2019年10月5日 更新

グリコ森永事件の真相や真犯人は?史上最高に後味の悪い劇場型犯罪

日本の犯罪史上、最大の未解決事件とも言われるグリコ森永事件。犯人とロッテの関係や、同時期に起きた日航機墜落事故との関係といった事件の真相に迫っていき、脅迫に使われた子供の声をめぐる小説『罪の声』など、事件にまつわる注目作品も紹介していきます。

目次

書き込みには、犯人グループの3人のうちの1人が自殺体で発見されたことも書かれてあり、自殺者の服装や所持金、発見場所や死亡推定日時などまで詳しく書かれています。

この件について書き込みでは「1人は発見されたが、食品会社6社からの依頼(事件後の合議時に要請していた)により葬り去られる」と書いてあり、この犯人のうちの1人とされる人物の死について、食品会社6社が関わっていることを示唆するような内容になっています。

この「葬り去られる」という点について、食品会社の依頼は「自殺して発見された犯人の遺体を身元不明人とすること」だったそうです。

犯人たちは現在ロッテの子会社にいる?!

Architecture Blue Building - Free photo on Pixabay (683197)

「2ちゃんねる」に書き込まれた内容によると、3人いた犯人のうち、1人は死亡したとのことですが、残りの2人はロッテの子会社を設立した、とあります。

その後の掲示板でのやり取りを見ていくと、どうやら犯人らはこのロッテ子会社の取締役に就任しており、正式には設立したのはロッテであること、子会社の本社は韓国にあり、この情報が歪曲して「犯人は朝鮮人」という説が出てきたと書かれており、北朝鮮工作員グループ犯人説が生まれた経緯を説明しています。

事件を主導していたと思われるキツネ目の男はあくまで小遣い稼ぎ程度のつもりで犯行を行いましたが、次第に犯人の思惑とは違う方向に進んでいったようで、会社経営などにも興味は無かったようです。

事件を徹底的に調査した小説家

Student Typing Keyboard - Free photo on Pixabay (683160)

「事実は小説より奇なり」という言葉があるように、まるで小説のような展開を見せたこのグリコ森永事件は多くの国民が関心を寄せるところとなりました。

小説家の塩田武士さんもこの事件に魅了された1人で、現在は小説家として活躍されている彼は、作家を志はじめた大学生の頃から、このグリコ森永事件に興味を持ち始めたそうです。

事件のことを知っていくうちに、「この事件を小説のネタにしたい」と考えた塩田さんは、15年という長い構想期間の末、この小説、「罪の声」を出版するに至りました。

塩田武士『罪の声』

@flamingo0430 on Instagram: “企業名は変えてあるものの「グリコ・森永事件」の史実をほぼ忠実に再現しているノンフィクションみたいなフィクション。昔、世間を震撼させた食品メーカー脅迫事件。父の遺品の中から見つけた古いカセットテープに録音されていたのは事件の脅迫に使われたもので、その声は幼い頃の自分の声だったというゾッとする話。怖いのに結末が知りたくて一気読み。…” (682217)

塩田武士さんがグリコ森永事件をモチーフにして書いた小説『罪の声』は、2015年が舞台。

グリコ森永事件をモデルとした「ギンガ萬堂事件」の再取材をすることになった冴えない新聞記者と、父親の遺品の中から、「ギンガ萬堂事件」で使われた脅迫テープを発見し、それが自分の子供の頃の声だと気づいてしまった青年の2人を主人公に据え、物語は進行していきます。

塩田さん自身、この小説を書くにあたって「極力史実通りに再現しました」とコメントするなど、フィクションとは思えないリアリティのある作品となっています。また、2020年には映画化もされることとなり、注目が集まっています。

テープに録音された子供たちの声

Microphone Mic Vocal - Free photo on Pixabay (681989)

これまでにも書いてきたように、このグリコ森永事件において犯人グループは捜査撹乱のため、子供や女性の声を録音したテープを脅迫や取引時の指示にたびたび使っています。

この「テープに録音された子供たちの声」に、塩田さんは注目しました。録音に使われた子供のうち1人は自分とほぼ同い年だということを知った塩田さんは、「その子は今、どんな人生を送っているのか」「関西に住んでいるのなら、自分とすれ違ったこともあったのかもしれない」と思い、それを小説にしようと考えます。

グリコ森永事件のもうひとつのシナリオ

Narrative History Dream - Free image on Pixabay (683161)

実際のグリコ森永事件は未解決のままで、今もなお犯人は分かっていません。しかし、『罪の声』においては、犯人の姿が描かれています。

この小説はあくまでフィクション作品であり、犯人についても小説においての存在でしかないのですが、塩田さんはこの小説を書くにあたって、グリコ森永事件について書かれた資料はもちろんのこと、事件が起こった1984年から1985年にかけての全ての新聞に目を通したといいます。

それだけ入念な事前調査のうえで作り上げられたストーリーは、もはや単なるフィクションの枠を超えて、グリコ森永事件のもう一つのシナリオと言えるほどの重厚なものに仕上がっています。

その他事件に関する著書

Book Read Old - Free photo on Pixabay (683163)

国民を観客に据える構造となる劇場型犯罪とも言われるこのグリコ森永事件。国民の中にはこの事件のファンすらいたとも言われるほどですが、塩田武士さんのようにこの事件を小説として描く作家もいれば、事件の真相に迫るノンフィクションとして描かれた作品も数多く生み出されてきました。

ここではそのようなにノンフィクション作品として、このグリコ森永事件の真相に迫ろうとした2つの作品について紹介していきたいと思います。

朝日新聞大阪社会部『グリコ・森永事件』

News Daily Newspaper Press - Free photo on Pixabay (681965)

朝日新聞によって発刊されたこの『グリコ・森永事件』は、グリコ森永事件の渦中で、報道の自由を奪われながらも、その隠された真実に迫ろうとしたジャーナリストたちの姿を描き、事件の核心に迫ろうとする作品です。

客観的に描かれた事件の流れを読むことができ、報道では伝えられなかった、犯人たちの知能の高さが垣間見える作品であるとして高く評価されています。

「この事件にまつわるノンフィクション作品を読む前の予備知識として読んでおくべき」との声もあがるほど、事件を理解するうえで必要な情報が詰まっています。

森下香枝『真犯人』

Interview Microphone Communication - Free image on Pixabay (681990)

元新聞・週刊誌記者であった著者が描くこの『真犯人』は、名古屋で起きたある強盗事件をきっかけに、1人のジャーナリストが昭和最大の謎、グリコ森永事件の真相に迫っていく様を描いたノンフィクション作品です。

淡々とつづられるような独特の文章の書き方に賛否両論はありますが、読者に「著者はグリコ森永事件の真犯人と接触したことがあるのではないか?」と言わしめるほど、その内容は事件の核心に迫ったものとなっています。

日本最大の劇場型犯罪

Florida State University Theater - Free photo on Pixabay (682225)

戦後日本の犯罪史において最も謎が多いこのグリコ森永事件。それだけに多くの仮説や憶測が飛び交っており、この事件を知った人ならば誰しもがその真相を知りたくなることでしょう。

しかし、この事件は既に時効を迎え、SNSが普及し情報過多となった今の世の中では、かえって新しい有力情報を発見することは難しいと思われます。

このグリコ森永事件は、これほどまでに大きな事件であったにも関わらず、事件による直接的な死亡者が1人も出ていない点も特徴で、そこには犯人らによる美学のようなものの存在すら感じられるほどです。

全ての真実が闇の中に葬られたこの事件は、まさに日本史上最大の完全犯罪になったと言えるでしょう。

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