2019年10月5日 更新

グリコ森永事件の真相や真犯人は?史上最高に後味の悪い劇場型犯罪

日本の犯罪史上、最大の未解決事件とも言われるグリコ森永事件。犯人とロッテの関係や、同時期に起きた日航機墜落事故との関係といった事件の真相に迫っていき、脅迫に使われた子供の声をめぐる小説『罪の声』など、事件にまつわる注目作品も紹介していきます。

目次

その後、男性は犯人と誤認され、一時的に身柄を確保されましたが、事情聴取で事件とは無関係だということが分かりすぐに放免され、女性は別の車に乗せられ連れ去られた後、午後9時過ぎにタクシー代を渡され降ろされていました。

男性の車は翌3日、寝屋川市内の神社で乗り捨てられているのが発見され、それはやはり、前日に警察が不審車両として追跡していた車だったそうです。

男性は運の悪いことに、勤務先が水防倉庫に近く、グリコとも取引のある会社だったため、警察からの疑いが晴れた後も、マスコミから執拗に追われることとなってしまいます。

この事態を重く見た警察は、記者会見で寝屋川襲撃事件の全容を話すことと、男性が会見を開くことを条件に、それ以降の男性への取材を控えるようマスコミに通達しました。

江崎グリコが被害に遭った事件

Guy Man People - Free photo on Pixabay (682503)

ここまで江崎グリコは社長の誘拐事件を発端に、度重なる脅迫を受けることとなりました。誘拐事件のことは早く忘れたいと言う江崎社長の心情を嘲笑うかのように、その後も繰り返された犯人グループからの攻撃は次第にエスカレートしていき、遂には江崎グリコの社員や消費者の命を危険に晒すような行為にまで発展していきます。

ここでは江崎グリコに対する数々の脅迫事件の合間に起こっていた、二つの大きな事件について紹介していきます。

江崎グリコ本社放火事件

Fire Wood Flame - Free photo on Pixabay (682001)

江崎グリコ社長誘拐事件が解決してから幾日かが過ぎ、久しぶりに江崎社長が出社した翌日の4月10日、今度はグリコ社内で連続放火事件が発生します。

時刻は午後9時になろうかという頃、大阪市西淀川区にある本社工場の一角から火が出て、150平方メートルが全焼します。残業をしていた社員が退室した直後のことでした。

同じ頃、グリコ本社から3キロほど離れた所にある子会社のグリコ栄養食品でも、車庫にあったライトバンが放火されました。

そして11日、社長宅に男の声で「思い知ったやろ。今後も気を付けろ」と脅迫電話がかかってきます。警察は社長誘拐事件とこの放火事件の関連性は高いとし、一連の事件を広域重要指定事件に指定しました。

兵庫青酸菓子ばら撒き事件

Candy Sweetmeats Sweets - Free photo on Pixabay (681986)

5月10日には毎日新聞、読売新聞、産経新聞、朝日新聞の4社宛に、犯人グループのかい人21面相から、グリコ製品に青酸を入れたことをほのめかす内容の脅迫文が届きます。

さらにはこれを全国にばら撒くとの予告もあり、新聞各社は消費者の安全確保の観点からこの情報を紙面に掲載、店頭からはグリコ製品が次々に撤去される事態となりました。

これによりグリコの工場はストップし、その損害は数十億円にも上ると言われています。

グリコ森永事件詳細【丸大食品脅迫事件】

Grill Party Sommerfest - Free photo on Pixabay (681993)

犯人グループが江崎グリコへの脅迫を終わりにすると宣言し、事態は収束するかに思われました。しかし、その一方で犯人グループは次の標的を丸大食品に変更し、警察を含め世間は、江崎グリコへの攻撃がその後も続いていく食品会社を標的とした一連の事件のプロローグでしかなかったことを思い知ります。

