2019年8月24日 更新

ラッキールチアーノの生い立ちや行った犯罪の数々!学べることは?

アメリカの禁酒法時代に、たくさんのギャングスターが生まれましたが、その中でも特にみんなから「ボスの中のボス」と慕われ憧れられた一人の人物がおりました。その名も『ラッキー・ルチアーノ』は、決して前に出すぎることを好まずに圧倒的な社会的成功者になりました。

目次

カステランマレーゼ戦争

War Money Business - Free image on Pixabay (568638)

1929~1931年、アメリカの禁酒法時代のニューヨークで、イタリア系マフィアのボス『サルヴァトーレ・マランツァーノ』と『ジョー・マッセリア』が抗争し、両陣営で十数人の死者を出し多くの流血沙汰を起こした抗争事件が、カステランマレーゼ戦争(The Castellammarese War)です。

シチリア西部の『カステッランマーレ・デル・ゴルフォ(カステラマレと略記)』出身だったマランツァーノが勝利し、ニューヨークのマフィアを『五大ファミリー』に整理し、皆に「ボスの中のボス(伊:capo di tutti capi) 」と呼ばれていた『ジョー・マッセリア』の時代は終わり、自らが新しい「ボスの中のボス」だと宣言しました。

五大ファミリーは、ラッキー・ルチアーノ主導で、縄張り争いを解決するコミッション(委員会)が常設され、全米マフィアもネットワーク化されるなど、犯罪シンジケートの基盤作りが推進されることになりました。

マッセリアと協定するもマッセリアを暗殺

Gangster Criminal Firearm - Free vector graphic on Pixabay (568639)

カステランマレーゼ戦争は、当初ルチアーノのボス『マッセリア』の勢力が大きかったが、徐々にマッセリアの形勢が不利になり始めたため、ルチアーノは『マランツァーノ』側につき、マッセリアの暗殺に加担し始めました。

1931年4月15日、ルチアーノは、マッセリアを『コニーアイランド』のイタリアン・レストラン「スカルパート」に誘い、食後にカードゲームを始めてしばらく歓談したあとトイレに行きました。

その後すぐに4人の殺し屋が入って来て、マッセリアに銃弾を浴びせ始末されました。トイレからもどったルチアーノは、何食わぬ顔で警察の到着を待ち、トイレの時間が長かったことを聞かれると「俺は一度始まると、なかなか終わらないたちでね」と長小便の習慣があると知らぬ存ぜぬで通しました。

マランツァーノと協定するもマランツァーノを暗殺

Hand Blood Smeared - Free image on Pixabay (568640)

ニューヨークのマフィアたちから「ボスの中のボス」と呼ばれたマッセリアの時代が終わり、次のボスは「ボスの中のボス」と自ら呼んだマランツァーノになりましたが、ルチアーノはこの機に古い体質の大ボスをすべて始末するつもりだったので「シチリア人だけの組織」に固執したマランツァーノも暗殺しました。

実は、ルチアーノは、マランツァーノが「ルチアーノは自分にとって危険分子だから、マッセリアを消させた後に消そう」と企んでいたことを内部情報で知っており、先手を打ったのです。

ルチアーノは以前「幹部にするからマッセリアを消して来ないか」とマランツァーノ美味しい話で誘われ、罠だと思い断ったために「死ななかったのが奇跡」と言われるほどボコボコにされ、顔に大きな傷を負わされた事を忘れていませんでした。

シチリアの晩鐘

Burglary Glass Blood - Free photo on Pixabay (568641)

1931年9月9日、ルチアーノのもとにマランツァーノから「仕事の件で話し合いをしたいので、明日ヴィト・ジェノヴェーゼと一緒に事務所まで来て欲しい」と呼び出しの電話がありましたが、殺し屋ヴィンセント・コールが、ルチアーノを消すためにマランツァーノに2万5千ドルで雇われたと知っていました。

当時のマフィアは、既にルチアーノ流のビジネスライクに変貌しており、密かに全国の親分衆と連絡を取り、古きシチリアの厳しい掟を重んじ煙たがられていたマランツァーノ討伐の許しを得ていたルチアーノは、1931年9月10日、マランツアーノを警察官に変装した4人の殺し屋に襲わせました。

ニューヨークの2大ボスが始末されたと同時に、アメリカ各地の古い体質のボスが40人ほど始末され、旧体制のマフィアが一掃された日は、13世紀にシチリア人が支配者のフランス人に反乱を起こした歴史にちなんで「シチリアの晩鐘」と呼ばれていますが、ルチアーノは「関与していない」と言いました。

