2019年9月15日 更新

ジャングルジムの火災事故のその後は?事故の概要と火災の状況も

2016年11月明治神宮外苑で起きたジャングルジム火災事故。何の罪もない幼い命が一瞬にして奪われてしまいました。事故から1ヶ月、主催者側が忘年会を計画するなど非難殺到。その後、関係者たちが2019年3月に書類送検され、同年8月に裁判により判決が出ました。

目次

日本工業大学の新建築デザイン研究会ーNADSーが非難されている理由は、もう1つあります。それは、この作品自体が盗作ではないかという疑いがかけられていることです。

盗作されたとされる作品は、4年前の同イベント「TOKYO DESIGN WEEK2012」で展示された建築家・谷尻誠さんの作品「MOUNTAIN GYM」。規模や木くずの有無などの違いはありますが、中に入って遊べるようになっていることや、全体の雰囲気などとても良く似ていると、注目を集めました。

学生側の主張と嘘

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日がたつにつれて、事故の概要が次々と明るみになりました。被害者側、来場者たち、ニュースを見て心を痛めていた人たちは、なぜこのような事故が起きてしまったのか真実を知りたいと強く思っていたはずです。

しかし学校・学生、いわゆる加害者側は事故当初は嘘の証言がありました。本当に知らなかったのか、罪を別なところになすりつけようとしたのか、真意は定かではありません。

しかしとても自らの過ちを反省しているとは言えない内容に、人々の怒りをかってしまったのには間違いないでしょう。

火災を想定することはできなかったと主張

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ジャングルジム火災事故は作品の中央に置いた足元から照らした白熱電球の投光器に、木くずが引火したことにより起きました。100wの白熱電球だとするとガラス球の部分は90℃前後、口金部分は100℃以上にもなる場合があります。

燃えやすい木くずが近くにあれば、発火しやすいことは専門家ではなくても想像できそうです。しかし展示物を作成した学生は「火災が起きるとは思わなかった」と証言しています。

最悪、学生側が本当に火災が起きることを想定できなくても、顧問や学校側で監視する人や疑問を抱く人はいなかったのでしょうか?

製作者は熱を持つ白熱灯ではなく常時LED電球1つのみを使用していたと主張

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責任逃れとも言えるのが、この証言。事故が起きた後に、学生が学校側へ報告したのが「常時LED電球1つのみしか使用していない」という内容でした。

火災現場は調査が必ず行われるので、嘘の証言をしても真実は明るみになります。想定外の自体にパニックになり、保身のために咄嗟に嘘をついてしまったのか、学生の1人が独自の判断で白熱電球を使用し周りが知らなかったのか、定かではありません。

しかし真実を報告しなければならない状態において、どちらにしてもお粗末としか言いようがないでしょう。

後日白熱電球の使用が発覚し、点灯後30~40分の間に出火したとみられる

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当然のことながら、現場検証により嘘は暴かれます。作業用に用いた白熱電球の投光器を作品内に使用していたことが、わかりました。電源確保がしづらかったことから、電源タップごと中に設置していたと言われています。

この白熱電球を作品内に入れてから、わずか30~40分ほどの間に出火したとみられています。夜間作業のために用いていた投光器と言うこともあり、かなりの明るさがあるはずです。そして明るい分、温度も高くなります。

かなり高温である白熱電球が、木くずの中に設置されてしまいました。

電球と木くずを触れないように設置していたため発火の可能性を想定していた

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学生側の主張と矛盾が出てきてしまいますが、電球は植木鉢に入れて木くずに触れないよう設置されていたそうです。ということは、発火してしまう可能性を少なからず想定していたと受け止められるのも仕方ありません。

直接触れないように設置していたとしても、子供が自由に遊べるようになっている作品です。何かの拍子に木くずが白熱電球へ付いたり、かぶさってしまったりする可能性も想定できます。

例え白熱電球を使わず、LED電球だけで作品を作っていたとしても危険なことには変わりありません。熱を帯びることには変わりが無いので、近くに燃えやすい物があれば発火する可能性は出てきます。

主催者側の主張

Hip Hop Rap Microphone - Free photo on Pixabay (629132)

このような事故が起きると、責任の所在を求められるのは自然な流れです。学生・学校側に言い分があるように、主催者側であるTOKYO DESIGN WEEK 株式会社にも主張がありました。

イベント主催者側の主張も一理ありますが、入場料を設定し企画しているのであれば、学生・学校側にだけ責任を押し付けるのはナンセンスとも言えます。

1つ1つの作品を細かくチェックするのが難しいのであれば、チェックできる範囲内で公募するということも必要でははないでしょうか?

高さ制限など出品には厳しい基準を設けていた

Checklist Check List - Free image on Pixabay (629177)

TOKYO DESIGN WEEKはプロ・アマ問わず一般公募により大量の作品が展示されます。主催者側の主張によると、出品する作品においては高さ制限などの厳しい基準を設けていたと言われています。

商業施設や公園に置く遊具に関しては、国から厳しい基準を設けられています。そのため少しでも危険に繋がるものは、設置できないどころか撤去される場所もあるほどです。

しかしそれがアート作品になると、基準が設定されていないのが実情。主催者側や作成側による安全対策のもと、設置されているものがほとんどです。

出品数は600件を超えるため一つ一つを詳しく見るのは難しい

Files Paper Office - Free photo on Pixabay (629184)

イベント主催者の主張によると、厳しい基準を設定していたものの1つ1つの書類に目を通すことはできなかったと言います。その主張を物語るように、日本工業大学の提出書類には作品そのものの構造は記されていたものの、使用する素材や道具などは明記されていなかったそうです。

体験型アートと謳うのであれば、安全対策は第一条件。ずさんとも言える書類を提出した大学側も大学側ですが、一般公募にあたり基準を達しているかのチェックを怠っている主催者側の責任も大きそうです。

作品の管理は学校側が行うべきだ

Castle Lawn Great Britain - Free photo on Pixabay (629192)

結果的に事故が起きてから2年後に、TOKYO DESIGN WEEK 株式会社の社長、イベント事務局長、事務局員の計3人が会場内の安全管理を怠ったとして業務上過失致死傷の容疑で書類送検されました。

しかしこの後、イベント主催者側は「作品の管理は学校側が行うべきだ」という主張をしています。確かに学校側が事前に安全対策や管理を行っていれば防げる事故でした。

しかし1つ1つの作品が集まってこその「TOKYO DESIGN WEEK」というイベント。来場者が安全に楽しめるように、素人の作品をしっかり管理するのもイベント側のたいせつな業務のひとつではないでしょうか?

ジャングルジム火災への批判

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