2019年7月26日 更新

カラスがかわいいと人気に?カラスの飼い方や注意点も

屋根の上に、電線に、ごみ置き場に、いつも見ているカラス。しかし、カラスの姿はそれだけではありません。カラスは良く知るととてもかわいい一面があり、静かに人気急上昇中なのです。カラスの魅力や、もし飼いたいと思ったらどうすれば良いかをご紹介します。

人間の情報を仲間と子供に共有する

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カラスは仲間と知識や経験を共有していると考えられていますが、この点を調査するため、アメリカの大学である実験がおこなわれました。

まず、怖い顔のゴムマスクをかぶった人が、7羽のアメリカガラスを捕らえ、恐怖心を与えた後に放ちます。その後、怖いゴムマスクと普通の顔のゴムマスクをかぶった人が大学構内を歩いたところ、怖い顔のマスクをかぶった人が歩いた時にはカラスたちは大騒ぎして危険を知らせ合うような反応を見せました。しかし、普通の顔のマスクの方には特に何の反応も示しませんでした。
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さらに、この怖い顔に警戒するカラスの反応は、次第に大学キャンパス周辺にまで広がっていったのです。その反応は5年たった後も見られ、さらに実験開始当時よりも警戒するカラスが増えました。これは、カラスが親や群れの仲間の反応を通して脅威を学ぶことを示していると言えます。

カラスは仲間の行動を真似て学習する、いわゆる「模倣学習」を得意としています。この模倣学習によって、カラスは親から子へ、仲間から仲間へ、情報共有をおこなっているのです。

車でクルミを割る

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車でクルミを割る行動が見られるのは、主にハシボソガラスです。ハシボソガラスは元々クルミや貝などを高いところから落として割る行動が良く観察されていますが、車を使うようになった発端は人間の行動だと考えられています。

この行動が見られ始めたのは仙台の東北大キャンパス内ですが、その前から近くの自動車教習所でも見られていたようです。カラスが割れなかったクルミを、教習所の教官が轢いて割ってやっていたことから覚えたのではないかと言われています。この行動は岩手、秋田、長野などにも広まっているそうです。
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また、アメリカではフェリーが到着し車が下船する時間を見計らって、あらかじめ貝を置いておき、車に割らせるという行動が確認されています。これはカラスが車の通る場所や時間、貝を車に轢かせて割らせる方法、様々な情報を結び合わせるだけの知能があることを示しています。

他にも、おせんべいを川で湿らせて食べる姿が目撃されており、カラスは硬くて食べられないものがどのようにしたら食べられるようになるか、良く理解していることが分かります。

賽銭箱からお金を盗む?

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以前テレビで、「カラスが賽銭箱からお金を盗んで、自動販売機でハトの餌を買って食べる」という報道があり、話題になりました。しかし、これはどうもガセネタのようです。

もともとは、どこか外国でカラスがトークンを拾い、自販機か何かに入れたらしいという噂があり、そこから尾ひれがついて番組に取り上げられただけのようです。元の噂も裏が取れておらず、「都市伝説」と言った方が良いかもしれません。ですが、このような噂が信じられるのも、人がカラスを賢いと思っている証拠だと言えるでしょう。
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カラスがお金(硬貨)や宝石を盗むことはあります。カラスは光るものが好きで、中には光るものをコレクションする個体もいます。シートン動物記に登場するカラス「銀の星」は、貝殻やおはじきを集めて穴を掘って隠し、掘り出してくちばしでくわえ、遊ぶところが描かれています。

また、飼っているカラスにダイヤのエンゲージリングを取られてしまったという人もいます(返してと頼んだところ、持ってきて足元に落としてくれたそうで、ここからもカラスの知能の高さが分かります)。

とは言え、訓練なしにお金と物を交換できることを知り、実践するのはいくらカラスでも難しいでしょう。カラスを飼育して教えれば、買い物も覚えられるかもしれません。

ゴミ捨て場の荒らし方

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カラスが人に嫌われる一番の理由は、ゴミを荒らすという点にあるでしょう。カラスはビニール袋の中においしいものが入っていることをよく知っており、ゴミ缶からビニール袋を引っ張り出しては足で押さえ、器用に中身を引きずり出します。

