2019年5月25日 更新

佐川一政のパリ人肉事件の詳細とは?佐川一政のその後の活動と映画も

1981年にフランスのパリで日本人の青年が起こしたパリ人肉事件は、現在ではほとんど忘れ去られてしまいました。しかし、2019年に事件を扱ったドキュメンタリー映画の公開が控えており、再び注目を集めています。今回はパリ人肉事件や犯人の佐川一政について解説します。

共食いは、人間以外の生物にも広く見られるものです。昆虫のカマキリの雌が交尾の際に雄を食べる行為が特に有名です。ただし、哺乳類には極めて珍しい行為であり、ウサギなど一部の動物が限定的な条件下でまれに行うだけです。

人間の場合は、宗教的・社会的な意味を持つ場合が多いですが、それだけでなく、さまざまな類型があることが確認されています。

エンドカニバリズムとエクソカニバリズム

Cemetery Tombstone Cross - Free photo on Pixabay (304771)

宗教的・社会的な意味を持つカニバリズムは、エンドカニバリズムとエクソカニバリズムの2つに大別できます。

エンドカニバリズムとは、同じ部族の間で行う人肉食であり、「内食人」と訳されます。同じ部族や家族が死去した際に葬送の手段として死者の肉を食す行為のことです。エンドカニバリズムは猟奇的な理由ではなく、死者に対する弔いの気持ちから行われます。

エクソカニバリズムとは、部族外の人間に対する敵意から行われる人肉食であり、「外食人」と訳されます。外部の人間を威圧するために行なわれるものであり、現代でも一部で行われています。

人肉食が原因で深刻な病になる例も

Paddle Canoe Travel - Free photo on Pixabay (304774)

人肉食が原因の病にクールー病があります。クールー病とは、パプアニューギニアの一部に存在する風土病です。罹患すると体が震えに見舞われ、関節の痛みや発熱に苦しめられたあげく死に至ります。現時点で治療法は確立されていません。

クールー病の原因はパプアニューギニアの一部に伝わる風習である葬送のための人肉食であり、人肉に含まれるプリオンを摂取したことが直接的な原因です。

プリオンはタンパク質の一種で特に脳に発生することが多く、発生すると脳がスポンジ状に変化して死に至ります。パプアニューギニアでは死者の脳を食べる風習があり、プリオンが発生した脳を食べて発症したと考えられています。

緊急時に仕方なく行われる例も

Spoon Fork Cutlery Icing - Free photo on Pixabay (304776)

カニバリズムは社会的・宗教的な理由だけでなく、緊急時に仕方なく行われるケースもあります。食料供給が不安定な時代や地域では、食べるものがなくなったときに死者の肉を食べることがあります。また事故などの突発的な理由で極限状態に置かれた結果、人肉食に至るケースもあります。

1972年にウルグアイ空軍の飛行機がアンデス山脈に墜落した事故では、生き残った乗客が亡くなった乗客の死体を食べて生きながらえ、生還したことが知られています。
Good Friday Cross The Of - Free photo on Pixabay (304781)

日本では1943年に起こったひかりごけ事件が有名です。日本陸軍の船が難破し、生き残った船長が船員の遺体を食べた事件であり、作家の武田泰淳がこの事件を元に小説「ひかりごけ」を執筆して有名になりました。

この2つの事件については後ほど詳しく解説します。

松沢病院から退院した後の佐川一政

Lonely Man Sitting - Free photo on Pixabay (304783)

松沢病院を退院後の佐川一政の人生は波乱万丈なものでした。以下で退院後の佐川の活動や現在の佐川の生活について解説します。

小説家として活動

Book Reading Love Story - Free photo on Pixabay (304784)

先に解説した通り、佐川は刑事訴追されることなく15カ月で松沢病院を退院しました。その後は主に小説家として活動します。もともと文学青年であり、本人の創作意欲も強かったことから小説やエッセイなど、さまざまな形で文筆活動を行いました。

日本でも事件が大きな注目を集めたこともあり、マスコミも佐川の活動に注目して取り上げました。一方で佐川の活動は人々から激しい非難も浴びています。

警察はあくまで刑事責任に問えるという立場であったため、佐川本人はもちろん、佐川の家族まで非難されることがあったのです。

講演やトークショーなどにも出演

Public Speaking Speaker Man - Free image on Pixabay (304788)

90年代に入ると、講演やトークショーなどに出演するようになり、さらに活動の場を広げます。佐川が注目されるようになったきっかけは、1989年に起きた連続幼女誘拐殺人事件でした。

猟奇的な殺人事件に対する理解者という立場からマスコミに重宝されるようになり、多くの雑誌での連載やトークショー、講演などで活躍します。

一時期は相当羽振りが良く、月の収入が100万円に達することもあったほどです。この時期が佐川の人生の絶頂でした。

ヤミ金ののち生活保護

Bank Note Dollar Usd - Free photo on Pixabay (304789)

社会的に成功したかに見えた佐川ですが、幸せは長く続きませんでした。2000年を過ぎるころには世間から飽きられ始め、2001年にはほとんどの仕事がなくなりました。この時期には生活に困り、アダルトビデオに出演したこともあります。

収入源がなくなったにもかかわらず、羽振りが良かったころの癖で遊びがやめられなかった佐川は生活に行き詰まり、ヤミ金に手を出して借金まみれになり、人生のどん底に突き落とされました。
Guy Man People - Free photo on Pixabay (304794)

やがて父親が亡くなり、遺産で借金を返済しますが、持病の糖尿病が悪化していよいよ生活が立ち行かなくなり、やむなく生活保護を受けることになります。

その後生活保護からは脱しますが、社会復帰はままならず、完全に表舞台から姿を消すことになりました。

今現在は実弟の介護の元生活

Hospital Bed Gurney Old Building - Free photo on Pixabay (304796)

2013年に脳梗塞を発症して歩行困難になった佐川は、現在実弟の介護を受けながら年金生活を送っています。ほとんど世間から忘れ去られていた佐川ですが、脳梗塞を発症する前の2013年1月に再び注目を集めることになります。

きっかけはアメリカのウェブメディア「VICE」による佐川のドキュメンタリー映像作品「佐川一政 人を食った男」がYoutubeで公開されたことです。佐川本人へのインタビューや佐川が描いた絵などが紹介されており、賛否両論を集めました。

さらに2019年夏にこの事件を扱った本格的なドキュメンタリー作品の日本公開が予定されており、再びパリ人肉事件、および佐川一政に注目が集まっています。

2019年夏にこの事件のドキュメンタリー映画公開

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