目次
- 誰が黒幕?謎多き買収事件の真相
- 曽於郡選挙で起こった買収事件
- 根拠不明の容疑で村民や当選議員が逮捕される
- 正当な選挙とは程遠い闇を世間に見せつけた事件
- 警察と政治の癒着を世間に見せつけた事件
- 事件をひも解く前に
- 金品で投票を依頼してはいけない
- 戸別訪問をしてはいけない
- 替え玉投票してはいけない
- 当選から90日以内に欠員となった場合繰り上げ当選となる
- 志布志事件の背景
- 曽於郡選挙区は自民党所属森義夫議員が強固な地盤を築いていた
- 曽於郡選挙区の定数は3人である
- 自民党公認の現職3人が当選確実の見通しとなっていた
- 森義夫は当事件を指揮していた警部と親交があった
- 選挙に関する疑問
- 強固な地盤を築くとは?
- 投票開始前の当選見込みとは?
- 特定の党が特定の地域で強いとはどういうこと?
- 特定の党に入れなければどうなるの?
- 志布志事件の詳細
- 当選確実視されていた自民党公認者の1人が落選
- 無所属の中山信一が当選
- 缶ビールの提供疑惑が持たれ志布志警察署に出頭要請
- 容疑を否定し続けるも同署で連日の取り調べを受ける
- 証拠不十分によって取り調べが打ち切られる
- 体調を崩しホテル経営者は入院
- 建設会社役員の取り調べ
- 容疑を否認し缶ビール事件は打ち切られる
- 焼酎2本と現金を受け取ったとし女性13人を取り調べる
- 容疑を否認するも再び取り調べを受ける
- 女性に発言を強要するも証拠不十分で起訴できず
- 1人の女性及びその夫を逮捕し起訴
- 当選した中山信一が買収行為を行ったとし集落の7世帯を逮捕・起訴
- 中山信一及び妻が公選法違反容疑で逮捕される
- 平成の世の中に踏み絵?
- ホテル経営者の親族に見立てたメッセージを見せる
- それらのメッセージを無理やり踏ませる
- 家族の名前を書いた紙を無理やり踏ませる
- 建設会社役員の取り調べでは事情聴取前に供述調書を作成
- 作成済みの供述調書に署名を強要
- 任意の取り調べの際道路に向かって自供を強迫
- 「自白しなければ家族全員を逮捕する」と女性を強迫
- 115日間という長期間女性を拘束
- 中山夫婦は273~395日と非常に長い期間拘束される
- 志布志事件のその後
- 裁判では自供を強要されていたとし全員が容疑を否認
- 中山信一のアリバイが提示され検察側は証拠を二転三転させる
- 起訴された全員の無罪が確定する
- 市ヶ谷の繰り上げ当選はなかった
- 2004年7月11位置に補欠選挙が実施されるも中山信一は落選
- 2006年マスコミがでっち上げの手口をスクープ
- 2007年4月9日志布志市曽於郡区で市ヶ谷らをくだし中山信一が当選
- 2007年6月22日黒幕と言われた森義夫は交通事故により死亡
- 被害者12名に刑事補償金の支払いが決定
- 志布志警察署署長黒健治は取り調べは妥当だったとし謝罪はない
- 現在も被害者は不眠に悩まされている
- 警察や司法への不信感を持っている
- 軽すぎる処分
- 志布志警察署署長黒健治は本部長注意
- 磯部 一信捜査主任は所属長訓戒
- 濱田隆広警部補は減給
- 法務大臣の不適切な発言
- 法務大臣鳩山邦夫
- 「有罪判決が出ていなければ冤罪ではない」
- 検察への激励・士気向上の意図があったと釈明
- なぜ事件のでっち上げが必要だったのか
- 警察と議員の癒着
- 政治も警察も信用できなければ何を頼ったらいいのか
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鹿児島県議選をめぐる買収容疑で不当な逮捕・取り調べによって起訴された住民が無罪判決を受け、日本にその問題意識が駆け巡っていた時です。
当時の法務大臣であった鳩山邦夫氏の発言がさらなる火種となります。
当時の法務大臣であった鳩山邦夫氏の発言がさらなる火種となります。
法務大臣鳩山邦夫
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2008年2月13日に法務省で行われた検察幹部が集まる検察長官会同の席で、当時の法務大臣鳩山邦夫がこの志布志事件について「冤罪と呼ぶべきではないと思う」と発言します。
会同の終了後、記者の質問に対して鳩山氏は「冤罪という言葉は、全く別の人を逮捕し、服役後に真犯人が現れるなど100パーセント濡れ衣の場合を言い、それ以外の無罪事件にまで冤罪を適用すると、およそ無罪というのは全部冤罪になってしまうのではないか」と釈明しました。
会同の終了後、記者の質問に対して鳩山氏は「冤罪という言葉は、全く別の人を逮捕し、服役後に真犯人が現れるなど100パーセント濡れ衣の場合を言い、それ以外の無罪事件にまで冤罪を適用すると、およそ無罪というのは全部冤罪になってしまうのではないか」と釈明しました。
「有罪判決が出ていなければ冤罪ではない」