食べられないと分かったら放り出してしまうため、カラスがあさった後のゴミ捨て場の周りにはゴミが散乱し、人をいらいらさせ、カラスへの怒りを募らせる原因となります。

カラスは嗅覚が弱く、もっぱら視覚で物事を判断しています。ビニール袋に赤や茶色がのぞいていると、食べ物と認識して喜んで飛びかかります。赤や茶色は大好物の果物や肉の色だからです。
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しかし、袋の中身が見えないと無関心になります。その習性を利用して、人には半透明に見えるけど、カラスには不透明に見えるゴミ袋が開発されました。このため、「カラスは黄色が嫌い」と間違った情報が広まり、単に黄色い袋やネットがカラスよけに売り出されたりもしていますが、カラスには特に嫌いな色はありません。

また、カラスよけにゴミ捨て場や畑に案山子や目玉模様の風船、カラスの死骸を模した人形などを吊ることもありますが、カラスは「いつもそこにあり、自分に危害を加えないもの」はすぐに覚えて気にしなくなります。

カラスにゴミを荒らされたくなかったら、カラスが絶対に入れないようにゴミ置き場を金網で囲ったり、バケツのふたをしっかり閉めたりすることが大切です。そもそも、ゴミ袋が半透明になったのは、人がゴミ捨てのルールを守っていなかったから。カラスを憎むより、自分たちの行動を振り返った方が良さそうです。

人間年齢7歳の知能を持っている?

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ニューカレドニアガラスは道具を使いこなすことで有名なカラスで、「生物界随一の知能を持つ」とも言われています。そのニューカレドニアガラスと、人間の子供たちの知恵比べ実験をおこなった研究者がいます。

テストに使われるのは水の入った細い筒です。中には小さないかだが浮かべられており、肉片が乗っていました。筒は細く、くちばしは入りません。周りには小石が散らばっています。

カラスたちは道具として石を使うことを教えられたのち、このテストにチャレンジします。すると彼らはいともたやすく筒の中に石を入れて水位を上げ、ごちそうを手に入れることができました。カラスたちの成績は同じような課題を与えられた5歳児より優れていました。
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次に、石の代わりに2種類の四角い物体が与えられます。見た目は同じですが重さが違い、軽い方は水に浮きます。つまり水位を上げることはできません。カラスはほぼ間違いなく重い物体を選び、軽い方は使いませんでした。なんと人間の7歳児よりも成績が勝っていました。

最後に、3つの筒を使ったテストがおこなわれました。両側の2本の筒はやや太く石が入りますがごちそうは浮いていません。真ん中の筒はごちそうが浮いていますが、細過ぎて石が入りません。

実は両側の筒のうち片方が真ん中の筒とつながっていて、その筒に石を入れると細い筒の水位も上がる仕掛けになっています。しかし、つながっているところは台座に隠れていて見えません。このテストでは、カラスは全くのお手上げでしたが、6歳児は難なくやり遂げました。
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これは知能の高低ではなく、子供はテストをクリアしたり筒に石を入れたりする行動そのものを楽しみますが、カラスは労力が報酬に見合わない場合、テストそのものを放棄してしまうからだとも考えられます。このように、知能テストの結果は動機付けの強弱によっても変わってくるので、判断は難しいところです。

そもそも、知能は学習能力や推理力、記憶力など様々な面が合わさって判断されるもので、ひとつのテストだけでどちらが賢いと決めつけることはできません。以上のことから、カラスがとても賢いことは事実ですが、その知能が人間の何歳児に当たるかは「はっきり分からない」という結論になるでしょう。

カラスを飼う方法

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カラスのファンになり、こんなかわいいカラスがいつもそばにいてくれたら…と思う方もいるのではないでしょうか。しかし、カラスを手に入れるのはなかなか難しいものです。カラスを飼う方法をご紹介しましょう。

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