2019年2月25日 更新

死刑囚は死にたくないと思うのか?死刑執行の方法と実態

全世界で、死刑制度は廃止傾向にあります。しかし、日本をはじめ中国など、死刑を続ける国も少なくありません。この記事では、死刑執行の方法や実態、死刑囚の心理などをご紹介していきます。死刑存置国の一員として、死刑制度に興味を持ち、知識を深めてみましょう。

目次

死刑囚は死にたくないと思うのか?

Abolition Death Penalty Execution - Free vector graphic on Pixabay (76950)

人権への配慮や、死刑制度がもたらす重犯罪抑止力効果などの議論によって、死刑制度を廃止する国も多数存在しています。誤認逮捕や冤罪などが数十年後に発覚するケースもあるため、間違った判決を下してしまう恐れからも、死刑制度に反対する団体は、少なくないでしょう。

先進国でありながら、死刑制度を取り入れている日本ですが、死刑に値する罪や死刑までの流れ、そして死刑執行方法などをご存知の人は、どれほどいるでしょうか。メディアで大々的に報道されることもないため、死刑に関する知識が乏しいのが日本の実情です。

この記事では、死刑に関する流れや、知られざる死刑囚の日常や心理、そしてどのように執行されていくのか、詳細にご紹介していきます。死刑制度を設けいている国の一員として、現状を把握してみましょう。

死刑とは

Pedestrians People Busy - Free photo on Pixabay (76955)

刑法9条で、「懲役」「禁固刑」「罰金刑」「拘留」などの刑罰が定められています。法律違反を犯した人々に対し、これまでの事例や、国民感情を考慮し、それぞれの判決を下すのです。その中には、「死刑」という刑罰も含まれています。

また、日本国憲法36条では「残虐な刑罰」を禁止するという文言があり、「死刑」という刑罰が、「残虐ではないのか」「憲法違反ではないか」と度々議論されているのです。死刑に関するこういった議論にたいし、1948年に最高裁では「残虐な刑罰に該当しない」とし、死刑が合法であると判決が下っています。

しかし、時代背景や国民感情などによって、死刑制度が憲法違反として廃止される可能性も示唆しました。現行では、死刑制度を存置している日本ですが、世界情勢や国民の心情によっては、廃止される可能性もある刑罰なのです。

死刑囚とは

Sling Hangman Hanging - Free photo on Pixabay (76980)

死刑囚とは、裁判によって死刑判決が確定した人にたいする呼称です。「死刑確定者」という呼び方をする場合もあります。犯罪を犯した人たちは、「受刑者」として、刑を受けるために刑務所に収監されます。しかし、死刑囚は、刑務所に収監されません。

死刑執行が刑罰であり、それまでは未決囚として、留置所で拘留されるのです。死刑囚は、留置所から一生出ることはできず、刑が執行されるその日まで、留置所で生活することになります。死刑囚を収監する「死刑房」が設けられている留置場は全国で7か所です。

死にたくないと思う死刑囚は多い?

Prison Cell Jail - Free photo on Pixabay (76996)

放火殺人や強盗致死罪、組織犯罪など人命や国民に与える影響の大きい事件を引き起こした人物にたいして、死刑判決が下されます。主に、3人以上の人命を奪った場合、死刑判決が下されるのです。しかし外患罪(がいかんざい)などは、人命に関係なく死刑判決が下される場合もあります。

どういったケースであっても、死刑判決が下される人物は、国民に大きな影響を与えた犯罪を犯した人物です。そのため死刑囚にたいして、「死んで当然」「極悪人」といった国民のイメージがあり、「死が怖い」という一般的な感情を持っていない異質な人物だとイメージされがちでしょう。

しかし、大きな影響を与えた犯罪を犯した人物であっても、人命を奪った極悪人であっても、私たちと同じ感情を持った人間なのです。そのため多くの死刑囚は、死刑執行によって命を落とすことが「怖い」「死にたくない」と考えています。

死刑囚は死刑執行をどう考えている?

