味は「生との結びつき」を意味し、カーヌムホテップは「死に際しての祝福との結びつき」を意味します。二人の名前を繋げて訳すと「生の結びつきと死の結びつき」となります。

紀元前27年に史上初めての同性結婚

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その後、古代ギリシャを中心にゲイやレズビアンの存在が記録されていますが、それらは全て「恋愛関係」であり「婚姻関係」ではありません。そして、『同性結婚』が、歴史上初めて記録されたのが紀元前27年のこと。ローマ帝国アウグストゥスの治世の中で、同性同士の婚姻が行われたと残っています。

結婚した人の名前や身分など詳細はほとんど残っていませんが、かなりの昔から同性同士の恋焦がれる思いというものが存在していたことがわかります。

キリスト教の普及によって同性婚が禁止され始める

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同性愛は古代文化では人間の性として受け入れられていましたが、キリスト教が広まるにつれ、『ホモフォビア』が始まります。342年に同性結婚を禁止する最初の法令がキリスト教徒の皇帝コンスタンティウス2世とコンスタンス1世によって発布されます。

390年キリスト教徒の皇帝ウァレンティニアヌス2世、テオドシウス1世、およびアルカディウスが、同性間の性交は違法であり、有罪の者は公衆の面前で生きたまま火炙りの刑に処すとの宣言を行いました。
その後もキリスト教の政治の中で主に男性の同性愛を禁止する法が制定され、迫害する規定が生まれました。

日本では平安時代から存在が確認されている

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日本での同性愛も古代からあったとされていますが、文献などではっきりと残されているのは主に平安時代からと言われています。仏教の広まりと共に寺院での男色も広まったと考えられています。

平安時代末期には男色の流行が公家にも及び、その片鱗は、複数の男色関係を明言している藤原頼長の日記『台記』に記され、また源義経と、弁慶や佐藤継信・佐藤忠信兄弟との主従関係にもその片鱗を見出す説があります。

「女人禁制」の場にいることが多い僧侶や公家の間で「主従関係」や「売買関係」を利用した性欲処理目的の男色が奈良時代以降、平安時代、室町時代と広まっていきました。

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