目次
- 戸田奈津子さんとはどのような人物か
- 日本を代表する映画字幕翻訳家
- 経歴
- 代表作
- 80歳を過ぎた現在も現役で活躍中
- 映画字幕翻訳の難しさとは
- 短時間で読み切れる文字数・理解できる表現にする必要がある
- 英語と日本語は全く違う言語であり翻訳には限度がある
- 原作を知らない人にも理解できる翻訳でなければならない
- 膨大な量の台詞を短期間で翻訳しなければならない
- 戸田奈津子さんの字幕翻訳へのこだわり
- 読みやすさを重視し文字数を極力抑える
- 全く予備知識がない人でも理解できる表現にする
- 日本語として自然な翻訳にする
- 一時期しか通じないような流行語は使わない
- 戸田奈津子さんの字幕が批判される理由
- 知名度から話題作を手がけることが多いから
- 高齢でも引退せず若手翻訳家にチャンスが回って来ないから
- 誤訳や原作の世界観を無視した翻訳があるから
- 留学経験がないことから英語力を疑う声も多いから
- 多くの批判があるにも関わらず大作を任されているから
- 戸田奈津子さんの誤訳とはどのようなものだった?
- 日本語字幕の誤字や英単語の翻訳ミス
- 意訳し過ぎて本来の意味が薄れてしまった
- 原作の固有名詞をわかりやすい単語に置き換えた
- 原作の時代背景や設定が考慮されずわかりにくい表現だった
- 文字制限のため重要な情報を削ってしまった
- 古めかしい表現が多く映画の雰囲気に合っていなかった
- 戸田奈津子さんの誤訳とされる例
- passion-playを「情熱のプレイ」と翻訳
- a volunteerを「ボランティア軍」と翻訳
- bad eggを「腐ったタマゴ」と翻訳
- death massを「デスマスク」と誤訳
- ロード・オブ・ザ・リングの字幕問題とは
- 「ロード・オブ・ザ・リング」とはどのような映画か
- 原作の世界観を無視した字幕翻訳に原作ファンが激怒
- 字幕翻訳者変更を求める署名活動にまで発展した
- DVDでの字幕修正、第2部以降の字幕作成体制の変更が実施された
- 戸田奈津子さんは本当に誤訳が多いのか
- 映画字幕の誤訳はどの翻訳者にもある
- 誤訳と指摘される翻訳には誤訳と言い切れないものも多い
- 誤字など単純なミスは翻訳者だけの責任と言えるのか
- 名訳が多い点にはほとんど触れられない
- 高齢になりかつての実力を発揮できなくなった可能性も
- 誤訳ばかりではない!戸田奈津子さんの功績を忘れてはいけない
戸田奈津子さんは「passion-play」を「情熱のプレイ」と翻訳しました。これは「オペラ座の怪人」に出てくる言葉で、正しい訳は「(キリストの)受難劇」です。
戸田さんはハイフンを見落としてしまい、全く別の意味になってしまったのです。オペラ座の怪人について言及すると、原作はわざと含みを持たせた作りになっており、映画版はそれを尊重して作られました。
しかし、この作品に字幕をつけた戸田さんは、それをぶち壊すような誤訳を連打して、原作ファンの怒りを買ってしまったようです。そのため、オペラ座の怪人は戸田さんの誤訳作として有名です。
戸田さんはハイフンを見落としてしまい、全く別の意味になってしまったのです。オペラ座の怪人について言及すると、原作はわざと含みを持たせた作りになっており、映画版はそれを尊重して作られました。
しかし、この作品に字幕をつけた戸田さんは、それをぶち壊すような誤訳を連打して、原作ファンの怒りを買ってしまったようです。そのため、オペラ座の怪人は戸田さんの誤訳作として有名です。
a volunteerを「ボランティア軍」と翻訳
via pixabay.com
戸田さんは「a volunteer」を「ボランティア軍」と翻訳しました。これは「スター・ウォーズ エピソード1」に出てくる言葉で、作品の背景を考慮すれば、正しい訳は「義勇軍」になります。
戸田さんはこの作品で冒頭から観客を圧倒する字幕を披露しています。「Battleship」という言葉が出てくるのですが、これは「戦艦」が正しい訳です。
しかし、なぜか、戸田さんは「バトルシップ艦隊」としてしまいます。初っ端からこの字幕を見た観客は唖然として言葉もなかったのではないでしょうか。
