2019年10月5日 更新

自由意志とは?カントやデカルトの自由意志に対する考えについても

自由意志とはどのような存在のことを言うのでしょうか。哲学者のカントやデカルト、アウグスティヌスの考え方を紹介していきます。その他、自由意志がないとする反対の立場の決定論や責任論など、分かりやすく解説していくので参考にしてください。

目次

では、ニュートンの理論をもってしても予測できない人間の未来はどのように決定されるのでしょうか。実は人間の未来の選択に関しては、決定論を提唱したニュートンが否定した自由意志が大きな影響を及ぼしていると言われています。

人間を物体の寄せ集めとして見た場合でも、ミクロなレベルでの行動予測をすることはできません。その予測できない部分こそを人間の自由意志が影響を与えることができる場所だとすれば、人間は自由意志によって未来を自由に変えることができると考えることもできます。

自由意志は存在するのか

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ニュートンは決定論によって自由意志を否定しました。では、そのニュートンが提唱した決定論が量子力学によって否定された場合、やはり自由意志は存在していると言えるのでしょうか。実際に自由意志が存在しているのかどうか、また新たな研究が重ねられています。

量子力学は未来がランダムだと証明しただけ

Roll The Dice Craps Board Game - Free photo on Pixabay (686731)

量子力学は物体の反応関して不確定な要素があると証明し、未来は完全に予測できるものではないと定義しました。しかし、実は量子力学によって自由意志の存在が肯定されたわけではありません。

量子力学は決定論を否定することで未来は決まっているものではなくランダムに発生することを証明しました。決定論は未来が既に決まっているとして人間の自由意志を否定したものですが、量子力学が決定論を否定したからといって、それはそのまま自由意志を肯定したという意味ではないので注意しましょう。

自由意志によって左右できるとは証明していない

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あくまで量子力学が証明したのは未来がランダムに起こりうる予測不可能なものであるということだけです。ランダムに起こる未来が人間の自由意志によって左右されているかどうかは証明されていません。

そのため、たとえ予測していた以外の未来が発生したとしても、それが自由意志の影響によるものなのか単純にランダムに起きたことなのかは誰にも分かりません。

日常生活に即して分かりやすく例えると、Cさんは「Aさんのことを嫌いなBさん」のことを嫌いだからといって、Aさんのことを好きなわけではないと考えると分かりやすいのではないでしょうか。

人間の心は化学物質と電気信号によってつくられているという新説

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人間の心は目に見えないものなので物理学を始めとした現代の科学では計測できないものだと思われていました。しかし、時代が変わって技術が進歩するにつれて人間の心も科学によって説明できるという主張も増えてきています。

その新説によれば、人間の心は目に見えなくても化学物質と電気信号によってつくられているというものです。実際、神経の伝達は電気信号で行われていたり病気になると脳から特定の物質が出ているなど、イメージしやすい説なのではないでしょうか。

自由意志への見解【ソートイ】

Math Blackboard Education - Free photo on Pixabay (686734)

それでは、アウグイスティヌスやカントやデカルト、ニュートンによって提唱されたり否定されたりしてきた自由意志は最近ではどのような見解を持たれているのでしょうか。ここでは数学者のソートイの意見を紹介していきます。

数学者マーカス・デュ・ソートイ

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イギリスの数学者であるマーカス・デュ・ソートイは、1965年に生まれ2019年9月時点でもオックスフォード大学数学所の教授として活躍している人物です。

彼の主な著作には「素数の音楽」や「シンメトリーの地図帳」など、数学に対する専門的な知識を持っていない人でも楽しんで読める本が多く出版されています。高校生や大学生の頃に彼の著作を読んで数学に興味を抱いたという人も決して少なくはないのではないでしょうか。

人間に自由意志は存在しない

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21世紀を代表する数学者の一人に数えられるソートイですが、彼は自由意志に対して否定する立場から主張をしています。ニュートンにとって宇宙の発生から現在・未来までを観測できるのが力学だったように、数学者であるソートイにとっては宇宙の発生や人間の行動を説明するのは数学が適任であると考えています。

こうした理論は彼のインタビューや「知の果てへの旅」という著作の中でも目にすることができます。ソートイは人間の意思を数学だけではなく脳科学の分野からも分析している研究者の一人です。

人間の脳をスキャンした実験

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彼は脳科学の実験の一つとして自分の脳をスキャンしました。両手にボタンを持った状態でランダムに押す実験をしたところ、実は彼が「ボタンを押す」という行為をする6秒ほど前に既に彼の脳の一部が活発に動いていることが実験により証明されたのです。

つまり、彼の実験結果を分析すると彼は意思を持っているのではなく脳による刺激に従って行動しているに過ぎないことがわかります。この実験結果によって、ソートイは人間の自由意志を否定しました。

何か行動を起こしたいと思う意思よりも脳が先に反応している

Artificial Intelligence Brain - Free image on Pixabay (686739)

自由意志の概念に基づいて考えれば、「人間が意思を持って行動したいと思ったことによって脳に刺激を与え、人間が望んだ行動の通りに脳が指令を出して身体を動かす」ということになるでしょう。

しかし、先ほど紹介したソートイの実験によれば「脳が反応して活発に動いた結果、人間が意思を持ちまるで自分が主導しているかのように錯覚しながら身体の動きを実感している」ということになります。

こういった実験はアウグスティヌスはもちろんカントやデカルト、ニュートンの時代にも不可能なものでした。まさに技術の進歩が裏付けた意見だと言えるでしょう。

自由意志への見解【ミチオ】

Star Trails Night Long Exposure - Free photo on Pixabay (686740)

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