2019年10月21日 更新

志布志事件とは?黒幕は誰だった?事件の背景や真相についても

今なお語り継がれる志布志事件。何の罪もない人々が、身に覚えのない容疑で警察の不当で非人道的な取り調べを受けます。その裏には政治家や警察が絡んだでっちあげ 事件でした。幾多の日本社会の正義であるべき機関の問題を浮き彫りにした事件についてひも解いていきます。

目次

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それに対し、元警部補はホテル経営者の男性の両足を持ち、無理やりその紙を踏ませます。ホテル経営者の男性はこの事に関し「屈辱感と強い怒りを感じた」と述べています。

元警部補の弁護側は冒頭陳述で「不当な黙秘をしているという元警部補の判断には合理性が認められ、職務を行う上で許される行為として相当」と主張しました。
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この裁判の起訴状によると、元警部補は、県警捜査二課の捜査員だった2003年4月16日、志布志署での任意の取り調べ中、否認するホテル経営者の男性の両足首をつかみ、実父や孫の名で説得する文章を書いた紙3枚を1回踏ませ、精神的苦痛を与えたとなっています。

そして2008年3月18日、福岡地方裁判所は元警部補に対し、懲役10月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。元警部補はこの判決を不服として3月31日に福岡高等裁判所へ控訴したが、福岡高裁は9月9日に控訴を棄却します。

そして元警部補は最高裁判所への上告を断念し、特別公務員暴行陵虐罪での有罪が確定判決となりました。

志布志警察署署長黒健治は取り調べは妥当だったとし謝罪はない

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警察から長時間の取り調べを受けて供述を強要されたなどとして志布志市の住人が損害賠償を求めた裁判で、当時捜査の指揮にあたっていた志布志警察署の元署長黒建治が証人として出廷しました。

そこで彼は「取り調べの手法は妥当だったと確信している」と主張します。鹿児島地方裁判所で行われた審理では、彼が初めて出廷し証人尋問が行われました。

この中で黒元署長は「経験豊かな捜査員が取り調べを行っていて誘導や強要のない真摯な取り調べだった」と述べ、さらに「取り調べの手法は妥当だったと確信している」として違法な捜査はなかったと主張しました。もちろん謝罪などは一切ありませんでした。

現在も被害者は不眠に悩まされている

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あるメディアで冤罪容疑をかけられ、不当な取り調べを受けた村民の声が取材されています。当時、過酷な取り調べや長期拘留によって自白の強要され心身に異常をきたし、救急車で運ばれた人や自殺しようとした住民もいました。

「犯罪者」のレッテルを貼られて勤め先を解雇され、子どもや親類、友人に絶縁された人もいるとのこと。2007年の無罪判決確定後も、一度狂わされた人生は、簡単には戻ら無いと村の人々は訴えています。

ある男性は無罪確定後も取り調べが頭に浮かび不眠に悩み、その妻は2人組の男性を見ると、集落を張り込んだ刑事を思い出して動悸がする日が続いたそうです。

警察や司法への不信感を持っている

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起訴された全員が、鹿児島地裁での判決で買収会合はなかったと判断され、無罪となりました。検察は控訴せず、判決はそのまま確定しました。しかし、ひどい取り調べを行った警察から被害を受けた住民たちに直接謝罪するなど誠意を見せようとしません。

人生を狂わされたと言っても過言では無い不当な行いに対し、正義を守るべく警察が何の謝罪や反省の態度を示さない事に対し、住民たちは不信感を募らせました。

そしてこうした経緯により、無罪判決の同年10月に国と県を相手取って、違法な取り調べによる嘘の自白を強要など、精神的な苦痛を受けたとして民事訴訟を提起しました。

軽すぎる処分

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こうした事件の経緯から、警察のあってはならない姿や体制が露呈することとなりました。当事件を担当、関係した警察官の行いは裁かれてしかりといえます。

当事者の警察関係者はその後どのような処分を受けたのでしょうか。代表される3人の人物の処分を見ていきましょう。

志布志警察署署長黒健治は本部長注意

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先述の志布志市の住人が損害賠償を求めた裁判で、「取り調べの手法は妥当だったと確信している」と主張した、当時捜査の指揮にあたっていた志布志警察署の元署長黒建治にも処分がなされます。その内容は本部長注意という、極めて軽い処罰でした。

2007年2月に志布志事件を知り疑問を持った行政書士が原告となり、定年退職した黒健治元志布志署長の退職金を県に返納させるよう県警本部長に対して求める訴訟が起こされています。しかし、これについては鹿児島地裁が2009年1月16日に「支払いが著しく妥当性を欠くとはいえない」として、原告請求を棄却しました。

磯部 一信捜査主任は所属長訓戒

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志布志事件の黒幕とされ、2007年に交通事故で死去した元県議会議員森義夫と長年交友関係にあり、中山氏らがかけられた容疑の情報源を森氏から得たとされる磯部一信元捜査主任。森氏とのやりとりが事実であれば紛れもなく非道極まりない彼への処分は文書注意、所属長訓戒でした。

濱田隆広警部補は減給

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志布志事件で容疑者された住民に対して彼らの親族の名前を書いた紙を踏ませるなどの「踏み字」と言われる行為を強要していた取り調べの指揮官であった濱田隆広元警部補は、3ヶ月間10分の1の減給処分となりました。 

警察ないだけでの処分ではとても軽いものです。その後、濱田元警部補は、2007年8月に「一身上の都合」を理由として、鹿児島県警察を依願退職します。当初は退職金の支払いが予定されていました。

しかしホテル経営者の男性から踏み字等の違法な取り調べで刑事告訴され、福岡高等検察庁より特別公務員暴行陵虐罪で在宅起訴されたことに伴い、退職金支払いは差し止められたました。
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ホテル経営者が濱田元警部補らのことである捜査担当者から「踏み字」を強要されて精神的苦痛を受けたとして、鹿児島県を相手取って起こした民事訴訟を起こします。この結果、2007年1月18日に鹿児島地裁で、捜査手法の違法性を認め、約60万円の賠償を命じる判決が下されます。

その賠償金において、志布志市在住の司法書士が、この判決により命じられた約60万円の賠償金が税金からの拠出は不当であり、元警部補本人に同額を負担させるよう、鹿児島県の監査委員に対して住民監査請求を行いました。
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鹿児島県警察は、元警部補が在宅起訴されたことを受けて、元警部補に全額の負担を求め、元警部補がこれに応じ50万円を拠出することとなりました。

司法書士はこの対応を評価し、残り10万円については、当時の鹿児島県警本部長や捜査責任者であった警部が負担すべきであるとの見解を表明したうえで、請求を取り下げました。

法務大臣の不適切な発言

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