最高幹部となる

Mafia Street Art Wall - Free photo on Pixabay (568642)

旧体制のマフィア『マーノ・ネーラ』が一掃されましたが、主導したルチアーノは「独裁的な大ボスの存在は、百害あって一利なし」と判断し「ボスの中のボス」の座には就こうとせず、大ボスが君臨し統治するより合理的な体制にしようとしていました。

各地区のボスに強い権限が与えられることで、他地区からは侵害できないようにされ、連合制による相互利益を目標にした新体制のマフィアに変え「コーザ・ノストラ」と名付けられました。

ルチアーノは「マフィア内で抗争するより協力し合う方が合理的だ」と新しいマフィアたちの考えを提案し、大ボスがなんでも勝手に決めるのではなく、各地区のボスから選ばれた数人の有力ボスによる合議制で決められていくことになりました。

事業の売り上げは20億ドルとも言われている

Money Dollars Success - Free photo on Pixabay (568645)

ルチアーノは、イタリア系マフィアと対立していたユダヤ系やアイルランド系などのマフィアと『提携関係』を結び共存の道を用意し、政治家や有力者との繋がりを強めて「保護と利権」という一挙両得を獲得しようと、資金を送るなどしました。

「ボスの中のボスになるよりも、マフィアの仲間それぞれが協力し合って、共存共栄を図りながら相互利益を高め合う方が何倍も有益である」と考えたルチアーノは、組織犯罪者として天才的でした。

新体制「コーザ・ノストラ」マフィア誕生以後、アメリカマフィアは年に20億ドルにも登る収益を上げており、世界最大のアメリカの自動車会社『General Motors Corporation(ゼネラルモーターズ)』略してGMより大きな稼ぎがあると言われるようになっていました。

ラッキールチアーノが行った犯罪の数々

Internet Crime Cyber - Free image on Pixabay (568647)

1658年、マサチューセッツ州で、ラム酒、ウィスキー、ワイン、ブランデー、その他どのような名のものでも、度数の高い酒は不法と見なされ、1840年代に、敬虔なキリスト教の宗派、特にメソジストにより『禁酒法』の運動が始められ、禁酒運動の風は嵐になりました。

1919年10月28日、議会により「0.5%以上のアルコールを除いて誰も少しも酔わせる酒を製造しない、売らない、物々交換しない、輸送しない、輸入しない、輸出しない、届けない、提供しない」と議決され、アメリカ合衆国憲法修正第18条との組み合わされ「国家禁酒法」が定められました。

1920年1月17日午前0時1分を境に、それまでは合法だった数億ドル規模のビジネスが違法となり、それがそっくりそのまま裏社会に流れ出ました。ルチアーノが見逃すはずがありませんでした。他にどんなビジネスをしていたのでしょうか?

麻薬ビジネス

Drugs Cocaine User - Free photo on Pixabay (568650)

麻薬は、もれなく中毒にさせやすくなることから「絶対になくならない、なくなるどころか加速して伸びていくビジネス」と誰もが認識していました。

しかし「ビジネスとして関わるのは良いが、中毒者を出しビジネスに影響されるかもしれない」とされるものでもあり「自分がしなければ誰かがするから同じこと」ということで、結局「笑いが止まらない」ほど儲かるビジネスとして、ルチアーノは10代の頃から麻薬ビジネスに手を出していました。

売春業

Girl Dance Personal - Free image on Pixabay (568653)

いつの時代も「セックス産業がなくなることはない」と言われるほど、人間の三大欲の一つとしての『性欲』は、マフィアの巨大な資金源になるビジネスに変えられるものでした。

ルチアーノは、いつでも洒落た格好をし、常に美女軍団を引き連れ、ナイトクラブで大盤振る舞いをするニューヨークのプレイボーイとしても有名で、女性の扱いもお手の物だったため、売春婦たちからも人気があり、逮捕された特でも警察に対して悪く言われることもありませんでした。

賭博

Cards Blackjack Casino - Free photo on Pixabay (568657)

強盗団としてマフィアの人生がスタートしたルチアーノは、すぐにギャンブルを仕切った方がリスクが少なく、実入りもいいことに気づいていました。

ルチアーノの参謀ランスキーは、わずか数セントでカジノに出入りできない貧乏人にも一攫千金の夢を与えた「数当て宝くじ」=「ナンバーズ・ゲーム」を考案したのですが、これがかなりの収益を上げ「バイマネー・バンク」と称する基金を設立させ、賄賂をバラ蒔き安全にビッグマネーを生み出すビジネスにしました。

3 / 8

関連する記事 こんな記事も人気です♪