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推定無罪の原則からすれば、起訴された時点では被告人は犯罪者として扱われるべきではなく、有罪判決が出ていない以上、厳密な意味で被告人は犯罪者とされないのであるから、「冤罪」ではないとする意見もあります。
しかし、鳩山氏の発言の文脈によると、「人違いであったり真犯人が出てくるならば100パーセント濡れ衣であって冤罪だが、この事件は違う」と言ったように取れ、「この事件は100パーセント濡れ衣だったのではなく、検察の立証不十分のため無罪となった」と考えている点に真意があるとの批判が上がっています。
また不当な扱いを受けた住民たちにとって、自分たちを無実の罪で罰しようとしていたものへの擁護発言にも取れ、彼らの怒りは想像にかたくありません。
しかし、鳩山氏の発言の文脈によると、「人違いであったり真犯人が出てくるならば100パーセント濡れ衣であって冤罪だが、この事件は違う」と言ったように取れ、「この事件は100パーセント濡れ衣だったのではなく、検察の立証不十分のため無罪となった」と考えている点に真意があるとの批判が上がっています。
また不当な扱いを受けた住民たちにとって、自分たちを無実の罪で罰しようとしていたものへの擁護発言にも取れ、彼らの怒りは想像にかたくありません。
検察への激励・士気向上の意図があったと釈明
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また鳩山氏は、この発言の契機は検察への激励と士気向上にあったと釈明しています。しかし志布志事件を「冤罪」ではないと別の事件と区別した上で取り上げることが、検察への激励や士気向上に結び付くのか疑問を呈する指摘も為されました。
元被告人である住民やその支援者の間では、鳩山氏の発言に対する批判が相次ぎ、鳩山邦夫氏は発言を事実上撤回し、陳謝することとなりました。
元被告人である住民やその支援者の間では、鳩山氏の発言に対する批判が相次ぎ、鳩山邦夫氏は発言を事実上撤回し、陳謝することとなりました。
なぜ事件のでっち上げが必要だったのか
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警察側は事件のでっち上げに関して否定しているものの、事件の経緯や状況からでっち上げの事件とされた疑問はないでしょう。公判中から「この事件そのものが警察主導で一から作り上げられた創作だったのではないか」という指摘なされていたほどです。
本来問われることのない事実無根の事件を作り上げてまでしたかったものとは何なのでしょうか。こうしてあらぬ容疑をかけられた罪のない人々、彼らの人生について、事件捏造者は考えたのでしょうか。
本来問われることのない事実無根の事件を作り上げてまでしたかったものとは何なのでしょうか。こうしてあらぬ容疑をかけられた罪のない人々、彼らの人生について、事件捏造者は考えたのでしょうか。
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容疑をかけられた住民は、不当な取り調べから受けた精神的苦痛などで訴訟を起こし、その訴えが認められている。
当時鹿児島市で開かれた記者会見にて、住民側は判決について、「取り調べの違法性を全員について認めたこと」を評価した一方で、「嫌疑がないのに何故取り調べが行われたか。真相は解決しないまま」と述べています。
当時鹿児島市で開かれた記者会見にて、住民側は判決について、「取り調べの違法性を全員について認めたこと」を評価した一方で、「嫌疑がないのに何故取り調べが行われたか。真相は解決しないまま」と述べています。
警察と議員の癒着
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インターネット新聞『JANJAN』の記事に、志布志事件の容疑者として逮捕起訴され、最終的に被害者となった中山氏のインタビューが載せられています。以下、「」内にて彼のインタビューを一部加筆修正を加えながら掲載します。
志布志事件の背景、黒幕について、記者が警察、検察の組織ぐるみのでっち上げ犯罪であるか、あるいは森義夫県議会議員と癒着していたといわれている元警部個人の暴走と見るべきかと質問します。
志布志事件の背景、黒幕について、記者が警察、検察の組織ぐるみのでっち上げ犯罪であるか、あるいは森義夫県議会議員と癒着していたといわれている元警部個人の暴走と見るべきかと質問します。
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それに対し中山氏の答えは「2つの要素があったのだと思います。地方はしがらみがとても多いのですが、そういう地域のしがらみと事件を作った元警部が一つになって起きたのだと思います。裁判の中で、元警部は議員と20年来の親交があり鞄持ちのような存在であったという証言もありました。」とし、
