目次
- リンゲルマン効果って何?
- リンゲルマン効果の意味
- リンゲルマンの実験
- 実験内容
- 実験の結果
- リンゲルマン効果の別名
- フリーライダー現象
- 社会的怠惰
- 何故リンゲルマン効果が起るのか
- 集団の陰に隠れる
- 優秀な集団の中に所属している場合
- 努力をしない集団に所属している場合
- 自己の意識の性能の低下
- 集団の中では個人への責任度合いが低い
- メンバー間の調整の難しさによる生産性低下
- 他に行われた検証や実験
- 文化の差
- ステレオタイプの存在
- ラタネとハーディの実験
- Eテレの「大心理学実験」
- トラック引きの挑戦
- 一般人の結果
- その道のプロの結果
- チアリーダーを配置した結果
- リンゲルマン効果の改善方法
- 外からの動機付けが必要
- 金銭的報酬を与える
- ある程度の責任感を持たせる
- チームワークを強める
- 組織の編成やメンバーを見直す
- 自分がリンゲルマン効果に陥らないためには
- 知らず知らずのうちに手抜きをしているかも
- 人の視線を常に気にする
- 自分ひとりの作業量を明確化する
- リンゲルマン効果に似た傍観者効果
- 傍観者効果とは
- 傍観者効果の原因
- 傍観者効果の実際の事件
- 傍観者効果の改善方法
- 事業を始める場合において重要なリンゲルマン効果
リンゲルマン効果に類似した現象として、傍観者効果というのも知られています。併せてご説明しましょう。
傍観者効果とは
傍観者効果とは、ある出来事を同じ場所にいる複数の人が目撃したときに、何らかの行動を起こさなくてはならないにも関わらず、誰もが行動を起こさない(傍観する)現象を表す心理学用語です。
集団を構成する個人一人ひとりの性格や社会的地位に影響を受けることもありますが、基本的には集団が大きくなればなるほど、傍観者効果も大きくなります。
集団でいることによる「手抜き」、「怠け」という点では、リンゲルマン効果と似ていると言えます。傍観者効果も、社会生活を営む人間だからこそ起こる現象なのです。
集団を構成する個人一人ひとりの性格や社会的地位に影響を受けることもありますが、基本的には集団が大きくなればなるほど、傍観者効果も大きくなります。
集団でいることによる「手抜き」、「怠け」という点では、リンゲルマン効果と似ていると言えます。傍観者効果も、社会生活を営む人間だからこそ起こる現象なのです。
傍観者効果の原因
傍観者効果が起こる原因としては、主に次の3つが挙げられます。
1.多元的無知:人は何らかの出来事に遭遇した時、周りの人の反応を見て、その緊急性の程度を計ろうとします。しかしそれは皆同じなので、お互い「この人が落ち着いているから大丈夫だろう」と考え、緊急性はないだろうと判断してしまいます。
2.責任分散:周りにたくさんの人がいると、「誰かがやってくれるだろう」と考えて行動しないことがあります。つまり、集団の中で責任が分散してしまいます。
。
3.評価概念:人は集団の中で行動した時に、その結果が周囲からネガティブな評価を受けることを恐れます。例えば、街中で男性2人が罵りあっているのを止めたら、単なる友達同士のふざけ合いだったなどという時に、その男性たちや周りの人に「ヒーローになったつもり?ウザい」とネガティブな評価を受けます。行動を起こす前にそのようなことを想像してしまい、行動できなくなるのです。
1.多元的無知:人は何らかの出来事に遭遇した時、周りの人の反応を見て、その緊急性の程度を計ろうとします。しかしそれは皆同じなので、お互い「この人が落ち着いているから大丈夫だろう」と考え、緊急性はないだろうと判断してしまいます。
2.責任分散:周りにたくさんの人がいると、「誰かがやってくれるだろう」と考えて行動しないことがあります。つまり、集団の中で責任が分散してしまいます。
。
3.評価概念:人は集団の中で行動した時に、その結果が周囲からネガティブな評価を受けることを恐れます。例えば、街中で男性2人が罵りあっているのを止めたら、単なる友達同士のふざけ合いだったなどという時に、その男性たちや周りの人に「ヒーローになったつもり?ウザい」とネガティブな評価を受けます。行動を起こす前にそのようなことを想像してしまい、行動できなくなるのです。
傍観者効果の実際の事件
傍観者効果という心理現象を明らかにしたのが、1964年にニューヨークで起こったキティ・ジェノヴィーズ事件です。当時28歳のキティ・ジェノヴィーズは、午前3時ごろ勤め先から帰宅し、アパートの駐車場に車を停めたところで、暴漢に襲われました。
暴漢は何度もキティの背中をナイフで刺し、キティは「助けて!」と悲鳴を上げながら逃げました。その声を聞いて多くの住人が事件を目撃しました。その中の一人が「彼女を放せ!」と叫び、暴漢は一旦立ち去りました。この時点で、通報した人は誰もいませんでした。
暴漢は何度もキティの背中をナイフで刺し、キティは「助けて!」と悲鳴を上げながら逃げました。その声を聞いて多くの住人が事件を目撃しました。その中の一人が「彼女を放せ!」と叫び、暴漢は一旦立ち去りました。この時点で、通報した人は誰もいませんでした。