戸田さんはこの作品で冒頭から観客を圧倒する字幕を披露しています。「Battleship」という言葉が出てくるのですが、これは「戦艦」が正しい訳です。
しかし、なぜか、戸田さんは「バトルシップ艦隊」としてしまいます。初っ端からこの字幕を見た観客は唖然として言葉もなかったのではないでしょうか。
bad eggを「腐ったタマゴ」と翻訳
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戸田さんは「bad egg」を「腐ったタマゴ」と翻訳しました。これは「パイレーツ・オブ・カリビアン」に出てくる言葉で、「悪人、クズ、ろくでなし」を意味するスラングです。
本来なら使用されている場面からスラングだと分かりそうなものですが、戸田さんは腐ったタマゴと訳してしまいました。そのため、この字幕を見た人からは英語のスラングに対する理解のなさを指摘する声があがっています。
それ以外にも、この作品につけられた日本語字幕のせいで、原作のニュアンスが損なわれてしまい、この映画を分かりにくくしているという声も上がっています。
本来なら使用されている場面からスラングだと分かりそうなものですが、戸田さんは腐ったタマゴと訳してしまいました。そのため、この字幕を見た人からは英語のスラングに対する理解のなさを指摘する声があがっています。
それ以外にも、この作品につけられた日本語字幕のせいで、原作のニュアンスが損なわれてしまい、この映画を分かりにくくしているという声も上がっています。
death massを「デスマスク」と誤訳
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戸田さんは「death mass」を「デスマスク」と翻訳しました。これは「アマデウス」に出てくる言葉で、明らかに誤訳です。正しい訳は「レクイエム」になります。
「まずレクイエムを手に入れて、それから彼を殺す」という台詞を「まずデスマスクを手に入れてーー彼を殺す」にしてしまったのです。デスマスクとは石膏や蝋で死者の顔の型を取ったものですから、デスマスクを先に手に入れてから殺すことは不可能です。
この作品のDVDでは字幕担当者が変更され、この部分は訂正されています。
「まずレクイエムを手に入れて、それから彼を殺す」という台詞を「まずデスマスクを手に入れてーー彼を殺す」にしてしまったのです。デスマスクとは石膏や蝋で死者の顔の型を取ったものですから、デスマスクを先に手に入れてから殺すことは不可能です。
この作品のDVDでは字幕担当者が変更され、この部分は訂正されています。
ロード・オブ・ザ・リングの字幕問題とは
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戸田奈津子さんが字幕翻訳を手掛けた「ロード・オブ・ザ・リング」では、字幕の質が悪いと批判が高まり、大問題へと発展しました。この字幕問題について概要をまとめてみましたので、見ていきましょう。
「ロード・オブ・ザ・リング」とはどのような映画か
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ロード・オブ・ザ・リングとは原作である「指輪物語」をもとに映画化された作品です。原作者のジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンは言語学者で、子供のころから「自分のオリジナルの言葉を作る」という遊びにはまっていました。
そして、言葉を作るためには言葉の歴史が必要であり、言葉の歴史を作るためには言葉を使う民族が必要だと考えた彼は、自分が作った言葉を使わせる民族として「エルフ」を生み出したのです。
またトールキンは母国であるイギリスの神話も作り上げていきます。それがエルフ神話であり、世界創造から始まる壮大な歴史が作り上げられました。指輪物語とはその世界で繰り広げられる物語の一つなのです。
そして、言葉を作るためには言葉の歴史が必要であり、言葉の歴史を作るためには言葉を使う民族が必要だと考えた彼は、自分が作った言葉を使わせる民族として「エルフ」を生み出したのです。
