2019年10月15日 更新

津久井やまゆり園で起きた事件のその後と現在は?犯人の生い立ちも

相模原障害者施設殺傷事件を覚えているでしょうか?戦後最大の事件として大きく取り上げられた事件です。事件によって亡くなった方は19名もいます。今回は相模原障害者施設殺傷事件の概要と事件のその後の建て替え計画や犯人植松の思考回路や生い立ちまでを紹介していきます。

目次

捜査本部は2016年12月19日それまでに立件した殺人容疑に加えて「入所者24人に重軽傷を負わせた殺人未遂容疑」で犯人を横浜地検に追送検し、一連の殺傷行為についてすべて立件しました。

さらに津久井署捜査本部は2017年1月13日、犯人を「施設女性職員2人への逮捕、監禁致傷容疑」「施設職員の男性3人への逮捕・監禁容疑」で横浜地検へ追送検しています。

これで犯人の全ての犯行が立件されました。殺人未遂に殺人、監禁まで犯人の罪はかなり重いです。

犯人の精神状態

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近年大量殺人事件に関してよくあるケースが、犯人が心神喪失状態であったことによる無罪。中には心神喪失状態と偽り、無罪になろうとする犯人もいます。遺族にとっては心神喪失状態だからという理由で無罪になるのは許せないでしょう。

はたして犯人は心神喪失状態にあったのか?精神的な障害を患っていたのか?結論から言えば犯人はいくつかの精神障害を抱えていました。だからといって無罪になることなく、有罪判決を受けています。

犯人は当時どのような状態だったのか?人物像のヒントにもなるでしょう。

精神的な障害を煩っていた

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犯人はいくつかの精神障害を抱えていたことが精神鑑定で明らかになっています。犯人が抱える精神障害は「自己愛性パーソナリティ障害」などです。しかし犯人は自ら精神障害を患っていると、犯行を否認する姿は見せていません。

精神障害ではなく、単純に人と考え方が違うという見方もあります。どちらにせよ、これほどの大量殺人を犯して精神障害で許されるなんてことはありえないでしょう。

また犯人の精神障害は犯行と結びついているのでしょうか?犯行と精神障害の関連性も解説します。

自己愛性パーソナリティ

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犯人が抱えていた精神障害の一つは「自己愛性パーソナリティ障害」でした。自己愛性パーソナリティ障害というのはありのままの自分を愛することができず、自分は優れていて素晴らしく特別で偉大な存在でなければならないと思い込んでしまう障害です。

「人よりも承認欲求が強い」と言い換えるとわかりやすいでしょう。犯人は自分の考え方に関して自信を持っています。だからこそ職場をクビになったことが許せなかったのではないでしょうか。

クビになった自分がいけないのではなく、優れているはずの自分をクビにした職場が悪い、という考え方です。

刑事責任能力を問われる障害とは区別

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いくつかの精神障害を抱えていた犯人ですが、「動機の了解可能性」「犯行の計画性」「行為の違法性の認識」「精神障害による免責の可能性」「犯行の人格異質性」「犯行の一貫性・合目的性」「犯行後の自己防衛行動」の面から犯行時には「完全な刑事責任能力を問える状態」であったと判断されました。

実際に犯人の犯行手口を見ると、とても冷静かつ計画的です。時間を狙った犯行、職員をチェックする冷静さ、逃げるタイミングなど、全てしっかりと見極めて犯行に及んでいます。

その他のパーソナリティ障害

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自己愛性パーソナリティー障害は精神病とは違い、「性格の大きな歪み」として分類されていることもあり、無罪になることはありませんでした。犯人はその他のパーソナリティ障害も抱えていましたが、そもそもパーソナリティー障害というのは、文化的な平均から著しく偏った行動のことを指します。

以前は性格障害と言われることもあったほどで、うつ病などとの精神障害とは異なるものです。犯人自身、自分がパーソナリティー障害であることに気づいていたかどうかは定かではありません。

刑事裁判の経過

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戦後最大の大量殺人事件とされているので、やはり裁判の結果は誰もが気になるところでしょう。しかし刑事裁判はまだ執り行われていません。2017年の2月から3年の年月が必要とのことです。

検察側は死刑を求めていますが、弁護士側は自己愛性パーソナリティ障害などの精神的な障害、症状を武器に裁判に挑むのことが予想されます。遺族はもちろんですが、当時の事件を覚えている人にとって、この裁判は注目される裁判となるでしょう。

公判前整理手続きが長期化

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大量殺人事件なので、即判決が出てもよさそうですが、被害の大きさ、証拠量の膨大さから公判前整理手続が長期化しています。2017年2月の起訴から初公判期日まで3年近くを要することとなってしまいました。

遺族としては判決が出るその時まで休まることはないでしょう。公判前整理手続きというのは、刑事裁判で公判前に争点を絞り込む手続きのことです。

刑事訴訟法316条の2以下に定めがあるため、公判前整理手続きをパスすることはできません。

匿名として公判を開く

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横浜地検は刑事裁判の公判において横浜地裁へ「起訴状を朗読する際などに被害者の実名を呼ばず匿名で審理すること」を求めるよう検討。2017年6月になって「氏名・住所などを伏せるよう申し出ていた被害者」を匿名にして公判を開く方針を決定しました。

法廷でも被害者名が明かされない可能性が出たことについて、被害者の家族、障害者団体、関係者は「遺族や家族の要望を重視するのは当然」という肯定的な意見、「障害者であることを理由に特別扱いするなら差別だ」という否定的な意見に分かれています。

死刑が確定すると戦後最悪の殺人数

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刑事裁判で犯人に死刑判決が言い渡されて確定した場合、17人の殺人を犯した連合赤軍事件、16人の殺人を犯した大阪個室ビデオ店放火事件を超え、戦後最悪の数字となります。

また日本国内の大量殺人事件としては1938年に岡山県で30人が殺害された津山事件以来の被害です。つまり日本の歴史上忘れることのできない、記録に残る殺人事件となってしまいます。

そこまでの殺人を犯した犯人は一体現在どのような心境でいるのでしょうか。真相は犯人自身にしかわかりませんが、心から反省していることを願います。

第一審の公判前整理手続き

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