2019年10月5日 更新

自由意志とは?カントやデカルトの自由意志に対する考えについても

自由意志とはどのような存在のことを言うのでしょうか。哲学者のカントやデカルト、アウグスティヌスの考え方を紹介していきます。その他、自由意志がないとする反対の立場の決定論や責任論など、分かりやすく解説していくので参考にしてください。

目次

他にも現在存命中の科学者たちが自由意志に関する意見を主張しているのはたびたび見かけるでしょう。ここでは物理学者であるミチオの見解も紹介していきます。

物理学者ミチオ・カク

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物理学者のミチオ・カクは日系アメリカ人の三世として1947年に生まれました。素粒子論や超弦理論を専門とする理論物理学者ですが、作家としても活躍し多くの著作を出版してベストセラーにもなっています。

高校時代に理論物理学者のエドワード・テラー(1908-2003)の影響を強く受け、2019年現在はプリンストン大学とニューヨーク大学の講師として活躍しています。いわゆる弦の場の理論の創始者の一人としても知られていて、テレビで解説者として顔を見たことがある人も多いのではないでしょうか。

決定論が正解であれば大量虐殺者もまた数百年前から決まっている

Skulls Genocide Murder - Free photo on Pixabay (686743)

ミチオ・カクは決定論を否定しています。彼によれば、決定論が正解であれば歴史に名を残すような大量虐殺者も彼ら自身が生まれる数百年前から既に存在することが決定されていることになります。しかし、彼らの存在を肯定するのは神の立場としては考えづらいものになります。

「決定論は神がこの世の全てを知っている」という理論が大量虐殺者の存在によって否定されるため、ミチオ・カクも決定論を否定する立場を取っているのです。

電子には不確実性が存在する

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「神は世の中を見ているだけで影響を与えない」という意味で「神はサイコロを振らない」という言葉をアインシュタインは残しています。これを分析すると「神は大量虐殺者を許しはしないが人間の世界に介入しないため、大量虐殺者の存在が決定論を否定することにはならない」と考えることもできるでしょう。

しかし、ミチオ・カクも量子力学のように「電子の位置に不確実性が存在している」という点からも決定論を否定しています。電子の位置がいつも動いていることから神はそれを認知できない、つまり神の存在を肯定する決定論は間違っているという主張を持っています。

誰も自分の未来を決定することはできない

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では、ミチオ・カクは人間の未来についてどのような知見を持っているのでしょうか。それは彼の著作である「フューチャー・オブ・マインド」の中に少し書かれています。

「フューチャー・オブ・マインド」では人間の心をテーマに最新の科学での分析を行っています。本の中で彼は、新しい技術によって未来は大きく変動するため誰も自分の未来を決定することはできないが、それでも未来は人間の知恵や意思によってより良いものへと変化させることができると説いています。

自由意志への見解【デネット】

Brain Electrical Knowledge - Free image on Pixabay (686746)

現代のように人間の脳をスキャンできるような技術が発達していると、既に自由意志の有無や決定論に関する考え方は哲学の分野だけで分かるものではありません。哲学以外にも脳科学などの多様な分野の知識が必要になってくるでしょう。最後にデネットという認知科学者の自由意志への見解を紹介していきます。

認知科学者ダニエル・クレメント・デネット

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認知科学者ダニエル・クレメント・デネットは1942年にアメリカに生まれました。哲学者や著述家、認知科学者としても活躍しながら、特に進化生物学や認知科学の分野で大きな功績を残している人物として知られています。

彼は自由意志に関しても多くの知見を残しており、それは主に彼の著作の一つである「Brainstorms」の中で知ることができます。1978年に出版された本なので科学技術に関する点は現代よりも遅れている内容もありますが、一度読んでみるのも良いのではないでしょうか。

決定論は「必然」と密接に繋がっている

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デネットによれば、決定論と自由意志はどちらかしか成立しないものではありません。自由意志も決定論も両立するものと考える「両立主義者」という立場がデネットの主張する立場です。

ニュートンのように人間の行動を含めて全ての未来が決定しているという主張をデネットはしていません。しかし、たとえば「夜更かしをした翌日は身体が重い」や「周りの人に意地悪ばかりしていると孤立する」のように「自らや周りの行動によって必然的に起こること」は確実に存在しているとするのがデネットの主張です。

物事は「必然」と「偶然」に分けることができる

Railroad Tracks Railway - Free photo on Pixabay (686749)

決定論で全てを定義することができないのと同じように、自由意志だけで全てを定義することができないというのもデネットらの主張する両立主義の説です。デネットによれば、物事は全て「必然」と「偶然」に分けることができます。

「徹夜の翌日に身体が怠い」というのは決定論的な必然に分類することができるでしょう。一方で「テレビや雑誌に影響されることなく適当に入ったカフェで運命の人に出会う」などの事象は、決定論ではなく偶然の産物であると分類することができます。

自由意志や決定論にはパラドックスが存在していると説く

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「偶然」は全て自由意志の産物であり、「必然」は全て決定論の産物であるというような簡単な説は成立しません。自由意志にも決定論にもパラドックスが存在しているというのはデネットの説の一つです。

パラドックスとは簡単に言えば「矛盾」と訳すことができます。複数の妥当な前提から導き出された結論が明らかに間違っている場合、妥当とされる前提が間違っていることが後から判明したり、実は推論が誤っているなどの事象を「パラドックスが生じている」ということができます。

このパラドックスによると「自分が望んだから適切な行動をしたはずなのに望まない結果が出てしまった」などは、そもそもの自由意志が誤っていたり正しいはずの行動が誤っていたなどの状況を想定することができるでしょう。

人間の意思とはなんなのか

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