またトールキンは母国であるイギリスの神話も作り上げていきます。それがエルフ神話であり、世界創造から始まる壮大な歴史が作り上げられました。指輪物語とはその世界で繰り広げられる物語の一つなのです。
原作の世界観を無視した字幕翻訳に原作ファンが激怒
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指輪物語にはエルフ語の他に、ドワーフ語、ローハン語、アドゥナイク語、暗黒語が出てきます。物語の主要種族であるホビットは西方共通語を話し、その他の言語であるエルフ語などは見知らぬ言語という設定になっています。
物語の中に出てくる固有名詞は5000個以上もあり、歴史設定は8000年以上にも及びます。そんな壮大な歴史物語を書いたトールキンは、この物語が諸外国で翻訳される際に、「翻訳上の注意」を作成しています。
指輪物語の映画化が決まり、字幕版と吹き替え版の作成にあたっても、この「翻訳上の注意」は絶対的なものでした。しかし、戸田さんはこれを見ていないと言われるほど原作の世界観を無視した字幕をつけてしまい、原作ファンを怒らせてしまったのです。
物語の中に出てくる固有名詞は5000個以上もあり、歴史設定は8000年以上にも及びます。そんな壮大な歴史物語を書いたトールキンは、この物語が諸外国で翻訳される際に、「翻訳上の注意」を作成しています。
指輪物語の映画化が決まり、字幕版と吹き替え版の作成にあたっても、この「翻訳上の注意」は絶対的なものでした。しかし、戸田さんはこれを見ていないと言われるほど原作の世界観を無視した字幕をつけてしまい、原作ファンを怒らせてしまったのです。
字幕翻訳者変更を求める署名活動にまで発展した
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原作ファンは世界観を無視した字幕を許せませんでした。字幕版と同時に公開された日本語吹き替え版が、非常によくできた翻訳だったために、余計に戸田さんへの批判が高まりました。
そして、字幕によって物語をこれ以上破壊されないように、原作ファンの人たちの手によって、字幕翻訳者の変更を求める署名活動が起こったのです。署名は日本の配給会社や監督のピーター・ジャクソンに送られました。
この字幕問題は週刊誌にも取り上げられ、世間に広く知れ渡ることになりました。
そして、字幕によって物語をこれ以上破壊されないように、原作ファンの人たちの手によって、字幕翻訳者の変更を求める署名活動が起こったのです。署名は日本の配給会社や監督のピーター・ジャクソンに送られました。
この字幕問題は週刊誌にも取り上げられ、世間に広く知れ渡ることになりました。
DVDでの字幕修正、第2部以降の字幕作成体制の変更が実施された
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署名活動にまで発展してしまったロード・オブ・ザ・リングの字幕問題は、DVDでの字幕修正や第2部以降の字幕作成体制の変更が実施されることが決まり、ようやく終焉を迎えました。
しばらくして発売されたDVDでは、映画で指摘されていた数多くの誤訳がほぼ消え去っており、原作ファンの人たちも胸を撫で下ろしたようです。第2部、第3部に関しては、字幕作成体制が変更されたことにより、第1部のようなひどい字幕になることはありませんでした。
しばらくして発売されたDVDでは、映画で指摘されていた数多くの誤訳がほぼ消え去っており、原作ファンの人たちも胸を撫で下ろしたようです。第2部、第3部に関しては、字幕作成体制が変更されたことにより、第1部のようなひどい字幕になることはありませんでした。
戸田奈津子さんは本当に誤訳が多いのか
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インターネット上では戸田奈津子さんは誤訳ばかりしているような書き方をされていますし、「誤訳の女王」という異名までつけられていますが、本当に誤訳が多いのか、これまでのことを踏まえて、その結論をまとめてみました。
映画字幕の誤訳はどの翻訳者にもある
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