アイルトンセナの衝撃の事故とその後！ヘルメットがオークションに？

後の調査で、セナの死因は致命的な頭蓋骨骨折であることが明らかになりました。衝突の瞬間に右フロントホイールがコックピットに侵入、セナのヘルメット右前部に激突したことが原因でした。

この時、ホイールのサスペンションがヘルメットを貫通。一部がセナの右目の少し上に突き刺さったと言われています。それでもワトキンス教授は、あらゆる手段を持ってセナの止血に努めました。

via pixabay.com

医師たちはセナをマジョーレ病院の集中治療室に搬送。心肺蘇生を施した上で、セナの体に生命維持装置を繋げます。しかし午後6時37分。セナの心臓が停止すると、今度は蘇生処置を試みない決定がなされました。

20年後に行われたインタビューで、救急医長マリア・テレーザ・フィアンドリ博士は「セナの失血は浅側頭動脈の損傷によるものであり、それ以外は無傷でセナの表情も穏やかだった」と語りました。

セナの車には、たたまれたオーストリアの国旗が入っていました。これはセナがレース後、ラッツェンバーガーに敬意を表して掲げようと用意していたものでした。

新型車への評価はネガティブ

via pixabay.com

多大なストレスとプレッシャーに悩まされながら、人生最後のレースに臨むことになったセナ。彼がストレスを感じていた要因のひとつに、所属チームの新型車に馴染めなかった（乗りこなせなかった）ことが挙げられます。

イタリア最高裁判所でも、事故原因を機械的な故障によるものと判決していますが、これに関しては今でも論争の対象になっています。

ここでは新型車ウィリアムズFW16に対する、セナの個人的な評価を紹介していきます。

新型車にストレスを感じていた

via pixabay.com

シーズン前のテスト走行において、新型車ウィリアムズのドライバーに選ばれたセナ。彼はこのマシンを以下のように評しています。

「この車の運転にはとてもネガティブな感触がある。限界までコーナーを攻める時も、そのほかの時もだ。だから快適に、自信を持って走れた周回は一周もなかった。
車に乗っている時は違和感があって、なにもかもが間違っているように感じる。シートやステアリングを変更してみたけど、それでもコックピットは狭すぎる。
去年の9月にエストリルでレースした時と比べて、ずっと難しく感じる。電子制御がないことが原因のひとつだと思う。それに、この車には独特な特性があって、まだそれに対する確信を持つことができない。
だから高い緊張感を持たなければならないし、ストレスを感じる」

事実、1994年シーズンが開幕してからのセナは苦戦続きでした。決勝において2戦連続リタイア、シューマッハに20ポイント差を付けられる結果は、セナのF1キャリアでも最悪の物だったと言われています。

ブラジル国内の事故に対する反応

via pixabay.com

世界中の人々に衝撃を与えたアイルトン・セナの事故死。その悲劇的なニュースは、母国ブラジルの人々にも暗い影を落としました。セナの死は、ブラジルにとっては英雄の死でもあったのです。

ブラジル政府は3日間にわたって喪に服すことを宣言。ブラジルに搬送される際は弟レオナルドや近しい友人たちが付き添い、セナの棺は大きなブラジルの国旗に覆われました。

ここでは、セナの訃報を受けたブラジルがどのような反応を示したのか。遺体が母国へ搬送された経緯について解説していきます。

サッカーの試合開始直後の黙祷

via pixabay.com

セナが事故死した1994年5月1日。ブラジルのサンパウロではサッカー・サンパウロFC対パルメイラスの試合が開催されますが、開催者はセナの訃報を聞いた直後に試合を中断。セナの死去をアナウンス、黙祷を行いました。

その後ブラジルではセナの国葬が執り行われ、彼の訃報に関するニュース番組が一日以上放送され続けました。国葬のテレビ中継は視聴率60%を超え、事故を掲載した新聞や雑誌も即日完売だったと言われています。

イタリアからブラジルへの遺体の搬送

via pixabay.com

セナの亡骸はヴァリグ・ブラジル航空の定期便マクドネル・ダグラスMD-11によって、イタリアから母国ブラジルへと搬送されました。亡骸はファーストクラスの客席に置かれ、空港に着いた際は空からブラジル空軍機に出迎えられました。

地上では100万人以上のブラジル国民が沿道に会し、その亡骸を迎えたといわれます。国葬ではセナと優勝を競ったライバルたちが多数参列し、亡骸はサンパウロ市にあるモルンビー墓地に葬られました。

墓碑銘の「神の愛より我を分かつものなし」は、聖書の「高いものも深いものも、その他どんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスにおける神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのである」にちなむと言われます。

日本国内の反応

via pixabay.com

日本ではF1ファン＝セナファンという認識が強く、サンマリノGPにおけるセナの事故死がきっかけで、F1ブームが一気に消沈するという事態に陥りました。

中でも熱狂的なセナファンだった古館伊知郎氏が、セナの亡くなった1994年をもってF1実況から去った話は有名です。

ここではセナの死に対する各テレビ局の反応、ホンダがヘルメットを展示した経緯、その他の反応など、日本国内で起こった出来事について解説していきます。

ホンダはヘルメットなどを展示

via pixabay.com

セナにF1マシンのエンジンを供給していたホンダ（本田技研工業株式会社）は、この頃既にF1業界から撤退し、セナとの契約も白紙に戻されていました。

しかしセナの追悼を望む日本ファンのため、ホンダはセナが1992年に運転していたマクラーレンMP4/7A・ホンダとヘルメット（ロータス時代）を青山の本社1階に展示しました。

この時は創業者である故本田宗一郎の「自動車メーカーの経営者が車の渋滞を起こすような社葬などしてはいけない」という言葉に乗っ取り、通常は一般開放厳禁である本社地下の駐車場を車で訪れたファンに無料開放するなど、最大限の誠意をもってセナの死を悼みました。

フジテレビはスポーツWAVEで報道

via pixabay.com

セナの死亡事故は、フジテレビの報道番組「スポーツWAVE」で報じられ、続いてF1グランプリ中継がイモラサーキットからの生中継で開始されました。

セナの訃報が「ニュース速報」として字幕スーパーで伝えられると、フジテレビはレースシーンの放映を中断。実況担当の三宅正治、解説の今宮純、ピットリポートの川井一仁が、セナの死を涙ながらに報じました。

その後はセナの追悼放送に切り替わり、フェラーリの後藤治がホンダ時代のセナとの思い出を語りながら「苦しまずに逝ったことが救い」と沈痛な面持ちで答えました。

その他の反応

via pixabay.com

セナの事故死はNHKをはじめとした各局でも、ニュース速報として報じられました。ワイドショーでも、セナ追悼の特集が数多く組まれました。

日本のメディアでは、タレントの石橋貴明がアイルトン・セナのパロディキャラクター『アイルトン・タカ』に扮し、番組上にて生前のセナとカート対決を行った話は有名です。

レース後、セナは石橋貴明に「鈴鹿で優勝した際のヘルメット」のプレゼントを頼まれ快諾しますが、約束通りヘルメットが届けられたのはセナの死後になってしまいました。

3 / 7

アイルトンセナの衝撃の事故とその後！ヘルメットがオークションに？

目次