2019年6月2日 更新

リンゲルマン効果の原因と改善方法とは?類似した傍観者効果についても

リンゲルマン効果は社会的手抜きとも呼ばれ、集団行動の中で必ず起こりうる心理現象です。しかし、だからと言って放っておくと、組織のパフォーマンスの低下につながってしまいます。リンゲルマン効果はどうして起こるのか、改善する方法はあるのか、ご説明しましょう。

小学生の時などに、「女子はまじめ、それに引きかえ男子は…」などと先生が怒るのを聞いたことはある人も多いのではないでしょうか。でも、男子の中にもまじめな子はいますし、女子の中にもふざけてばかりいる子はいるはずです。

それなのに、一人ひとり個性ある子供たちを、「女子」と「男子」という集団にまとめ、それぞれ「まじめ」、「ふざけている」という固定観念(ステレオタイプ)で見てしまっているのです。

この「ステレオタイプ」がリンゲルマン効果に影響を与えている可能性を、いくつかの実験が示しています。例えば、「女性は一般に男性より数学が苦手である」という俗説を知っている女性は、結果として全体的に数学のテストの点が悪くなります。
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また、「加齢に伴って認知能力が低下する」というステレオタイプを高齢者に意識させてから記憶能力テストをすると、やはり成績が悪くなるそうです。

このことから、集団パフォーマンスに性別や年齢の差が見られる場合、それは自分たちの集団に対して抱かれているステレオタイプに影響されているのではないかとも考えられています。

ラタネとハーディの実験

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ラタネとハーディーは、集団と個人で人のパフォーマンスがどのように変わるのかを調べるため、次のような実験をおこないました。

チアリーダーをしている女子高生たちを集め、「大声を出しながら手をたたくというパフォーマンスをどれだけできるか確かめたい」と告げます。そして2人1組にして部屋に入れ、2人の間をついたてで仕切り、ヘッドフォンと目隠しをつけ、周りの情報が何も分からないようにしてからパフォーマンスをしてもらいます。

しかし、ある人は「隣の人も一緒にパフォーマンスをしている」と言われ、またある人は「あなただけがパフォーマンスをしている」と教えられます。
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その結果、「隣の人も一緒にパフォーマンスをしている」と思っている人は、「一人でパフォーマンスをしている」と思っている人の音量の94%しか出していませんでした。

しかもいずれの場合も「自分も相手も全力を尽くした」という意識を持っていたのです。この実験により、人は集団になるとパフォーマンスが落ちること、またそれは無意識のうちに生じる場合があることが分かりました。

Eテレの「大心理学実験」

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Eテレで2015年1月に放映された「大心理学実験」では、様々な心理を面白い実験で検証しています。その中で取り上げられたリンゲルマン効果に関する実験をご紹介しましょう。

トラック引きの挑戦

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まず重さおよそ12トンのトラックが用意され、ロープが取り付けられます。このロープとトラックの連結部分には計測器があり、トラックの運転席にあるモニタで、ロープがどれだけの力で引っ張られたか確認することができます。また、どれだけ引っ張っても、トラックは動かないようになっています。

5人一組のチームが呼ばれ、彼らは「トラックを引っ張る実験」とだけ説明を受け、トラックに結ばれたロープを引っ張ります。チームは3種類で、ボディービルダー、高校生のサッカー部員、綱引き連盟のメンバーです。

彼らはまず一人ずつロープを引っ張り、続いて3人で、最後に5人全員でロープを引っ張ります。各実験において、一人当たりの力を調べると、以下のような結果が得られました。

一般人の結果

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ボディービルダーは隆々たる筋肉で力強くロープを引っ張り、高校生サッカー部員は自慢の脚力で一気に走ってトラックを動かそうとしました。

結果としては、やはり人数が多くなればなるほど一人当たりの力は下がる、リンゲルマン効果が見られました。綱引きの経験はあまりないとは言え、力や根性は普通の人よりあると思われる彼らでも、社会的手抜きが生じてしまったのです。

これはリンゲルマン効果ももちろんですが、トラックが全く動かないことによるモチベーションの低下もあると思われます。

その道のプロの結果

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では、綱引き連盟のメンバーはどうでしょうか。なんと3人になっても5人になってもリンゲルマン効果は起こらず、一人当たりの力を維持できているという結果となりました。

もちろん彼らが引っ張ってもトラックは動きませんが、それでもモチベーションは下がらず、変わらない力でロープを引っ張り続けられたのは驚くべきことです。

これは、先ほど大阪大学の大学生を対象としたクレペリン検査を用いた実験でリンゲルマン効果が見られなかったのと同じように、例え社会的評価が得られなくても自身のプライドのために全力を尽くすという動機付けの強さのためだと考えられます。

チアリーダーを配置した結果

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実験の最後に、チアリーダーの可愛い女の子たちが登場しました。ボディービルダーのチームが彼女らの元気いっぱいの応援を受けながらロープを引っ張ったところ、リンゲルマン効果は起こらず、力は維持されました。注目されること、可愛い女の子に声援を受けることでモチベーションが維持できたのだと考えられます。

また、サッカー部のチームが挑戦したときは、特定の部員だけを応援しました。するとその一人の部員の力は維持されましたが、他の4人の部員の力は前の実験よりもさらに下がってしまいました。注目されないことが自己意識の低下につながり、リンゲルマン効果の程度が大きくなってしまったのでしょう。

リンゲルマン効果の改善方法

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リンゲルマン効果を0にすることはできませんが、ある程度抑制することは可能です。リンゲルマン効果を抑制し、集団のパフォーマンスを向上させる方法をご紹介しましょう。

外からの動機付けが必要

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「動機付け(モチベーション)」は人に行動を起こさせ、目標に向かわせる心理的な過程のことを言います。動機付けには内発的なものと外発的なものがあり、「良い成績が取れたら達成感があるので頑張る」というように、自分自身の心から生まれるのが内発的動機付け、「良い成績が取れたらお小遣いがもらえるから頑張る」というように、報酬や罰の回避といった外側からの要素によって起こるのが外発的動機付けです。

リンゲルマン効果を改善するためには、集団の目標に対する動機付けが有効です。要するにやる気があれば手を抜かないので、リンゲルマン効果は起こりづらくなります。リンゲルマン効果に対する対策としての動機付けを、まずは外発的なものからいくつかご紹介します。

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