2019年6月2日 更新

リンゲルマン効果の原因と改善方法とは?類似した傍観者効果についても

リンゲルマン効果は社会的手抜きとも呼ばれ、集団行動の中で必ず起こりうる心理現象です。しかし、だからと言って放っておくと、組織のパフォーマンスの低下につながってしまいます。リンゲルマン効果はどうして起こるのか、改善する方法はあるのか、ご説明しましょう。

金銭的報酬を与える

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仕事をしている方は、「あと〇円給料が高かったら、もっと頑張るんだけどな」と思ったことがあるのではないでしょうか。給料やお小遣いなど、金銭的な報酬を与えることは、動機付けを強めるのにとても有効です。

しかし、金銭的報酬は時に内発的動機付けを弱めてしまうことがあります。解くだけで面白い(内発的動機付けが強い)パズルを使った実験では、パズルを解くたびにお金(1ドル)をあげるようにすると、お金をもらえる人はもらえない人より熱心にパズルに取り組まない傾向が見られました。
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また、金銭的報酬の高さに見合わないくらい作業が簡単だったり少なかったりすると、作業そのものをつまらないと思うことが、実験により示されています。逆に言うと金銭的報酬の低い作業は、作業自体に魅力を見出さないといけないため、面白いと思う(内発的動機付けが高まる)のです。「やりがいの搾取」もこのような人の心理を利用したものかもしれません。

金銭的報酬が動機付けに有効なのは、努力と報酬の関連性が明確な場合です。社員の仕事の成果に応じて昇給や昇格をおこなう「成果主義的評価制度」は外発的動機付けを強める理想的な手段と言えます。ただし、うまく制度が機能しなかった場合、個人の不満や集団内の軋轢を生み出す恐れもあります。金銭的報酬は効果も高いですが、使い方を誤ると害となる諸刃の剣です。

ある程度の責任感を持たせる

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リンゲルマン効果が起こる理由の一つに、責任の分散があります。「自分がやらなくても誰かがしてくれるだろう」と考え、手抜きをしてしまうのです。責任感を持たせるには、組織を細かく分割して責任の分散を小さくしたり、一人ひとりに他のメンバーがやらない固有の仕事を担当させたりすると良いでしょう。

しかし、組織や仕事を細かく分け過ぎると、集団内でのすり合わせが難しくなり、パフォーマンスの低下を招くことになります。また、仕事の担当を細かく決めた時、割り振った仕事が個人の処理能力を超えている場合は仕事が遅れ、集団から責められることになります。

逆に簡単過ぎる場合はモチベーションの低下を招き、却ってリンゲルマン効果が強化されます。組織の編成や仕事の割り振りは、集団と個人両方の性格を十分に考慮した上でおこなわなくてはなりません。

チームワークを強める

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陸上リレーやサッカーのチームを対象とした実験により、まとまりの強い集団では、リンゲルマン効果が起こりにくいことが分かっています。また、被災した時に、お互いに顔も名前も知らない都会より、もう三代も前からの知り合いだ、というような田舎の方が、住民がお互いに助け合うというのは良く聞かれる話です。

普段からコミュニケーションを活発にし、チームワークを強めることで、集団行動に対する動機付けを高め、リンゲルマン効果を抑えることができます。
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しかし、絆が強いとそれを乱したくないあまりに、意見の食い違いを避け、お互いに同調してしまうこともあります。その結果、集団活動によって愚かな結論が導き出されることがあります。これを集団浅慮と言います。

単なる「慣れ合い」ではなく、率直に意見を言い合うことができ、一つの結論が出たらそれをメンバー全員の目標とできる関係が理想的です。

組織の編成やメンバーを見直す

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先ほど、怠け者も組織に役立つとご説明しましたが、やはりその怠け者(自分の利益を優先し、集団の利益をないがしろにする自己中心的な人物)が集団の中にいた場合、その影響が集団全体に広がり、集団全体が怠け者になってしまう恐れもあります。これを「腐ったリンゴ効果」と言います。

この問題に対する最もストレートで効果的な対策は、腐ったリンゴ、つまり怠け者の排除です。しかし、一度集団に入ったメンバーを、そう簡単に追い出せないのも世の常です。会社が「やる気のある人間を求む」と求人広告を出すのも、最初から腐ったリンゴを集団内に入れまいとしているからかもしれません。

自分がリンゲルマン効果に陥らないためには

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これまでは主に「外側」からやる気を出させる方法についてご紹介してきましたが、集団内にいる個人個人が、自分自身で気をつけられることはないのでしょうか。今度は自分の「内側」からやる気を出させるための方法をご紹介しましょう。

知らず知らずのうちに手抜きをしているかも

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ラタネの実験であったように、社会的手抜きが生じていても、本人はそれを意識していないことが多いです。もし、自分は仕事を一生懸命しているつもりでも、実は知らず知らずのうちに手抜きをしていることもあり得ます。

人は集団の中では手抜きをすることを知り、「今、自分はどうか?手抜きをしてないか?」と常に意識することによって、リンゲルマン効果を抑えることができます。

しかし、いつも全力疾走だと疲れてしまいます。時には手抜きも必要だということも受け入れ、アクセルとブレーキを上手に使い分けられるようにしましょう。

人の視線を常に気にする

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リンゲルマン効果は、自分に注目する他者の存在によって軽減されます。人に見られることによって達成すべき目標値を意識し、パフォーマンスが上がるためです。ごみを捨ててはいけない場所に目玉の描かれた標識が置かれていることがありますが、まるで人に見られているような緊張感を与え、ルールを守る意識を呼び起こす効果があります。

もし手抜きをしそうになったら、周りの人の視線を気にするようにすると緊張感が持続できます。職場で「今日までに会議資料を作り上げる」、サッカーの試合で「今日は最低2回はゴールを決める」などと宣言するのも良いでしょう。

自分ひとりの作業量を明確化する

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集団活動の中において自分がどの部分を担っていて、全体の目標達成にどれだけ貢献できるかを知っておくと、モチベーションが保て、リンゲルマン効果は起こりにくくなります。

チームでひとつの仕事をしている場合は、カテゴリごとに仕事を分け、各担当を決めるよう提案すると良いでしょう。そして、自分がおこなう作業の量と内容を明確化し、その作業がどれだけ役に立つかを意識するようにしましょう。それがモチベーションの維持につながり、リンゲルマン効果を改善することができます。

リンゲルマン効果に似た傍観者効果

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