目次
- 性的指向に混乱するのは世間だけではない
- 性的指向に関する悩み
- 自分の性的指向の種類がわからない
- 自分の性的指向の種類が変わる
- カミングアウトするタイミングと人物
- 性的指向と性的嗜好の違いがわからない
- 就職や出世に不利というのは本当なのか
- 性的指向の基本知識
- 性的に惹かれる相手の性別と自分の性別の関係性
- lgbt以外にも性的指向は存在する
- 性的指向は変わる
- 同じ性的指向であっても内容はさまざま
- 性的指向と恋愛的指向は異なる
- 戸籍上の性ではなく性自認を尊重する
- 病気や生活環境が必ずしも要因ではない
- 性的指向と性的嗜好の違い
- 性行為に関する好み
- 惹かれる対象・性別に関係なく性的に興奮する内容
- 性的嗜好の種類
- ペドフィリア
- エフェボフィリア
- ネクロフィリア
- 窃視症
- 露出症
- 動物性愛
- 性的指向と恋愛的指向の違い
- 性的指向は性的な魅力を感じる対象
- 恋愛的指向は感情的に惹かれる対象
- 恋愛的指向の種類
- 誰にも恋愛感情を抱かない→アロマンティック
- 異性にたいして恋愛感情を抱く→ヘテロロマンティック
- 同性にたいして恋愛感情を抱く→ホモロマンティック
- 異性及び同性に恋愛感情を抱く→バイロマンティック
- 男女の性別以外の人々も含め恋愛感情を抱く→パンロマンティック
- 恋愛感情を抱くが相手から恋愛感情を向けられたくない→リスロマンティック
- 性的指向診断チェック
- 異性に惹かれる→ヘテロセクシュアル
- 異性及び同性に惹かれる→バイセクシュアル
- 同性に惹かれる→ホモセクシュアル
- 人を好きになることがない→アセクシュアル
- 性別に関係なくあらゆる人を好きになる→パンセクシュアル
- 性的指向による差別の実態
- 職場や学校で差別的な発言を聞いたことがある
- 職場や学校でカミングアウトすることができない
- アウティングされたことがある
- 結婚が認められない
- 性的指向を認めていない宗教
- キリスト教
- ユダヤ教
- イスラム教
- ヒンドゥー教
- 仏教
- 性的指向に否定的な国
- イエメン
- イラン
- サウジアラビア
- スーダン
- ソマリア
- マレーシア
- 性的指向への差別によって実際に起こった事件
- 東京都青年の家事件
- 新木場殺人事件
- 一橋大学アウティング事件
- ストーンウォールの反乱
- ハーヴェイミルク暗殺事件
- フロリダ銃乱射事件
- なぜ性的指向によって差別されるのか
- 自身の理解を超えているため
- 無知による漠然とした恐怖心
- 自身が対象となる恐怖心
- 宗教観
- 生物学的理由
- 多様化する性的指向に世界も人も追いついていない
いくら性的指向はアイデンティティだと叫んでも、世界から差別はなくなりません。性的マイノリティの人たちはカミングアウトをすれば差別され、アウティングされ、権利を主張すれば差別されという経験をしている人が大部分です。
その差別から警察や法が介入する事件に発展している事例が多々あります。被害者は性的指向のマイノリティ、加害者は性的指向のマジョリティです。心無い、知識のない一部の人間が行った差別で実際に起こった事件を紹介します。
その差別から警察や法が介入する事件に発展している事例が多々あります。被害者は性的指向のマイノリティ、加害者は性的指向のマジョリティです。心無い、知識のない一部の人間が行った差別で実際に起こった事件を紹介します。
東京都青年の家事件
1989年に動くゲイとレズビアンの会が東京都にある青年の家を利用をした際、同日に施設を利用していたキリスト教団体の参加者から団体メンバーに向けて「こいつらホモの集団なんだぜ。」という言葉を投げつけられたり、メンバーが入浴しているのを少年サッカーの小学生が覗き見して笑うなど、明らかに同性愛者を差別する嫌がらせを受けました。
団体が抗議すると、キリスト教団体はが旧約聖書の一節、『同性愛の男性は必ず殺されなければならない。』を読み上げ差別的な発言を繰り返したのですが、青年の家は団体側の抗議を受け入れませんでした。
団体が後日、再度の利用を青年の家に申し込んだところ「青少年の健全な育成にとって、正しいとはいえない影響を与える」として利用を拒否されたのです。
