2019年9月5日 更新

クマ牧場やクマによる事件や事故まとめ!日本のクマによる死亡事故

日本には登別や奥飛騨を始め、7か所の熊牧場があります。本来熊はとても臆病な存在で、山奥に入る人以外、熊牧場などでしか熊を見たことが無い人の方が多いでしょう。しかし熊は時として、人を襲う脅威の存在になるのです。今回は、そんな熊による事件や事故を紹介していきます。

日本にはクマ牧場やクマの事故が多い

Animal Zoo Bear Brown - Free photo on Pixabay (600425)

つい先日も札幌市簾舞(みすまい)地区にヒグマの親子が8日連続で出没し、2019年(令和元年)8月14日(水)に1頭のクマが射殺され、苦情が100件ほど届くというニュースがありました。確かに見た目は可愛らしく、人が襲われることはありませんでしたが、クマの身体能力はじゃれつくだけでも、簡単に人の命を奪うことが出来るのです。

日本では九州と沖縄を除き、国内の山にはたくさんのクマが暮らしています。本州にはツキノワグマが約1万2000頭前後、北海道にはヒグマが約1万頭前後生息しており、毎年何処からでクマによる事故が発生しているのです。しかしその件数は年間100件前後で、ほとんどが怪我で済んでいます。ちなみに、クマによる死亡者数は年間2~5人以内と少なく、交通事故での年間死亡者数が約3500人以上ということを思えば、よほどのことが無い限り起きることはありません。

このようにクマは本来人を襲うことも、出くわすことも無い臆病な生き物ですが、ある条件が揃った時、家畜や人を襲う恐ろしい生き物となることがあるのです。そこには、野生も飼育されているクマも関係ありません。今回は、そのような悪条件が重なる中で起きてしまった、クマによる悲惨な事故や、事件について紹介していきます。

秋田八幡平クマ牧場の飼育員死亡事故

Brown Bear Nature Park - Free photo on Pixabay (600667)

クマは本来雑食ですが、実はドングリや山菜、山葡萄などが好物で、クマの7~8割は植物性の食べ物が好きな草食系の生き物です。鮭を獲るヒグマから、肉食のイメージを持つ人も多いのでしょうが、植物系の食べ物しか食べたことが無ければ、好んで肉を食べるということはありません。

更にクマはとても臆病で、人を恐れる為、臭いや音、気配などを察すると、なるべく人の目に付かないよう隠れてしまうので、道民でも野生のヒグマを目撃したことがある人は少ないのが現実です。

では何故、街に出てきたり、人や家畜を襲うクマが出てくるのかと言えば、1番の原因は「空腹」です。そして1度でも山の幸以外の味を覚えてしまうと、今度はそれしか食べられなくなるほど、クマは特定の食べ物に執着してしまうという習性があるからなのです。ここでは、クマが空腹だったことや杜撰な管理体制によって、クマ牧場での死亡事故を起こしてしまった、秋田県八幡平クマ牧場の飼育員死亡事故について紹介します。

秋田八幡平クマ牧場について

Brown Bear Portrait Zoo - Free photo on Pixabay (600712)

秋田八幡平クマ牧場(あきたはちまんたいらくまぼくじょう)は、1987年(昭和62年)7月16日(木)にオープンしたクマ牧場です。秋田県鹿角市(かづのし)の八幡平温泉郷がある山中に誕生したこのクマ牧場では、ツキノワグマやヒグマなどを35頭展示していました。

かつて100頭程もいたと言われるこのクマ牧場は、2008年(平成20年)から長崎貞之進という経営者が引き継いでいますが経緯や詳細は不明です。しかし、クマも減り、来園者も減る中で、長崎社長が引き継いだ時から経営は苦しかったと言われています。

冬期閉鎖中の運動場からクマ6頭が脱走

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秋田八幡平クマ牧場は冬期営業をしておらず、冬の間は従業員3人がクマの世話と管理をしていました。従業員は男性の舘花清美さん(当時69歳)、女性従業員の舘花タチさん(当時69歳)と舘花タケさん(当時75歳)の3人で、全員が同じ名字なことから、兄妹や親戚などの関係性だったのかもしれません。

2012年(平成24年)4月20日(金)午前8時頃、春の開園準備の為にクマ牧場に出勤してきた3人は、それぞれが持ち場で仕事を始めました。しばらくすると、女性従業員の悲鳴が聞こえた為、清美さんがすぐに駆けつけるとタケさんが「クマが檻から逃げた!」と叫びながら逃げていましたが、直後ヒグマに襲われてしまったのです。

驚いた清美さんがよく見ると、高さ4.5mもあるコンクリート製の壁で囲まれているクマの運動場から、次々とヒグマが脱走していました。逃げ出したヒグマは6頭で、清美さんはタチさんにも大声で呼びかけましたが反応が無く、大変なことが起きたと慌てて警察に通報したのです。

事故の被害

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警察や救急車が到着したものの、運動場を脱走したヒグマ達は園内をウロついており、女性従業員2人をすぐに救出することは出来ません。