ここでは、2番目に標的となった丸大食品への脅迫事件を追い、事件のキーマンとなるであろうキツネ目の男についても書いていきます。

1984年6月22日:丸大食品に脅迫状

Typewriter Vintage Old - Free photo on Pixabay (681952)

江崎グリコへの脅迫事件終息宣言を犯人グループが出す数日前の1984年6月22日、犯人グループは次の標的となる丸大食品の社長宛に脅迫文を送りつけていました。

それには「グリコが損害を被った裏でおまえらは儲けただろう。その儲けた分から5千万円をよこせ。さもないとグリコと同じような目に遭うぞ」というような趣旨のことが書いており、取引に応じるのであれば新聞にパート従業員募集の広告を出し、6月28日の夜に高槻市の専務宅に現金を用意しろ、とのことでした。

女性からの電話で現金受け渡しの指示

Smile Laugh Girl - Free photo on Pixabay (682222)

通報を受けた警察は捜査員を派遣。現金受け渡し人に指定された専務の代わりに捜査員の1人がその役を行うことになりました。

専務宅で待機していると、午後8時を少し回った頃に電話がかかってきます。受話器から流れてきたのはテープに録音された女性の声で、「高槻市内の西武デパートの三井銀行の南にあるバス降車場の観光案内図の裏」と指定してきました。

そして指定の場所に行くと確かに指示書が貼ってあり、「電車に乗って移動し、白い旗が見えたら現金の入ったバッグを外に放り出せ」という文書と共に、切符も用意されていました。

キツネ目の不審な男

Red Fox Wildlife Portrait - Free photo on Pixabay (681997)

専務に扮した捜査員はあえて犯人の指示とは違う車両に乗り込みました。そうすることで現金持参人を探し回って犯人に動きがあるかもしれないと考えたうえでの作戦でした。

すると何かを探し回るかのように車内を歩く不審なキツネ目の男が現れ、捜査員を見つけると、それをずっと監視しているかのような様子でした。キツネ目の男は年齢が35歳から45歳、身長は175センチから178センチくらいで、眉毛が薄くつり上がっていたといいます。

捜査員も、このキツネ目の男が明らかに怪しいと睨んでいましたが、現金の受け渡し時に現行犯逮捕する計画であったため、捜査本部は捜査員に逮捕権限を与えず、命令があるまで接触しないよう行動を制限していました。

そうこうしているうちに、キツネ目の男は電車を降りていき、雑踏に紛れてしまい、捜査員も現金入りバッグを外に放り出さずに終わりました。

7月:丸大食品取締役宅に脅迫状

Hands Writting Invitation - Free photo on Pixabay (681962)

結局、電車を使っての現金受け渡しは行われず、捜査員もキツネ目の男を取り逃がす形に終わりました。

こうして、またしても犯人に繋がる手がかりを失ってしまった警察でしたが、7月に入ると、丸大食品取締役の自宅に再度脅迫状が届き、世間は丸大食品への攻撃がまだ終わっていないことを思い知らされることとなります。

その脅迫状によると、「7月6日に取締役の自宅前に、金を積んだカローラを用意しろ。応じるならば4日と5日にパート募集の新聞広告を出せ」というものでした。

子供の声の録音で現金受け渡しの指示

Child Boy Portrait - Free photo on Pixabay (682005)

脅迫状にあった現金受け渡し指定日の7月6日午後8時過ぎ、今度はテープに録音した子供の声で、指定場所に来るよう指示がありました。受け渡し場所は4回も変えられ、これには犯人らが警察の捜査を撹乱する目的があったと思われますが、結局、最後の受け渡し場所にも犯人が現れることはありませんでした。

ちなみに、この丸大食品脅迫事件が発覚したのは、後述の森永製菓脅迫事件が起こった後となったため、この一連の事件は「グリコ森永事件」という名で呼ばれることとなりました。

グリコ森永事件詳細【森永製菓脅迫事件】

Choco Chocolate Bar Sweets - Free vector graphic on Pixabay (678066)

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