2019年5月25日 更新

佐川一政のパリ人肉事件の詳細とは?佐川一政のその後の活動と映画も

1981年にフランスのパリで日本人の青年が起こしたパリ人肉事件は、現在ではほとんど忘れ去られてしまいました。しかし、2019年に事件を扱ったドキュメンタリー映画の公開が控えており、再び注目を集めています。今回はパリ人肉事件や犯人の佐川一政について解説します。

パリで日本人が起こした残酷な事件

Fear Woman Stop Violence Against - Free photo on Pixabay (304727)

「パリ人肉事件」や「佐川一政」という言葉を聞いたことがある人は決して多くはないでしょう。かつてフランスで1人の日本人青年が起こした残酷な事件です。事件当時はフランスや日本で大きく取り扱われましたが、現在はほとんど忘れ去られています。

しかし、近年この事件を振り返る動きが生まれつつあります。2018年に事件を題材にしたドキュメンタリー映画が海外で公開され、さらに2019年夏には日本での公開が予定されています。

今回は、映画の公開を機に再び注目を集めつつあるパリ人肉事件や犯人の佐川一政について詳しく解説します。

事件の全貌

Hand Fear Despair - Free photo on Pixabay (304731)

まずはパリ人肉事件のあらましを見ていきましょう。犯人の佐川一政の人生に触れながら紹介していきます。

オランダ人女性を殺して女性の肉を食べる

Psycho Shower Stabbing - Free vector graphic on Pixabay (304733)

パリ人肉事件の犯人である佐川一政は、1949年に兵庫県で生まれました。命が危ぶまれるほどの未熟児でしたが、無事に成長します。10代のころは成績優秀な文学青年でした。

一方で子どものころから人肉食に興味を抱いており、精神科医に相談したこともありましたが、まともに取り合ってもらえなかったと本人は述懐しています。
Attack Blackmailing Crime - Free photo on Pixabay (304737)

1977年にフランスのパリ第3大学大学院に留学し、留学生活中の1981年にかねてから興味のあった人肉食を実行に移すことを決意します。もともと好意を抱いていたオランダ人女性留学生をドイツ語の詩を朗読してもらうという口実で自宅に呼び出しました。

オランダ人女性が詩の朗読をしている間に背後から銃で撃って殺害、女性は即死でした。遺体を屍姦した後で生で食べ、一部は加熱して食べたとされています。

女性の遺体を池に捨てる場面を目撃される

Handcuffs Trouble Police - Free photo on Pixabay (304741)

食べきれなかった遺体の処理に困った佐川は遺体を捨てることにしました。遺体をスーツケースに詰めてパリ西部のブローニュの森の池に投げ入れているところを通りかかった夫婦に目撃されてしまいます。

佐川は逃亡しましたが、不審に思った夫婦が警察に通報し、スーツケースの遺体を発見されてしまいます。死体遺棄から2日後に佐川は逮捕されました。

佐川の自宅を警察が捜索したところ、女性の遺体の一部が冷蔵庫に保存されており、さらに人肉食を続けるつもりであったことがうかがえます。

心神喪失としフランスの精神病院に入院

Medical Appointment Doctor - Free photo on Pixabay (304743)

逮捕された佐川は犯行を全面的に認めましたが、犯行時は心神喪失(精神の障害により善悪の判断ができないこと)の状態にあったと判断され、不起訴処分でフランスのアンリ・コラン精神病院に入院しました。

この時点でフランスはもちろん、日本でも事件が話題になっており、映画化の話まで出ていました。佐川本人も映画化に乗り気であり、著名な劇作家の唐十郎に自ら依頼するほどでした。

しかし、唐十郎は映画ではなく、小説という形で作品を発表します。その小説「佐川君からの手紙」は芥川賞を受賞しますが、佐川は作品の発表を快く思っていなかっとされています。

その後東京都立松沢病院に入院

Squad Car Police Lights - Free photo on Pixabay (304754)

1984年に佐川は日本に帰国します。東京都立松沢病院に入院し、治療を続けることになりますが、ここで1つの疑惑が持ち上がります。松沢病院は佐川は精神病ではなく、刑事責任に問えると診断したのです。

松沢病院は、佐川がフランスでの取り調べの際に「腹膜炎をやったことがある」と発言したところを「脳膜炎」と誤ってフランス語に訳したことがきっかけで、心神喪失と判断されたのではないかという見解を示しました。
Judge Hammer Auction - Free photo on Pixabay (304747)

日本の警察も松沢病院の診断を支持し、フランスの警察に捜査資料を請求しましたが、フランスの警察は資料の提供を拒否します。理由は不起訴処分になった以上、捜査を続けることはできないというものでした。

結局佐川は日本でも起訴されず、15カ月の入院の後、退院して自由の身となります。その後の佐川の人生については後ほど詳しく解説します。

カニバリズムとは

Mortality Skull And Crossbones - Free image on Pixabay (304757)

人肉食は人類史において決して珍しい現象でありません。専門的にはカニバリズムと呼ばれており、人類学などの研究対象になっています。

以下でカニバリズムの定義や事例について詳しく解説します。

人間が人間の肉を食べる「共食い」の行為

Barbecue Barbeque Bbq - Free photo on Pixabay (304761)

カニバリズム(cannibalism)とは、人間が人間の肉を食べる「共食い」のことです。日本語では「食人」「食人俗」「人肉嗜食」などと訳されます。

語源はスペイン語のCaribisでカリブ人を意味しており、16世紀の大航海時代にスペイン人の間でカリブ人が人肉を食べると信じられていたことに由来しています。
Praying Mantis Fishing Locust - Free photo on Pixabay (304765)

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