その後、東京都教育委員会も青年の家利用条例の「秩序を乱す恐れがあると認められる者」にあたるとして使用を認めませんでした。団体は不当で差別的な取り扱いであり人権侵害にあたるとして、1992年2月に青年の家が利用できなかったことによる損害賠償を求め提訴しました。
団体が抗議すると、キリスト教団体はが旧約聖書の一節、『同性愛の男性は必ず殺されなければならない。』を読み上げ差別的な発言を繰り返したのですが、青年の家は団体側の抗議を受け入れませんでした。
団体が後日、再度の利用を青年の家に申し込んだところ「青少年の健全な育成にとって、正しいとはいえない影響を与える」として利用を拒否されたのです。
その後、東京都教育委員会も青年の家利用条例の「秩序を乱す恐れがあると認められる者」にあたるとして使用を認めませんでした。団体は不当で差別的な取り扱いであり人権侵害にあたるとして、1992年2月に青年の家が利用できなかったことによる損害賠償を求め提訴しました。
新木場殺人事件
2000年、東京都江東区新木場の公園で当時33歳の男性が、少年6名の集団リンチのよって命を奪われました。
この公園はゲイの出会いの場として知られた公園でした。少年たちは「ゲイは襲われてもゲイということがばれたくないから被害届を出せない」「ゲイは弱い」という根拠で、ゲイをターゲットにして集団リンチ、強盗を繰り返していたと言われています。
被害者の男性は因縁をつけられ暴行を受け、無抵抗のまま殺害されました。
この公園はゲイの出会いの場として知られた公園でした。少年たちは「ゲイは襲われてもゲイということがばれたくないから被害届を出せない」「ゲイは弱い」という根拠で、ゲイをターゲットにして集団リンチ、強盗を繰り返していたと言われています。
被害者の男性は因縁をつけられ暴行を受け、無抵抗のまま殺害されました。
一橋大学アウティング事件
2015年に一橋大学法科大学院においてホモロマンティックの学生Aがメールで恋愛感情があることを、別の学生Bに告白しました。その告白を受けた学生Bは「友達でいたい」と断りました。
その後学生AはSNSにおいて複数の学生にAがホモロマンティックであることをアウティングし、それをきっかけとして学生Aが不安神経症、パニック障害を発症、学内で投身自殺し死亡したのがこの事件の概要です。
翌2016年に学生Aの遺族が、相手側の学生と大学に損害賠償を求める民事訴訟を起こしました
その後学生AはSNSにおいて複数の学生にAがホモロマンティックであることをアウティングし、それをきっかけとして学生Aが不安神経症、パニック障害を発症、学内で投身自殺し死亡したのがこの事件の概要です。
翌2016年に学生Aの遺族が、相手側の学生と大学に損害賠償を求める民事訴訟を起こしました
ストーンウォールの反乱
1969年アメリカで起きた「ストーンウォールの反乱」は、LGBTの歴史に残る事件です。60年代当時、LGBTは差別の対象で、警察が不当な取り締まりや暴力をふるうことは当たり前の世の中でした。
そんな時代に、多くのゲイやトランスジェンダーが集まることができるセクシャルマイノリティの癒しの場、ゲイバー「ストーンウォール・イン」がありました。ストーンウォールに警察が不当な取り締まりを抜き打ちで行った際、二人のトランスジェンダーである女性が強く抵抗しました。
それをきっかけにその場にいた2000人を超えるセクシャルマイノリティの人々が警察に大規模な反乱を起こしたのです。LGBTが公的な権力に抵抗した初めての事件と言われています。
そんな時代に、多くのゲイやトランスジェンダーが集まることができるセクシャルマイノリティの癒しの場、ゲイバー「ストーンウォール・イン」がありました。ストーンウォールに警察が不当な取り締まりを抜き打ちで行った際、二人のトランスジェンダーである女性が強く抵抗しました。
それをきっかけにその場にいた2000人を超えるセクシャルマイノリティの人々が警察に大規模な反乱を起こしたのです。LGBTが公的な権力に抵抗した初めての事件と言われています。
ハーヴェイミルク暗殺事件
1977年アメリカではじめてゲイであることを明らかにして立候補し当選した、カリフォルニア州サンフランシスコ市の市会議員ハーヴェイ・ミルクさんは就任1年後に当時の市長とともに暗殺されました。