「今回の事件は、100人体制で捜査を行なっているのですから、他の警察官の人たちは彼にだまされていたのだと思います。また検察も、彼がつくった警察の調書を完全に信じてしまったのでしょう。」と述べます。
さらに中山氏は「地域のしがらみのなかで警察が作った事件であり、自民党多数のなかで膿が溜まっていたところに、私が議会に出てくると困ることがあったのでしょう。懐部落という小さな集落に住む本当に素朴な人間に狙いをつけて事件を作り上げ、どうしても私をつぶしたいという意図で作られたのです。」と語ります。
「今回の事件は、100人体制で捜査を行なっているのですから、他の警察官の人たちは彼にだまされていたのだと思います。また検察も、彼がつくった警察の調書を完全に信じてしまったのでしょう。」と述べます。
さらに中山氏は「地域のしがらみのなかで警察が作った事件であり、自民党多数のなかで膿が溜まっていたところに、私が議会に出てくると困ることがあったのでしょう。懐部落という小さな集落に住む本当に素朴な人間に狙いをつけて事件を作り上げ、どうしても私をつぶしたいという意図で作られたのです。」と語ります。
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次に記者は、黒幕とされた森元県議会議員について質問します。当時の選挙で森元議員は中山氏とともに当選しています。彼がもし落選していたのなら、元警部の力を借りて中山氏を逮捕し辞職させ繰り上げ当選を果たすという動機が考えられます。
記者は、森本議員が自身の当選に問題がないにも関わらず、中山氏を陥れようとする狙いが分からないと質問しました。
記者は、森本議員が自身の当選に問題がないにも関わらず、中山氏を陥れようとする狙いが分からないと質問しました。
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それに対し中山氏は「もともと土建業の経歴をもつ人ですから、基本的には公共事業がらみでしょう。また彼の鞄持ちをしている別の議員の存在もあります。私は、今まで公共事業の仕事配分などは公平にすべきだと主張してきました。ですから、私が議会に出てくることに違和感があったのでしょう。」とし、さらに
「私は、家業で米や焼酎を扱っていますが、飲食業の人たちなどとのしがらみをすべて断っています。『中山が議会に入ったら大変なことになる』、『おれに任せ』といったようなところが、見え隠れします。」と述べます。
「私は、家業で米や焼酎を扱っていますが、飲食業の人たちなどとのしがらみをすべて断っています。『中山が議会に入ったら大変なことになる』、『おれに任せ』といったようなところが、見え隠れします。」と述べます。
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また中山氏は警察や検察についての言及します。「アリバイがなく事件現場もない事件を、検察は調べもせずに警察のいうことを100パーセント鵜呑みにしてしまいました。いかに警察・検察がもろいかを露呈しました。私は、今までもこういう事件が作られてきたのではないかという気がします。」としたうえで、
「過去の議員の経歴を調べてみましたが、この地域で、1回で当選を果たした人はほとんどいないのです。いま思えば、警察との関係で、何らかの流れができていたような気がしてならないのです。」
「いままでは、約20万の大隅地区に弁護士が1人しかいなかったのです。いまは3人になりましたが、長年警察とでき合っていたような気がします。」と自らの考えをまとめます。
「過去の議員の経歴を調べてみましたが、この地域で、1回で当選を果たした人はほとんどいないのです。いま思えば、警察との関係で、何らかの流れができていたような気がしてならないのです。」
「いままでは、約20万の大隅地区に弁護士が1人しかいなかったのです。いまは3人になりましたが、長年警察とでき合っていたような気がします。」と自らの考えをまとめます。
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上記は志布志事件の被害者となった一個人の意見ではありますが、自らの肌で感じた生の声であり、現場を知っている声でもあります。
個人の意見だけで物事を判断するのはとても危険ですが、この事件の真相となる部分は、地方の強いしがらみ、村全体の暗黙のルールと政治家と警察の癒着があったと思わざるをえません。
個人の意見だけで物事を判断するのはとても危険ですが、この事件の真相となる部分は、地方の強いしがらみ、村全体の暗黙のルールと政治家と警察の癒着があったと思わざるをえません。
政治も警察も信用できなければ何を頼ったらいいのか
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