2019年6月8日 更新

国鉄で起きた上尾事件の概要と被害状況とは?根本的な原因やその後も

上尾事件は、国鉄でストライキや順守闘争が関係した事件です。国鉄と乗客の間で暴動が起き、後の首都圏国電暴動にまで発展していきます。高崎線にある上尾駅で、なぜ暴動が起きたのでしょうか。上尾事件の概要について紹介していきます。

目次

Train Red Railway - Free photo on Pixabay (346703)

被害S 走行不能になるほど致命的なダメージを負い廃車となった車両の補充製造で数編成
被害A 工場に入庫して修理を要する車両で23車両
被害B 電車区で約1週間で修理できる車両で36車両
被害C ガラス破損など一日で修理できる車両で32編成
車両の損害は、廃車となるものから一日で修理できるものまで様々な損害が起ましたが、全部で1憶もの被害額となってしまいました。

建物修繕費1億2,000万円

Broken Window Hole Glass - Free photo on Pixabay (346705)

上尾事件から1カ月、もともと不満が残っていた乗客たちが再度暴れました。駅というのは様々なものが設置されていますし、それらが壊されたのです。例えば駅長室・出札室・窓ガラス・消火器破損など駅にあるもの、目に入るものは壊されていくため、建物修繕費は1億2,000万円もかかりました。

新宿や大宮など、いくつもの駅で暴動が起きたために、被害も多く修繕費もかかったと言えます。乗客を無視した闘争が引き起こした結果なので、自業自得とはいえ大損害です。

コンピューターなどの電気機械4億1,000万円

Board Circuit Control Center - Free image on Pixabay (346706)

暴動により、改札事務室や切符売り場なども破壊しており、乗務員は身の危険を感じ職務放棄して逃亡しています。職員はいないため、コンピュータなどの電気機械も破壊し放題となり、4億1,000万円という損害が出てしまいました。

自動券売機の使用不能により1憶3,000万円

Banque Tickets 50 - Free photo on Pixabay (346720)

群衆の恐れをなした乗務員は職務放棄して逃げ出す事例が相次いでおり、自動券売機は、東京都配置数の約3,000台のうち、208台が使用不能となり修理に1憶3,000万円かかりました。

乗車券の払い戻し費用2億円

Fax White Male 3D Model - Free image on Pixabay (346715)

25日朝になっても国電は運行を休止していたことに加え、事前に通知されたストによる運行休止ではなかったため、通勤・通学で使用する乗客は自衛策を取ることが出来ずラッシュアワー時に集中、運行している私鉄・地下鉄へと殺到します。対応しきれる訳はなく、入場規制や改札制限を敷くなどの対応しても大混乱を招きました。足止め・運休となった影響もあり、乗車券の払い戻しとして2億円という金額がかかっています。

売店の破損数千万円

Music Shopping Shop Grocery - Free photo on Pixabay (346725)

新宿駅などでは、上野駅の暴動が波及しており、暴動参加者は最大20,000人に達しています。料金精算所や売店などが襲われており、売店破損被害は数千万円と言われています。どさくさに紛れて、金品を奪う人もいたようです。

上尾事件の根本原因

Hatena Think About Question The - Free image on Pixabay (351811)

上尾事件では、最終的に7名という逮捕者が出てしまうような事件になりました。日々、通勤・通学で電車を使用する乗客からすると、ラッシュの大混雑というのはストレスでしかありません。

そのストレスを抑えていたにも関わらず爆発させてしまったという根本的な原因というのは何だったのでしょうか。その原因を突き止めて、対処していくことでこれからも上尾事件のような暴動事件を防げるのであれば、原因を理解していくことは必要不可欠なのではないでしょうか。

急激な乗客の増加

People Crowded Steps - Free photo on Pixabay (351813)

埼玉はベッドタウンと呼ばれており、東京に住むと物価が高いため埼玉に住んでいる人が多くいました。高崎線上尾駅でも東京に向かって通勤や通学で駅を使う人が多く、かなり乗客が膨れ上がっていたと言われていて、乗客が激増してしまったため、電車の本数と乗客の数が徐々に合わなくなっていってしまいます。

しかし、その間にも埼玉に移り住む人は増えていくばかりで、どのように対処していいのかもわからなかったのではないでしょうか。そして、埼玉県同様に電車を利用する人が多い首都圏では、この上尾事件をきっかけに同じような順法闘争を始めます。その結果、上尾事件と同じような首都圏国電暴動を起こしてしまいました。

インフラ整備の遅れ

Car Mechanic Disc Brake Revision - Free photo on Pixabay (351840)

インフラとは、国民福祉の向上と国民経済の発展に必要な公共施設のことです。人口が増えたことで乗客があまりにも増加し、インフラ整備が遅れてしまったのです。そうすると、電車の遅延や運行取りやめなどが起きてしまい、乗客が電車に乗れなくなってしまうことも多々あったようです。そして、上尾事件が起きてしまった上尾駅では特にインフラ整備が追い付いていなかったようです。

その原因の1つに、国鉄の慢性的な赤字があったと言われており、インフラ整備に回せる予算が無かったと言われています。電車の本数を増やしてしまっても赤字になるばかりなので、そのままの本数でインフラ整備をしたいと考えていたに違いありません。また、急行や優等列車の整備を優先させていたため、普通列車はそのしわ寄せを受けていました。

国鉄職員の怠慢な業務態度

Furious Upset Person - Free photo on Pixabay (351844)

上尾事件は遵法闘争によってダイヤが混乱したことが直接の原因でしたが、その背景には、当時、特に※マル生運動が挫折して以降の国鉄職員による怠慢で横柄な業務態度があり、それに対し日頃から不満を持っていた利用客の不満が一気に爆発したものでした。

※マル生運動(マルせいうんどう)とは、上尾事件の当時の国鉄や郵政省において行われた、生産性を向上させる運動のことです。生産性向上運動とも呼ばれます。この運動に関係する書類には「生」の字を丸で囲んだスタンプを押したので「マル生」と呼ばれるようになりました。当時赤字の国鉄は生産性工場に取り組みましたが、労働者にとっては労働強化の原因になり、国鉄と労働組合の対立を深める結果になりました。

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