2019年8月8日 更新

校門圧死事件の概要!神戸高塚高校で起きたこの事件の本当の問題とは?

神戸高塚高校で起きた校門圧死事件とはどんな事件なのでしょうか。この事件により罪に問われた教諭・細井敏彦とはどんな人物なのでしょうか?教諭一人の問題なのか、それともこの事件の本当の問題が別にあるのか?それを紹介していきたいと思います。

目次

校門圧死事件後の学校と親族

Squad Car Police Lights - Free photo on Pixabay (512197)

事件は1990年7月6日、登校時間の門限になったことで、遅刻を取り締まる目的で、校門付近に立っていた教諭が校門を閉めました。その門扉に挟まれた生徒は死亡しました。この事件で校門を勢いよく閉めた教諭は、懲戒免職処分になっています。

校門圧死事件後の学校と被害者生徒の親族は、どんな思いで対応をしてきたのでしょうか。学校側は生徒への思いがないとも言える対応しかしてきていない印象ですが、ここで詳しく書いていきたいと思います。

学校側が過失を認め謝罪

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7月13日、取材に応じていなかった学校側は、「被害者の家族の意向」と言い訳をしていました。7月17日に家族は弁護士を通して「娘は殺されたのも同然」と怒りの心境を明かしており、その夜、校長が自宅へやってきて新聞の切り抜きファイルを置いていったと言います。

学校側から、まともな事件の説明がなかったことがわかります。被害者である生徒の親族には、高塚高校が安全管理上の過失を認め謝罪していますが、それで家族は納得したと思う人がどれだけいるのでしょうか。

被害者遺族に損害賠償金を支払い示談が成立

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兵庫県教育委員会は1990年7月26日、校門を閉めた教諭を懲戒免職処分、また管理責任を問い当時の校長を戒告、教頭と教育長を訓告、教育次長2名を厳重注意とする処分を行いました。しかし、校門を閉めようと言い出した教員や生活指導部長に対しては処分はありません。

校長から出されていた辞表を同日付で受理した。校門を閉めた教諭はその後懲戒免職処分を不服として申立を行っています。そして11月16日、学校側が安全管理上の過失を認めた形で、兵庫県が女子生徒の遺族に損害賠償金6,000万円を支払うことで示談が成立しました。

保護者会の開催を打ち切る

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9月には教育委員会から新校長が就任し、事件の説明を含む今後の保護者会の開催を打ち切ることを宣言しました。事件を目撃した生徒を含む多くの生徒たち、そして学校の大切な子供を預けている保護者に対して説明をしないと宣言したのです。

事故直後に血を洗い流す行為をした学校は、事故を隠蔽しようとしたとしか言いようがありません。人を預かり教育していく学校が行う行為とは到底思えません。事件は「運が悪かった」としか考えていないのかしれません。

校門圧死事件後の刑事処分

Prison Cell Jail - Free photo on Pixabay (523066)

遅刻者を追い出すために・規律という名のもとに、校門を閉める行為を行い、それにより門扉に挟まれ生徒が死亡するという痛ましい事件が起きました。

その事件後、教育現場としては事件の当事者である教諭は懲戒免職処分となったり、学校側は謝罪し損害賠償を支払うなどを行いましたが、保護者会は打ち切るなど理不尽な対応が目立つものでした。では刑事処分としては、どんな処分が下されたのでしょうか。その詳細を記していきたいと思います。

業務上過失致死容疑で調べが始まる

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1990年7月21日に兵庫県警による実況見分が行われました。その結果、門扉はヘルメットが割れるほどの速度で押されていたことが分かったのです。

生徒が集団で登校しているのに教員が勢いよく門扉を閉めたこと、この教諭は過去にも門扉で生徒のスカートなどを挟んだことがあること、などから教諭は門扉を閉めることの危険性を把握しながら安全を充分確認しなかったことが明らかになり、業務上過失致死の容疑で取り調べることとなりました。

教諭側は開閉行為が合理的で安全な方法と主張

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当事者である教諭は、「門扉の閉鎖は教員3人で行う共同作業であり安全・合理的な方法だと主張しました。そもそも遅刻すること自体が問題なのではないか・遅刻しないように学校に行くべきだという意見もあります。

その意見は間違ってはいないと思いますが、門扉を開閉する行為が合理的なのか、その他に指導すべき方法がなかったのでしょうか。そして、開閉行為によって一人に生徒の命が奪われたことを考えても、安全な方法と主張した教員に対しては何をもって安全だと言い切ったのか聞きたいものです。

学校側からの安全指導もなかったため「業務」に当たらないと主張

Sun Sunbeam Sunset - Free photo on Pixabay (523209)

学校から安全面の指導や注意はなく業務性は無く、わずかな隙間に生徒が頭から走り込んでくることは予見不可能で過失責任は無いと主張しました。しかし、登校門限時間に校門の開閉行為を行っていたにも関わらず「業務」には当たらないとするならば、業務でもないことをなぜ教諭は行っていたのでしょうか。

そしてこの教諭は過去にも門扉で生徒のスカートなどを挟んだことがあることを考慮すれば、生徒が走りこんでくる可能性を想定できたのではないでしょうか。

教育理念を押し付けた学校管理者及び教育委員会に問題があると主張

Classroom School Education - Free photo on Pixabay (523306)

教諭は「充分な安全策も無く教師に校門指導をさせた学校に責任があり、誤った教育理念を押し付けた学校管理者や兵庫県教育委員会、文部省の責任が問われるべき」などとして無罪を主張しました。

過去にも門扉で生徒のスカートなどを挟んだことがある教諭は、何の疑問を抱くことなく校門指導を続けたことに対しての責任はないと言うのでしょうか。仕事をする上で責任を負うという自覚もなく、危険があるかもしれないと想像すらできない人が教育をする立場にいたことが驚きでしかありません。

1993年検察庁の主張を認め執行猶予つき有罪判決を下す

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神戸地方裁判所は1993年2月10日、「門扉の閉鎖は反復・継続して行う行為であり、その重量、構造から登校時に閉鎖することは門扉を生徒の身体に当てるなどして身体に危害を与える恐れがあり業務上過失致死罪の業務にあたる」とした上で「生徒が制裁などを避けるため閉まりかけの門に走り込むことは予測できたと認定しました。

そして、他の当番教師との安全面の打合せはなく過失があった」と検察側の主張をほぼ認める形で教諭に禁錮1年・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しましたが、人を一人死なせておいて執行猶予とは軽い判決としか言いようがありません。

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