犯人は議員のダン・ホワイト氏でした。この暗殺は同性愛嫌悪者であるホワイト氏の計画的犯行だというのが世論の見方でしたが、ホワイト氏は計画的な殺意を否定し続け、裁判で下された判決はわずか7年の禁固でした。この判決に怒ったセクシャルマイノリティの人々は、暴動を起こしたのがこの事件です。
犯人は議員のダン・ホワイト氏でした。この暗殺は同性愛嫌悪者であるホワイト氏の計画的犯行だというのが世論の見方でしたが、ホワイト氏は計画的な殺意を否定し続け、裁判で下された判決はわずか7年の禁固でした。この判決に怒ったセクシャルマイノリティの人々は、暴動を起こしたのがこの事件です。
フロリダ銃乱射事件
2016年フロリダ州のゲイナイトクラブで、男が自動小銃を乱射後店内に立てこもった事件です。3時間後に特殊部隊が突入し犯人は射殺されましたが、犯人を含む50人が死亡、53人が負傷しました。
このナイトクラブにはゲイが多数集うことを男は知っており、日頃より男に同性愛者を嫌悪、差別する発言が目立っていたことから、同性愛者への憎悪を動機とする大量殺人事件である可能性を、男性の親族らが指摘しています。
このナイトクラブにはゲイが多数集うことを男は知っており、日頃より男に同性愛者を嫌悪、差別する発言が目立っていたことから、同性愛者への憎悪を動機とする大量殺人事件である可能性を、男性の親族らが指摘しています。
なぜ性的指向によって差別されるのか
性的指向のマイノリティは常に差別の対象となり、まるで人ではないような扱いを受けてきたことも歴史上にはあります。
近年は過去に比べれば少し改善されてきている、または改善の兆しが見え始めてきたところではありますが、そもそもなぜ世の中には性的指向のマイノリティを差別する人がいるのでしょうか。
無意識のこともあるとはいえ、性的指向への偏見、差別は現在も根強く存在しています。その理由を紐解いていきましょう。
近年は過去に比べれば少し改善されてきている、または改善の兆しが見え始めてきたところではありますが、そもそもなぜ世の中には性的指向のマイノリティを差別する人がいるのでしょうか。
無意識のこともあるとはいえ、性的指向への偏見、差別は現在も根強く存在しています。その理由を紐解いていきましょう。
自身の理解を超えているため
自分がヘテロだった場合、小さなころからそれが当たり前で、周囲もヘテロで当然という教育、文化であれば、世の中の人たちがすべてヘテロだと思い込んでしまう人も多くいるでしょう。
そのような人たちは、性的指向のマイノリティである人と出会った時に自分の今までの常識を一気に覆されることになります。
頭が柔らかければ「そうなのか」と存在を受け入れることができるでしょう。しかし受け入れられない人は、自分の理解を超える存在を差別することで自分を正当化しようとするのです。
そのような人たちは、性的指向のマイノリティである人と出会った時に自分の今までの常識を一気に覆されることになります。
頭が柔らかければ「そうなのか」と存在を受け入れることができるでしょう。しかし受け入れられない人は、自分の理解を超える存在を差別することで自分を正当化しようとするのです。
無知による漠然とした恐怖心
19世紀の思想家エマーソンの言葉で「恐怖は常に無知から生まれる」とうものがあります。知らない、予想ができないものに人間は恐怖を感じるものです。
性的指向に関する知識がないと、自分と違う性的指向の人に対して恐怖心を抱いてしまいます。きちんと向き合って話をすれば怖いことなどないのにも関わらず、恐怖心から相手を遠ざけたり、差別の対象にするのです。
知識を持っていれば、どんな性的指向の持ち主であっても恐怖心を感じることなく接することができるでしょう。
性的指向に関する知識がないと、自分と違う性的指向の人に対して恐怖心を抱いてしまいます。きちんと向き合って話をすれば怖いことなどないのにも関わらず、恐怖心から相手を遠ざけたり、差別の対象にするのです。
知識を持っていれば、どんな性的指向の持ち主であっても恐怖心を感じることなく接することができるでしょう。
自身が対象となる恐怖心
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