2019年10月21日 更新

志布志事件とは?黒幕は誰だった?事件の背景や真相についても

今なお語り継がれる志布志事件。何の罪もない人々が、身に覚えのない容疑で警察の不当で非人道的な取り調べを受けます。その裏には政治家や警察が絡んだでっちあげ 事件でした。幾多の日本社会の正義であるべき機関の問題を浮き彫りにした事件についてひも解いていきます。

目次

その後、ホテル経営者の逮捕に至らなかった警察は、このホテル経営者から投票を依頼され、缶ビールを受け取ったととし、建設会社役員を取り調べます。

ここで捜査担当者はまだ取り調べがなされていない時点で、建設会社役員が容疑を認める供述をした内容が記載された供述調書を提示します。

そしてさらに建設会社役員に彼が言わない内容の書かれた調書に署名をするよう強要するのです。

容疑を否認し缶ビール事件は打ち切られる

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建設会社役員はその強要に臆することなく、「事実と異なる」として供述調書の署名を拒否します。この件に関しても、他に証拠がなく、缶ビール事件の捜査は打ち切られます。

しかし事件はこれで終わりません。

焼酎2本と現金を受け取ったとし女性13人を取り調べる

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警察は次に、志布志町内在住の女性ら13名の取り調べを始めます。その理由は、この住民たちが中山陣営の運動員から焼酎2本と現金2万円の入った封筒を受け取ったという容疑でした。

容疑を否認するも再び取り調べを受ける

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この住民のうちの1人の女性は最初に任意で事情聴取を受けた際、容疑を否認します。しかし警察から再び出頭要請を受けました。そのため彼女は自宅近くの交番で取り調べを受けることとなります。

女性に発言を強要するも証拠不十分で起訴できず

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再び取り調べを受けることとなった女性は、変わらず容疑を否認し続けます。

しかしそれに対し、捜査担当者は「認めれば逮捕はしない」として交番の窓を開け、女性を窓際に立たせて焼酎2本と現金を受け取ったことを認める内容を「私がやりました」と通りに向かってと叫ぶよう強要します。

強要された事により、女性はその命令に従います。しかし有力な物証がないことから彼女の起訴には至りません。

1人の女性及びその夫を逮捕し起訴

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県警はさらに、現金と焼酎を配った公選法違反容疑で中山陣営の運動員として活動していた別の女性を逮捕します。

この女性は出頭要請時に「容疑を認めなければお前の家族も全員まとめて逮捕してやる」と警察官から脅迫されます。任意での同行や出頭要請は拒否することは可能でるにもかかわらず、警察官が脅しを行います。

そのため彼女はやむなく出頭に応じますが、以後115日間にわたる長期間の勾留を強いられてしまいます。3ヶ月以上にわたる拘留の結果、心身ともに衰弱していたであろう彼女は、身に覚えのない買収行為を認める内容の供述調書に署名をします。
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それにより、この女性の夫も逮捕されることとなり、181日間にわたり勾留されます。

こうした不当な取り調べにより心身ともに衰弱させられ、不本意でありながら供述調書にやむなく署名したため、彼らは起訴されることとなります。

当選した中山信一が買収行為を行ったとし集落の7世帯を逮捕・起訴

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さらに県警は焼酎・現金供与事件で任意の事情聴取に応じたうち、1名の証言をとったとします。その内容は中山氏が志布志町内の集落で4回にわたり会合を開き、出席者に現金を配る買収行為を行ったとするものでした。

このことから公職選挙法違反の容疑があるとして裏付け捜査を開始します。その結果、この集落にある7世帯の住民が次々と逮捕・起訴されます。

そして彼らは102 から186日の長期勾留を強いられることになります。15名中、9名は容疑を否認しましたが、6名は捜査担当者の自白強要や「村八分」への恐怖心から容疑を認める内容の供述をしてしまいます。

中山信一及び妻が公選法違反容疑で逮捕される

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中山氏と彼の妻は公職選挙法違反容疑で逮捕されます。両人とも容疑を否認しますが、妻は273日間、さらに中山氏は395日間と実に1年以上の長期勾留を強いられます。

中山氏が取り調べについてのちの裁判で証言しています。鹿児島地裁で開かれた本人尋問で、中山氏は不当な取り調べと長期勾留の結果、容疑を認めますが、その理由にとして捜査員から「妻は認めている。お前が認めれば妻はすぐ釈放する」と言われたからだと述べています。

しかし後に、中山氏に接見した弁護人から「奥さんが容疑を認めている事実は無い」と知らされ、中山氏は否認に転じますが、そのことで取調官から「死ね」と暴言を浴びせられ「殺せ」と言い返すと「自分で死ね」と返されたと凄惨な取り調べの実態を証言しました。

平成の世の中に踏み絵?

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志布志事件では上記にもあるように、いくつかの不当な取り調べが問題となっています。不当な取り調べの一つに「踏み絵」ならぬ「踏み字」があります。「踏み絵」とは江戸時代のキリシタン禁令によりキリスト教信者の炙り出しに用いられた道具であり手法です。

キリストや聖母が彫られた板などを踏ませ、それを拒んだ場合は「キリスト教徒」として逮捕、処罰されました。その「踏み絵」の行為が当事件の取り調べに用いられました。

次に当事件においての不当な取り調べに焦点を絞り、挙げていきます。

ホテル経営者の親族に見立てたメッセージを見せる

Quill Pen Write - Free vector graphic on Pixabay (705493)

任意の事情聴取でしたが、3日間に及んだ取り調べの3日目からホテル経営者の男性が黙秘します。警察の問いかけにも一切応じなくなりました。

そこで捜査担当者はホテル経営者の父・義父・孫の3名からのメッセージに見立てて「お前をそんな息子に育てた覚えはない」「こんな男に娘を嫁にやった覚えはない」「早く正直なじいちゃんになって」と書いた紙をホテル経営者の座る椅子の前に置きます。

しかしホテル経営者の男性はその紙を見ようとしませんでした。

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