2019年10月5日 更新

自由意志とは?カントやデカルトの自由意志に対する考えについても

自由意志とはどのような存在のことを言うのでしょうか。哲学者のカントやデカルト、アウグスティヌスの考え方を紹介していきます。その他、自由意志がないとする反対の立場の決定論や責任論など、分かりやすく解説していくので参考にしてください。

目次

物理学者として活躍する中でも特に力学の分野に多大な影響を与えたニュートンは、この世の物体に関しても物理学的な知見からアプローチをしていました。飛んでいるボールに衝撃を与えれば落下させたり軌道を変えたりするのが容易なように、ニュートンはこの世の全ての物体の運動は理論的に説明できると主張しています。

動いている物体に衝撃を与えて運動の状態を変えることはもちろん、現在静止している物体に関しても衝撃を与える角度や衝撃の強さによってどのような運動をするのか分かるというのがニュートンの意見です。

物体の状態が詳しく分かれば未来の状態も完璧に予測できる

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同じ力で物体に衝撃を与えても、物体の重さや材質によって物体の反応は変わります。たとえば同じ力を与えてもティッシュなら簡単に破ることができるのに分厚い辞書は傷一つつかないということは日常生活の中でもイメージしやすい例なのではないでしょうか。

このことから、ニュートンは未来の状態を完璧に予測するために必要なのは物体の状態自体だと結論付けました。そこにある物体と刺激の全ての状態や力の大きさが分かれば未来の予測も不可能ではないとしたのです。

人間もまた物理的な物体の寄せ集めである

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上記の説明を読み、ティッシュや辞書と人間は全く異なるので見当外れだと考える人も多いのではないでしょうか。しかし、ニュートンの論に則ると人間も物理的な物体の寄せ集めでしかありません。目を動かすのも手を動かすのも、脳からの刺激による反応の結果でしかないというのがニュートンの主張です。

そのため、ニュートンの考えに基づくと、人間も物理的な物体の寄せ集めに過ぎないので予測はかなり複雑になるが、人間の将来を予測することも不可能ではないということになります。

世界の全ては初めから決まっている

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このニュートンの考え方を掘り下げると、世界に起きる全ての事象はなんらかの刺激の反応でしかないということになります。日常生活における些細な変化も国際社会を揺るがることも、なんらかの刺激に反応した結果でしかありません。また、その刺激も急に発生するのではなく過去からの刺激の反応だとニュートンは考えました。

そのため、ニュートンの考えでは世界中で起きている全てのことは初めから決まっていることになります。人間の行動や感情も全て過去の反応からの結果に過ぎないと考えることができるでしょう。

決定論と呼ばれる

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このニュートンの考え方を読み、ニュートンは自由意志よりも決定論に近い考え方を持っているという印象を抱く人も多いのではないでしょうか。実際、過去の事柄が未来に影響を及ぼして既に未来を決めているというニュートンの考え方は、後世の人々によって「自由意志を否定した決定論である」と言われています。

特に、過去の因果が全て未来を決定しているという考え方になるので、同じ決定論の中でも確率的決定論ではなく因果的決定論に近い考え方をニュートンは持っていたのでしょう。

ラプラスの悪魔

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「昨日夜更かししたから今日は眠い」というのも因果的決定論の一つの例ですが、さらにそれを拡大していくと「宇宙が発生した当時から未来永劫の出来事は決定している」と考えることもできます。この考え方は「ラプラスの悪魔」と呼ばれ、フランスの数学者であるピエール=シモン・ラプラスによって提唱されました。

このラプラスの悪魔は「過去の全てを知っている神と呼ばれる存在は未来を予知できる」という意味を持つ主張となります。この主張は19世紀の物理学者にとって大きな命題となりました。

決定論もまた覆る

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「神」の存在を肯定したことによって「人間は認知できないだけでこの世のことは全て決まっている」と主張した決定論ですが、実はその決定論も完全な理論ではありませんでした。どのような経緯で決定論が覆されたのか解説していきます。

量子力学

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高校や大学で物理を学んだ人は量子力学という分野について耳にしたことがある人も多いでしょう。量子力学とは物理の一分野で、比較的歴史が新しく20世紀初頭に勃興した学問です。

量子力学は、物体は不確定性原理に基づいているため原子の位置と運動量の両方を同時に知ることは不可能であることを証明しました。つまり、神という存在であろうとも不覚的な動きをする原子と運動量を知覚することはできません。そのため未来も不確定となり、決定論は覆ったとされています。

ミクロの運動予測は不可能

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ニュートンは物理学の分野で多大な功績を与えた人物ではありますが、ニュートンの時代に提唱された力学は今日の科学力によればあまり確かなものではありませんでした。技術が発展してさらに物体を細かく観察することができるようになると、ニュートン力学ではミクロの運動予測が不可能であることが証明されます。

量子力学の代表的な理論としては、シュレーディンガー方程式を基礎とした波動力学や、ハイゼンベルクの運動方程式を基礎とした行列力学があります。これらのいずれもミクロの運動予測ができないことを証明しています。

人間が物理的物体の寄せ集めなら未来予測は不可能

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ニュートンの理論では「人間は物理的物体の寄せ集めなので刺激に対する反応も予測でき、その物体ごとの状態を完全に把握することができれば未来予測は可能である」と言われていました。しかし、前述した量子力学の台頭によって、人間が物理的物体の寄せ集めであるからこそ、ミクロの運動予測が不可能であると判明しました。

人間という物体の詳細を把握することができない以上、ニュートンの提唱した理論によって未来予測は不可能であることが分かりました。

未来は人間の自由意志による選択で変えることができる

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