2019年10月23日 更新

永野 一男の最期とは?豊田商事事件の概要と殺害した犯人達のその後も

豊田商事による大規模な詐欺事件が起きたのは1980年代のことです。「金」を使ったペーパー商法で、高齢者を狙った詐欺でした。その豊田商事の会長である永野一男の死は非常に衝撃的で残酷なものでした。豊田商事の詐欺の内容、そして何故永野が死んだのかについて解説します。

目次

永野は、生涯を通して独身であったことも知られています。近い人間には「女房に累が及ぶかもしれない」と、結婚しない理由について説明していたということですが、これもまた事実であれば、永野は自分の罪について深く自覚していたことを示しています。自分の犯した罪に、妻を巻き込みたくない、だから結婚しないというのです。

なお、永野は殺された当時32歳でした。ずいぶん若くして大きな罪に手を染め、残酷な死に方をしてしまったものです。32歳であれば結婚していなくても違和感はないと思われるかもしれませんが、1985年当時は現在より平均初婚年齢もずいぶん若かったので、32歳といえばそろそろ結婚していないことを不思議がられる年齢だったのでしょう。

豊田商事会長刺殺事件として知られる

People Knife Stabbing - Free photo on Pixabay (708202)

豊田商事の会長である永野一男が、自宅マンションに押入られ、十数カ所を刺されて殺されたこの事件は「豊田商事会長刺殺事件」として知られています。この事件は、マスコミが大勢いた中で、生放送もされながら事件が起きてしまったという点で非常に異質です。

マスコミとはいえ人が大勢いたのに止めるものがいなかったのかという疑問、そして、どうして放送し続けたのかという疑問が各所から噴出しました。30年以上前の出来事ですが、現在でもその報道のあり方については非常に考えさせられる事件です。

豊田商事事件

Money Laundering Crime Fighting - Free photo on Pixabay (708208)

永野一男は、何故殺されることになったのか。それを知るためには、永野が会長を務めた「豊田商事」の詐欺事件について知らなければなりません。

非常に大規模な詐欺事件で、過去の歴史を見ても最大級の被害額とも言われる「豊田商事」事件。それは一体どのような詐欺だったのでしょうか。被害総額や時代背景からこの事件を確認します。そしてこの詐欺事件の先に起きた凄惨な会長殺人事件が及ぼした影響についても見ていきます。

1980年代に発生した組織的詐欺事件

Mask Businessman Kaufmann - Free photo on Pixabay (708219)

それは1980年代に発生した大規模な詐欺事件でした。「金」を用いた現物まがい商法を手口としており、その主な被害者は高齢者だったため、老後の蓄えを失ってしまった被害者も多かったといいます。当時「金」に対して日本国民の関心は高く、そこを狙った豊田商事(永野一男)が被害者の心の隙をついて大量の金銭を奪い去った大きな事件なのです。

豊田商事が設立されたのは1981年、永野一男が殺害されたのが1985年ですから、たった4年の間にこの大規模詐欺は行われたということになります。

被害総額は2,000億円とも言われている

Dollar Currency Money - Free photo on Pixabay (708225)

豊田商事による詐欺の被害総額は2000億円以上とも言われています。これは日本の歴史的に見ても最大級の被害額で、非常に多くの被害者をうみました。

客を信用させるためにテレビCMを多く放映したり、イベントで芸能人を起用するなど派手な企業活動を行なっていたのですが、その実、豊田商事が行なっていたのは詐欺行為という犯罪だったのです。派手な宣伝で大金を使い、そしてより一層多くの人を騙し、より多くの金を集めていました。

永野 一男が殺害されたことによって多くの謎が解明されないまま

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そもそも永野が殺害された6月18日、報道陣が自宅に大勢つめかけていたのはその日永野が逮捕されるのではという情報があったからでした。つまり永野は殺害された時点でまだ逮捕されていなかったのです。

その日逮捕される予定だったというのが本当であれば、警察は巨大詐欺事件の首謀者を逮捕して全貌を明らかにする直前に、目の前でその首謀者を殺されてしまったということになります。しかも生放送によってそれを国民に広く知られてしまったのです。大失態といって差し支えないでしょう。

このように、豊田商事の会長が殺害されたことによって、この事件には多くの謎が残されることになってしまったのです。

マスコミや警察へも多くの批判が集まった

Insecurity Judgment Relationship - Free image on Pixabay (708233)

会長刺殺事件が起きたことで、警察やマスコミには多くの批判が集まりました。警察は先述のとおり重要事件の容疑者を取り逃がしたばかりでなく、多くの人の前で他者による殺害を遂行させてしまったという点で大いに批判されました。

巨大詐欺事件の首謀者であっても、私刑が許されるわけではありません。警察によって逮捕され、然るべき手段で罪を償うことこそが必要で、それが被害者のためには重要なことなのです。それができなかったのは警察に責任の一端があることは間違いありません。

そして当然、殺害現場を生中継していたマスコミには批判が集中しました。実際に、犯人が永野を刺しているところが撮影されて放送されたわけではありません。しかし犯人が刺している最中もマンションの外から撮影していたマスコミは犯人を止めることはできなかったのかという疑問は強く残ってしまいます。

豊田商事事件の詐欺内容

Questions Who What - Free image on Pixabay (708236)

豊田商事が行なっていた詐欺行為とは、どういったものだったのでしょうか。「金」を使った詐欺であること、被害者の多くが高齢者であることはすでにご説明しました。ここからは、豊田商事の詐欺行為について、具体的な手口を追っていきます。

どうしてターゲットは高齢者だったのか、どうやって被害者の心を掴んでしまったのか、そして被害者を騙すためにどのような説明をしており、どのようなごまかし方をしたのか。細かく確認してみましょう。

独居老人を狙い親しくなる

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豊田商事が詐欺をはたらくターゲットとしたのは、主に一人暮らしの高齢者でした。頼る人がいない、相談できる相手が近くにいない高齢者をターゲットにして詐欺を行う手法は現在でも多く使われているので、ピンとくる方も多いでしょう。

豊田商事では、まず女性社員が無差別に電話勧誘を行っていました。ただ、それだけで契約させることができたわけではありません。電話でのセールストークの中で、押しに弱そうであったり見込みがありそうな人に目星をつけて、次に直接営業担当者がその高齢者の自宅に押しかけます。

そこで長々と居座り、やや強引に契約させるというのが手法でした。直接家に来た営業担当は、客の世話を焼いたり、「息子と思ってください」などの言葉を使って高齢者の寂しい気持ちの隙に入り込み、契約を取ったのです。

客に金の購入を持ちかける

Gold Ingots Golden - Free photo on Pixabay (708240)

金(ゴールド)は、昔からその価値が特定の国の市場にほとんど左右されない実物資産として流通してきました。例えば円やドルなど法定通貨と呼ばれるものの価値は、発行している国への信用などによって変化する可能性を常に持っています。しかし、金地金(ゴールドバー)には世界共通の価値があり、大幅な変動の不安はありません。

その「金」を購入することを、豊田商事は持ちかけるのです。資産を金で持つことのメリットは確かにありますし、ひとつの資産運用の方法として有用であることは間違いありません。しかし豊田商事が客に金を買わせた後に行っていたことが問題でした。

客が購入した金を会社が預かる

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