2019年9月19日 更新

世界最大の大量殺人犯アンネシュ・ベーリング・ブレイビクの現在とは

2011年7月、ノルウェーのオスロで、政府庁舎前で爆弾を爆発させた後に、ノルウェーで長年行われ続けている、左派学生らだけの「平和でしかない集会」が行われている島で銃を乱射しに行き計77人を殺害した『アンネシュ・ベーリング・ブレイビク』の現在や事件の詳細は?

目次

『ノルウェー労働党の青年組織(Arbeidernes ungdomsfylking)=(AUF)』は、民主的社会主義とフェミニズムにルーツを持つ組織として定義されています。そして、労働党の若者党とされていますが、独自の定款・財政・会員を持つ独立した組織です。

AUFは、ノルウェーの政治における反人種主義的側面の重要なプレーヤーとしての地位を確立するという長い伝統も持っています。

組織内部の中央委員会は、学校・仕事、男女共同の包摂、環境・気候、国際問題の4つの政治的重点分野に分かれており、それぞれが郡の委員会に対して独自の政治的責任を負っています。

事件当時の警察への批判

Squad Car Police Lights - Free photo on Pixabay (623973)

ブレイビクが、ウトヤ島で最初の殺害を行ったのは、首都オスロの『政府庁舎爆破』事件から約2時間後の17時20分。直ぐに警察のデルタ隊に連絡がいきました。

ウトヤ島とオスロの間の距離は約40kmで、ヘリコプターなら10分で着きますが、対テロ作戦を遂行する『デルタ隊』にヘリはなく、本部か軍隊に借りるしかありませんでした。ところが、この日は一機も調達できず、30分かけて車で行く以外に方法はありませんでした。

さらに、連絡体系の不備で警察の到着は遅れ、1時間以上もの間ブレイビクはゆうゆうと反抗を続けたのです。地元の警察署には島からの電話が相次ぎ、ブレイビクは降伏のため警察に10回電話したが、2回しか繋がらなかったと供述しています。

現場到着までの時間

Bodyworn Body Camera Police - Free photo on Pixabay (623975)

ウトヤ島で、最初の殺害から一時間たっても警察は到着しませんでした。警察の移動と通信トラブルがなければ、ブレイビクはもっと早く逮捕できたのです。ノルウェーでは、警察署への電話は分岐され、中央配電盤ではなく地元の派出所に繋がりますが、この派出所で同時に通話できるのは2本だけだったのです。

あまりに電話がなるため途中で回線を増やすと、40本も電話がかかってきていたのです。最初の発砲から9分後に警察のデルタ隊に事件が知らされ、デルタ隊はオスロの爆破事件の対応中でしたが、大至急40km離れたウトヤ島へ向かわねばなりません。ヘリで行くと10分でしたが、この日は1機も確保することができませんでした。

約1時間かけて車で向かわなければなりません。ウトヤ島の桟橋には武装した警官もおり、デルタ隊は指示を出すために必死に電話しましたが全く繋がりません。ノルウェーの緊急伝達システムがアナログからデジタルに変わる過渡期で、デルタ隊はデジタル機を、地元警察はアナログ機を使用していたからです。
Dangerous Police Helicopter - Free photo on Pixabay (638656)

地元警察に繋がりましたが、音質が最低レベルで全く聞き取れず「現地で何が起きているのか?犯人が1人か?複数か?」把握できていませんでした。桟橋では「発砲しているのは1人だ」と警官が気づいていましたが、デルタ隊は島の若者から直接「警官の格好をした犯人は4人いる」と通報を得て情報を入手していたのです。

その結果、犯人を止められたはずの地元警官はその場で待機しているように命じられたのです。複数犯の犯行と信じていたデルタ隊は武装警官23人で島へ上陸することに決めましたが、一艘あった地元警察のボートを借り救助に向かいました。

しかし、定員オーバーで200m進んだボートは止まり、後方から徐々に浸水し始めエンジンが停止。市民のボートに乗せてもらい脱出できたのでした。18時26分、デルタ隊がようやくウトヤ島に上陸しました。通報を受けてから55分後のことです。

テレビ局のヘリの方が早かったという事実

Helicopter Airbus Helicopters - Free photo on Pixabay (623976)

