2019年10月5日 更新

グリコ森永事件の真相や真犯人は?史上最高に後味の悪い劇場型犯罪

日本の犯罪史上、最大の未解決事件とも言われるグリコ森永事件。犯人とロッテの関係や、同時期に起きた日航機墜落事故との関係といった事件の真相に迫っていき、脅迫に使われた子供の声をめぐる小説『罪の声』など、事件にまつわる注目作品も紹介していきます。

目次

1984年4月2日、江崎社長宅に差出人不明の脅迫状が届きます。それには「現金6千万円を8日の午後7時に西宮市熊野町の喫茶店『マミー』に持って来い」という内容が書かれており、取引に応じる場合は新聞広告を出して合図をするように、とも書かれていました。

さらに脅迫文と同封で、誘拐された際に江崎社長の声を録音したテープと、目薬の容器に入った塩酸も送られてきたといいます。

江崎社長は要求には応じず、念のため指定日当日に警察は指定の喫茶店を張っていましたが、やはり犯人グループは現れませんでした。

4月8日:毎日新聞と産経新聞への手紙

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犯人が6千万円の取引日時として指定した4月8日、毎日新聞と産経新聞各社宛に、警察に対する挑戦状と思われる内容の手紙が届きます。差出人の名前には江崎グリコ社長の江崎勝久の名前が使われていました。

タイプライターで書かれたそれには、「プロがそれだけ集まっているのだから我々を捕まえてみろ。捕まえられないのであれば、次は県警の本部長をさらう」という趣旨の内容が書かれており、この挑戦状は甲子園警察署にも送り付けられました。

そして、挑戦状を受け取った新聞社は、この内容を記事にして世間に公表することになります。

4月22日:江崎グリコに脅迫状

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4月22日、毎日新聞と産経新聞宛に、再度警察への挑戦状が届きますが、それと同じくして江崎グリコに対しても脅迫状が届くことになります。

その脅迫文は、まるで江崎社長が犯人グループとの裏取引に応じたかのような文面から始まっており、運転手に白かアイボリーのレインコートを着せて、白かアイボリーのカローラで取引場所へ来ること、豊中市上津島の「ダンヒル」というレストランに来ること、などの指示が書かれてありました。

この脅迫文には、運転手の名前や取締役の名前が正確に書いてあり、これが後に「犯人は江崎グリコ関係者」説を生み出す要因の一つになります。

かい人21面相を名乗る犯人グループ

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4月22日に新聞社に送られた挑戦状を機に、犯人グループは自分たちのことを「かい人21面相」と名乗るようになります。この名前は江戸川乱歩の小説『少年探偵団』シリーズに登場する「怪人21面相」に由来するものとみられ、その後、警察を小馬鹿にしたり、犯行の手口の一部を明かすような内容の挑戦状を何度もマスコミへ送り付けるようになりました。

また、挑戦状には当時流行していたテレビCMのキャッチフレーズをパロディにしたものや、韻を踏んだような書き方をされているものも多く、より一層世間の関心を集めました。

5月30日:江崎グリコに脅迫状

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4月22日の脅迫状以来、今度は江崎グリコの取引先である香料製造会社・長岡香料へたびたび脅迫状が送られてくるようになります。内容としては、長岡香料自体への要求ではなく、同封されている江崎グリコへの脅迫状を同社に持っていけ、というものでした。

この間の江崎グリコへの脅迫状の数々には、同社の商品に青酸カリを混入させるというような内容も書いてあり、それを恐れたグリコは裏取引に応じていたのではないかとも言われていますが、その真相は分かっていません。

そして5月31日、江崎グリコへ再度脅迫状が届きます。その内容は「摂津市にある焼き肉店『大同門』の駐車場に、3億円を積んだカローラを用意し、店に来た人物にその鍵を渡せ。」というものでした

不審な男を確保するも不審車両の追跡失敗

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犯人が指定した6月2日、捜査本部はこの取引には必ず犯人が現れると踏んで、そこで事件を終わらせるべく、大掛かりな捜査網を敷きます。

そこに1人の男性客がやってきて、グリコ社員に扮した捜査員に接触してきます。手はず通り捜査員は鍵を渡し、男性客は車に乗って走り去ろうとしますが、周りにいた捜査員がそこを取り押さえました。

その男性客は頭から血を流し、顔には殴られたような跡もあり、警察が問いただしても、「俺は違う!連れが殺されてしまう!」と要領を得ません。

捜査員の何人かはこの男性客が犯人だという可能性に疑問を持ち始め、男性客が言う本物の犯行グループとの待ち合わせ場所に向かいます。するとそこには確かに不審な車がいて、まさに逃走していくところでした。

警察はその車を追跡しましたが、あと少しというところで信号に阻まれ、犯人逮捕の絶好の機会を逃してしまいました。

6月26日:脅迫収束宣言

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焼き肉店での大捕り物から20日余りが経った6月26日、犯人らは突然、江崎グリコへの犯行を終える声明をマスコミに送りつけました。

そこには「江崎グリコゆるしたる」という文言と共に、小売店に置いた青酸入りチョコレートを回収したこと、回収しきれていない小売店の店名、自分たちがヨーロッパに逃走する旨などが書かれていました。

突然犯人から収束宣言が出たことによって、世間では江崎グリコが犯人らと裏取引をしたのではないか?との憶測も飛び交うこととなりました。

江崎グリコ事件と寝屋川アベック襲撃事件の繋がり

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江崎グリコ脅迫事件において、犯人をあと一歩の所まで追い詰めながら逃がしてしまった焼き肉店での大捕り物。その裏では寝屋川アベック襲撃事件という別の事件も起きていました。

一見すると無関係かに思われるこの二つの事件ですが、これらは思わぬ所で繋がりを見せ始め、そしてそれが警察が江崎グリコ脅迫事件の犯人を取り逃がしてしまうことの原因ともなりました。

ここでは、その寝屋川アベック襲撃事件の詳細と、江崎グリコ脅迫事件との繋がりを見ていきましょう。

カップルが3人組の男に襲撃される

Stop Fear Violence Against - Free photo on Pixabay (681980)

6月2日午後8時を回った頃、江崎グリコ脅迫事件での現金受け渡し場所となった焼き肉店から3kmほど離れた寝屋川市で、商事会社に勤める男性と同じ会社の同僚で恋人の女性が車を停めて話をしたりラジオを聞いたりしていたそうです。

そこにやってきた3人の男に襲われた男性は、暴行を受け気を失いかけ、女性は何か凶器のような物を突き付けられ車外に連れ出されました。

その後、男の3人のうち2人が男性の車に乗り込み、「言うことを聞かなければ女の命はない」と言われた男性は犯人らの指示に従い、車を走らせることとなりました。

金の受け渡しの指定場所で確保

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女性を人質に取られ、犯人らの指示に従い、車で焼き肉店近辺まで来たところで、男性は車から降ろされ、「店の中に入って左端にいる中村という人物から車の鍵をもらって(元の襲われた場所まで)運転してこい。」と指示を受けます。

こうして指示通りに鍵を受け取り、車を運転して戻ろうとしたところで警察に止められます。男性はとにかく女性のことが心配で気が動転しており、乗り込んできた警察から何を言われているのか分からなかったといいます。

カップルのその後

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