しかし、暴漢は再び戻ってきて、キティをさらに刺しました。キティは大声を上げましたが、やはり誰も通報しませんでした。一人通報しようとした人はいましたが、妻に「もう誰かがとっくに通報しているわよ」と諫められてしまいます。暴漢はこの時点でまた立ち去りました。
そして三たび戻ってきて、キティをレイプし、お金を盗んで立ち去ったのです。この後通報され、救急車が来ましたが、キティは病院に運ばれる途中で絶命しました。事件発生から通報までに、30分以上の時間を要していました。
事件の目撃者は38人。彼らは通報しなかった理由について、「恐ろしくて動けなかった」、「事件に巻き込まれるのが怖かった」、と語る他、多くの人が「なぜか分からない」とも答えています。集団でいることにより、本人にも分からないような心理的効果が生じたことが分かります。
そして三たび戻ってきて、キティをレイプし、お金を盗んで立ち去ったのです。この後通報され、救急車が来ましたが、キティは病院に運ばれる途中で絶命しました。事件発生から通報までに、30分以上の時間を要していました。
事件の目撃者は38人。彼らは通報しなかった理由について、「恐ろしくて動けなかった」、「事件に巻き込まれるのが怖かった」、と語る他、多くの人が「なぜか分からない」とも答えています。集団でいることにより、本人にも分からないような心理的効果が生じたことが分かります。
傍観者効果の改善方法
傍観者効果は、集団の中において個人個人が、緊急事態が本当に起こっているのか、行動する責任が自分にあるのかを確信できないことによって起こります。
実際に指導されている、人が倒れていた時の救命法を例として挙げてみましょう。まず人が倒れていたら、発見者は意識があるか確認し、「人が倒れています!」と声を上げます。緊急性があるかどうかを確認し、周りの人に認識させるのです。
実際に指導されている、人が倒れていた時の救命法を例として挙げてみましょう。まず人が倒れていたら、発見者は意識があるか確認し、「人が倒れています!」と声を上げます。緊急性があるかどうかを確認し、周りの人に認識させるのです。
そして、周りの人に「あなたは救急車を呼んでください、あなたはAEDを持ってきてください」と指示します。名前を知っている場合は名指しします。「誰か」ではなく「あなた」と指名されることでその人は集団から切り離され、個人としての責任感を持ちます。
誰かが率先して動き、緊急性と責任の所在を明らかにすることで、傍観者効果は起こりづらくなります。その最初の「誰か」になる勇気を、一人ひとりが持ちたいものです。
誰かが率先して動き、緊急性と責任の所在を明らかにすることで、傍観者効果は起こりづらくなります。その最初の「誰か」になる勇気を、一人ひとりが持ちたいものです。
事業を始める場合において重要なリンゲルマン効果
リンゲルマン効果は集団のパフォーマンスを下げる悪しき集団心理と思われています。しかしその反面、生きるために必要なことでもあります。
例えば、シマウマについて考えてみてください。シマウマは群れを作ることにより、外敵への警戒心を強めています。そして他の仲間が見張りをしている間に、食事をしたり休息したりすることができます。それを「怠けている」と言えるでしょうか。
いつも独りで緊張し全力で生きていると、心身共に消耗が激しくなります。集団の中で仲間の力を意識し、適度に頼ることにより、無駄なエネルギーの消費を抑えることができます。長い目で見ると、その方がずっとパフォーマンスは上がるはずです。
例えば、シマウマについて考えてみてください。シマウマは群れを作ることにより、外敵への警戒心を強めています。そして他の仲間が見張りをしている間に、食事をしたり休息したりすることができます。それを「怠けている」と言えるでしょうか。
いつも独りで緊張し全力で生きていると、心身共に消耗が激しくなります。集団の中で仲間の力を意識し、適度に頼ることにより、無駄なエネルギーの消費を抑えることができます。長い目で見ると、その方がずっとパフォーマンスは上がるはずです。
リンゲルマン効果は「悪」ではなく、社会性の表れです。人は面白いもので、一人ひとり個性を持った個人が集団になると、また集団としての性格を持つようになります。それが吉と出るか、凶と出るかは、その集団全体の目標への動機付けの強さが影響します。
事業を始め、人を束ねる立場になったら、一人ひとりの個性を見極めるとともに、その個性が集った集団がまたどのような個性を持つのかを掴むことが大切です。
そして長期的展望のもと、集団のパフォーマンスを最大にする方法を考えていかなくてはなりません。茨の道ですが、時々は怠けながら、人に甘えながら歩んでいきましょう。それが人間というものなのですから。
事業を始め、人を束ねる立場になったら、一人ひとりの個性を見極めるとともに、その個性が集った集団がまたどのような個性を持つのかを掴むことが大切です。
そして長期的展望のもと、集団のパフォーマンスを最大にする方法を考えていかなくてはなりません。茨の道ですが、時々は怠けながら、人に甘えながら歩んでいきましょう。それが人間というものなのですから。
5 / 5