ウトヤ島では、ブレイビクが警察が来て殺しを止めさせてくれることを今か今かと待ちながら優雅に銃殺を楽しんでいる頃、一機のヘリが島に向かってきました。

学生らは「警察が来てくれた!」と思い、大きな声で「ここだよ!」「助けて!」と叫ぶ者がいました。しかし、このヘリは警察のヘリではなくテレビ局のヘリであったため、ヘリは引き返していったのです。

叫びに出できた学生らの何人かは、ブレイビクに見つかり撃ち殺されてしまいました。

警察トップの辞任に発展

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ブレイビクは警官が現れないので殺しを続けたのです。警察の計算では、通信体系のトラブルと移動の問題を合わせて16分間を無駄にしたと言われています。あと16分到着が早ければ、20人が助かった可能性があるのです。

ノルウェーは厳しい世界の情勢から取り残された状態であったために、物事を冷静に見る目が掛けてしまったことが後の悲劇を生みました。2012年3月、警察とPSTは「事件当時の捜査に失態があった」と認め、犯人逮捕が遅れたことを公に国民に謝罪し、警察トップの辞任に発展しました。

ノルウェー政府は警察の捜査能力を向上させ、緊急時の連絡体制を強化することにしました。

ブレイビクの裁判について

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世界一平和な国で、世界最大の殺人事件を起こしたブレイビクの裁判は、まるで「正義の為に仕方がなかった」と言う主張を聞かされ続けるという、遺族でなくても怒りが抑えられないような気色の悪いものでした。

ときには薄気味悪い笑みを浮かべながら登場し、右手を上げて、ナチスドイツの思想を持つ正義の味方として登場したり、待ってましたと言わんばかりに自分の思想を公の場で述べられて嬉しいとでも言うような態度で行われました。

法廷で思想宣伝が目的

Courtroom Benches Seats - Free photo on Pixabay (623989)

ブレイビクは、アメリカのキリスト教プロテスタントの福音派の一部と、ドイツルーテル教会のマリア福音姉妹会と、、末日聖徒イエス・キリスト教会だけが認めて信じている教理『クリスチャン・シオニズム』を支持し、イスラム教・移民・多文化主義・マルクス主義を憎悪していました。

寛大に移民を受け入れ援助するノルウェーの在り方を否定し、インターネットでも移民受け入れの拡大を進める左派を非難する文書を発表し、動画サイトでは『テンプル騎士団 2083年』という12分の同じ趣旨の動画も投稿していました。

審理の公開やインタビューは行われず

Interview Microphone Communication - Free image on Pixabay (623991)

7月23日、ブレイビクは「殺人や反テロ法違反」で起訴されました。7月25日、勾留延長についての尋問のためにオスロ地方裁判所に出廷しました。

ノルウェーでは「国民の知る権利のため原則裁判の審理は全て公開される」のが普通でしたが、ブレイビクは公開審理を要求しており「ブレイビクは法廷で思想宣伝したいのではないか?」という市民からの懸念が大きく、審理は非公開になり、メディアによるブレイビク本人へのインタビューも行われませんでした。

ブレイビクは無罪を主張

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裁判では、ブレイビクが「ノルウェー連続テロ事件」を起こした動機は「イスラムからの西欧の乗っ取りを守るため」「反多文化主義革命」に火をつけることであり「非道であったことは認めるが必要なことだった」と主張し、無罪を主張しました。

審理は約40分続き、警察が求めていた8週間の勾留延長の許可を認められました。8月13日、ウトヤ島にて現場検証が行われ、ブレイビクが犯行を再現しました。11月14日の審理では、ブレイビクは「犯行は認めるが、有罪にはならない」と主張しました。

精神鑑定

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2人の精神科医が、ブレイビク容疑者と36時間にわたり面会を行い「ブレイビクは犯行時も現在も妄想の世界で生きている」=「責任能力がない」と結論づけた鑑定が出され、11月29日、裁判所に「ブレイビクは統合失調症である」という鑑定結果が提出され、裁判が行われない可能性が高まりました。

ブレイビクが精神病院で治療され収監されない可能性が大きくなったのです。反発した被害者の遺族たちにより、2012年1月、裁判所からブレイビクの再鑑定が命じられました。そんな中の3月7日、ブレイビクは「テロ及び殺人容疑」で起訴され、4月16日に公判が開始されることになりました。

公判の最大の争点は「ブレイビクの精神状態」になり、検察側は「ブレイビクを精神病療養施設へ強制収容するように」と主張しましたが、ブレイビクは「自分は精神病ではない」と主張し続けたのです。

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