Chains Feet Sand - Free photo on Pixabay (77012)

死刑囚にたいして、「人の気持ちを持っていないから極悪犯罪を犯せる」「他人の死にも自分の死にも興味がない」など、非人道的な人間を想像する人が大多数でしょう。死刑囚の人間らしい部分や、配慮するべき事象など、あまり報道されないことも、国民が死刑囚の心情を知れない原因の一つです。

死刑囚の心情や人間らしい部分を報道しないのは、滞りなく死刑を執行するためと、被害者家族が加害者として扱われてしまうことを危惧していると言われています。しかし、被害者家族や死刑存置国の一員として、知る権利がありますし、それらを知り死刑という刑罰について考える必要があるのです。

どんな極悪人でも死には恐怖を覚える場合がほとんど

Hand Woman Female - Free photo on Pixabay (77018)

他人の命を奪える人間であっても、自分自身の死には恐怖を覚えることがほとんどです。死刑執行は、当日の朝本人に伝えられます。そこから冷静に、執行場まで歩いていける者は、少ないと言われているのです。ある人物は大暴れし、ある人物は失禁や嘔吐を繰り返し、抵抗したと言われています。

死刑囚は、他人の気持ちを想像し、自身に置き換えることができません。大変、自分本位な考え方をしています。そのため、他人の命を奪うことができるのです。

しかしそれは、自分の命を軽んじているということではありません。一般的な人間と同じように、自分自身の命を大切だと思っていますし、間近に迫った死に恐怖を覚えるのです。

死刑執行を直前まで知らせないのはパニックや自殺を避けるため

Fence Freedom Prison - Free photo on Pixabay (77028)

前項でお伝えしたとおり、死刑執行は当日の朝まで死刑囚に知らされません。死刑執行1時間前に、死刑囚に伝えられるのです。数十年前までは、執行日前日や数日前に伝え、家族や近しい身内に会うことが許されていました。

死刑執行前に手紙を書いたり、食べたいものもある程度許されていたと言われています。これは、死刑囚が未決囚であることから、配慮するべき人権だという考え方からです。
Fantasy Spirit Nightmare - Free photo on Pixabay (77032)

しかし「明日死にます」「2日後に死にます」といった宣告を受けて、冷静でいられる人間はほとんどいません。死刑執行日の連絡を受けた直後、自殺する死刑囚や錯乱状態となり、死刑執行に支障をきたしてしまったのです。

死刑が執行されるまでは、死刑囚の命は人命として扱わなければならず、「自殺」してしまうと、刑罰が執行できなくなるため、現在の直前の報知という手段に変更されました。

いつ死刑が執行されるかという緊張感で精神を病む死刑囚も

Despair Alone Being - Free photo on Pixabay (77048)

死刑囚の中には、精神を病んでしまう人も少なくありません。死刑執行が明日行われるのか、何年先になるのかわからないため、毎日緊張状態が続くのです。

自身の「死」という絶対的な恐怖を毎日感じ続ける日々は、心理的負担もはかり知れないため、精神のバランスを崩しやすくなります。

自分の犯した罪を悔いて静かに死刑を受け入れる死刑囚も

Train Tracks Walking Journey - Free photo on Pixabay (77051)

死刑囚の中には、自身の犯した罪を悔いて、静かに死刑執行を待っている人たちもいます。こういった人たちは、執行の知らせを受けても、取り乱すこともなく、世話になった刑務官に感謝の言葉を述べることもあるようです。

2017年に死刑執行されたオウム真理教関連の死刑囚の中にも、自身の犯した罪を悔いて、家族や遺族に謝罪の言葉を残し、死刑執行された人物がいます。また、手元にあった現金を、義援金として全額寄付した死刑囚もいました。

死刑になるために殺人を犯して望み通り死刑になった死刑囚も

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