舘花タチさんもタケさんも運動場の外で倒れていましたが、この時はすでに死亡していました。のちに、遺体を回収したところ、2体とも損傷が激しく、無数の噛み傷があったと言われてます。

特に最初に襲われたと見られるタチさんは、身元確認に手間取る程損傷が酷く、顔の半分が損傷し、右腕と左手の指も食べられていたのです。

クマの処分

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自分達では手に負えないと判断した警察は、午後になってようやく猟友会へクマの射殺を命令しました。北海道の猟師ならともかく、本州のハンター達はヒグマを撃った経験の無い人が多い為、銃を持っているとは言っても現場には緊張が走ります。

特にヒグマは、身体の一部に弾が当たってもすぐに死ぬことは無く、中途半端な傷を作ることで手負いのクマと化す為、更に凶暴化する恐れがあります。絶命させる為には、頭部や眉間、心臓に命中させることが重要で、ベテランのハンターでも常に危険と隣合わせの行為なのです。

しかし、猟友会は6頭のヒグマを射殺することが出来ました。最後に隠れていたヒグマは、ショベルカーに乗ってトタンの外壁を破壊した上で、ショベルカーの中から狙撃しています。正午過ぎから始めたヒグマの殺処分は、夕方4時まで掛かり、ここでようやくタチさんとタケさんの遺体を回収することが出来たのです。のちにヒグマの解体をしたところ、胃の中には被害者女性何れかの、髪の毛や人肉の塊、ストッキングなどの下着も発見されました。

事故の原因

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クマ牧場に行ったことがある人ならば、だいたい園内の想像がつくかもしれませんが、大抵のクマ牧場は高さのあるコンクリート製の壁で囲まれた中にクマ達がいます。どこのクマ牧場も、見学する人間達はその運動場を上から見下ろすような形で作られていますが、秋田八幡平クマ牧場もそのような作りをしていました。

ヒグマは立ち上がると3m前後の大きさで、秋田八幡平クマ牧場の壁の高さは4.5mです。普段であれば、絶対に登ってはこれないこの壁を、6頭のヒグマ達が楽々と越えることが出来た原因は雪でした。この年の秋田は大雪に見舞われ、男性従業員の清美さんは、除雪作業に手間取っていたのです。

雪の捨て場に悩んだ清美さんは、クマの運動場の片隅にあるプールの存在を思い出します。そして、なんと彼はこの水で雪を解かそうと、ショベルカーで雪を運動場へとドンドン投げ棄てていきました。結果、大量の雪は溶けずにそのまま壁際に高く積み上げられ、積雪が4m以上にもなっていたのです。ヒグマ達はこの雪山を悠々と歩き、壁から脱走していたことがのちに判明しました。

秋田八幡平クマ牧場や残ったクマのその後

Money Euro 50 - Free photo on Pixabay (602955)

事件後、警察の取り調べや県の立ち入り調査の結果、経営者、長崎貞之進と事故の直接原因になった除雪を行っていた男性従業員の舘花清美は、業務上過失致死の容疑で2012年(平成24年)6月9日(土)に逮捕されました。

これを受けて、八幡平クマ牧場は6月に閉園してしまいます。実は経営者の長崎は、経営難からこの年の春の営業を終えた後に廃園する予定でいたのです。殺処分するにも移送するにしても、お金や手間が掛かることを考えた長崎は、なんと餌を極力与えずに、熊同士争わせ、自然淘汰しようとしていました。

しかし、すでに死亡事故を起こし注目されている上に、ヒグマ達の痩せ具合や劣悪な飼育管理は、元々動物愛護団体などからクレームが付けられていたこともあって、秋田県は観光などに影響するとクマ達の殺処分を引き延ばし、受け入れ先を探し始めたのです。当初は受け入れ先が見つからず、県職員が派遣され、募金などの資金で管理していましたが、2014年までの間にヒグマ21頭、ツキノワグマ6頭の合計27頭は、岐阜県や高知県、そして北秋田市が経営する阿仁熊牧場などに無事受け入れが完了しました。

阿蘇クマ牧場の自殺

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阿蘇クマ牧場とは、志村どうぶつ園でお馴染みのチンパンジーパン君とブルドッグのジェームズ君が暮らす動物園「阿蘇カドリー・ドミニオン」のことです。犬、猫、カピバラ、ゾウなどたくさんの動物達と触れ合いやショーを楽しめるこの動物園は、テレビの影響もあって大人気となりました。

実はこの動物園にも、ツキノワグマを始め、ヒグマやグリズリーなど6種類のクマ達が160頭もいる「ベアバレー」という施設があります。最近では、ツキノワの子熊と記念撮影をするふれあいコーナーや、上からクマ達を見下ろすガラスの橋などもあり、クマ牧場としても楽しめるのです。

ここで紹介するクマ牧場の事故は、1993年(平成5年)に発売され、若者達の強い支持を受けてミリオンセラーとなった「完全自殺マニュアル」という本の中に書かれていたもので、真相は不明ながらも怖い話として今もネットで話題に上がる話です。

主婦が子グマ舎へ飛び降りて自殺

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