目次
- 山形マット死事件の概要
- 男子生徒が帰宅しないため両親が部活顧問に連絡
- 体育館用具室で男子生徒が遺体で発見される
- 遺体はマットの中に逆さの状態だった
- 死因は窒息死
- いじめを行っていた生徒7人を逮捕・補導
- 校長は「いじめや暴行はなかった」と説明
- 被害者「児玉有平くん」について
- 生い立ち
- 家族構成
- 小学校高学年からいじめにあっていた
- 集団宿泊施研修から顔を腫らして帰宅
- 加害者側の自白・供述内容
- 加害者Aが自白した「いじめを始めた経緯」
- 加害者Aが自白した「事件当日について」
- 加害者Aの供述
- 加害者Cの供述
- 犯行を認めていた加害者が供述を翻し始める
- 被害者家族は「村八分」にあっていた
- 村八分とは
- 被害者家族への誹謗中傷
- 取材現場では「騒ぎ立てるな」
- 加害者少年7人への判決
- 逮捕・初等少年院送致・教護院送致
- 最高裁は約5760万円の支払いを命じた
- 賠償金支払わず、差し押さえへ
- 現在までに加害者側からの賠償金・謝罪はない
- 村八分が原因で起きた事件
- 静岡県上野村村八分事件
- 天理市夫婦村八分事件
- 山口連続殺人放火事件
- いじめが原因で起きた事件
- 大津市中2いじめ自殺事件
- 桐生市小学生いじめ自殺事件
- 風化させてはいけない山形マット死事件
小学校高学年からいじめにあっていた
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児玉有平君は、小学校の高学年頃から「いじめ」にあっていました。1992年夏頃、部活動でいじめられた経験のある兄(中3)が、「部活動でいじめられていないか」と有平君に尋ねると、有平君は「いじめられてもギャグを言って切り抜けるから大丈夫」と答えていました。
いじめはないよと否定しないところが、日常的に「いじめ」があったのではないかと想像してしまいます。
いじめはないよと否定しないところが、日常的に「いじめ」があったのではないかと想像してしまいます。
集団宿泊施研修から顔を腫らして帰宅
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1992年9月、集団宿泊研修から有平君は顔を腫らして帰宅しました。両親は家族に「いじめられているのではないか」と相談しています。学校側は有平君に事情を聞きますが、本人がいじめられたことを認めなかったため「放置」しました。
加害者側の自白・供述内容
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加害者Aが自白した「いじめを始めた経緯」
加害者Aが児玉有平君を知ったのは、「一発芸をしてみんなを笑わせる奴」と友人から聞いたのがきっかけです。有平君は学校の人気者の様に振舞ってはいいたものの。実際はいじめで嫌々やっていることに気づいたといいます。有平君が標準語を話す裕福な家庭の子という妬みもあり、いじめはエスカレートしていきます。
Aたちは1993年9月頃から、学年が1つ下の有平君をいじめ始めます。Aと友人2人は教室棟の階段に呼び出し、頬の肉をつまんでやる「たこ焼き」という1発芸をさせますが、その際にAは有平君の肩、友人は背中を殴ります。それが最初のいじめだったようですが、有平君は反抗したり誰かに言いつけるようなことはしませんでした。
Aたちは1993年9月頃から、学年が1つ下の有平君をいじめ始めます。Aと友人2人は教室棟の階段に呼び出し、頬の肉をつまんでやる「たこ焼き」という1発芸をさせますが、その際にAは有平君の肩、友人は背中を殴ります。それが最初のいじめだったようですが、有平君は反抗したり誰かに言いつけるようなことはしませんでした。
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この頃、Aは体育館のマット用具室にあるマットに頭から入って遊んだこともあったようです。この時、Aは「マットの中が想像以上に窮屈で、呼吸が難しくなり友人に必死に呼びかけ救助してもらったが、その時の恐怖は後まで覚えていた」と語っています。
加害者Aが自白した「事件当日について」
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事件当日、2年でサッカー部のB・バドミントン部のCが部活中の児玉有平君に対して無理やり一発芸をさせるために、体育館にあるマット用具室の前に連れてきており、Aも様子を見に行きました。このときそばにいたのは、バスケットボール部のD・野球部のE・そして1年の卓球部F・サッカー部のGなど総勢7人でした。
7人は有平君をマット用具室に押し込み、顔面を殴ったり足を蹴ったりと暴力を繰り返しました。そして有平君が一発芸を断ったことでエスカレートしていきます。そして、かつて自分(A)が恐怖を覚えた方法を有平君に実行します。「許してください、助けてください」と叫び声をあげても、7人は聞く耳を持たずマット用具室から出ていきます。
AはそのままBとEでバスケットをして、午後5時頃には学校を出てデートを楽しんでいます。有平君をそのままにしておいては危険だと知っていたにも関わらず、「他の誰かが引き上げるだろう」と自ら救出しに行くことはありませんでした。
7人は有平君をマット用具室に押し込み、顔面を殴ったり足を蹴ったりと暴力を繰り返しました。そして有平君が一発芸を断ったことでエスカレートしていきます。そして、かつて自分(A)が恐怖を覚えた方法を有平君に実行します。「許してください、助けてください」と叫び声をあげても、7人は聞く耳を持たずマット用具室から出ていきます。
AはそのままBとEでバスケットをして、午後5時頃には学校を出てデートを楽しんでいます。有平君をそのままにしておいては危険だと知っていたにも関わらず、「他の誰かが引き上げるだろう」と自ら救出しに行くことはありませんでした。
加害者Aの供述
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マット室で暴行があった翌朝、Aは母親から有平君がなくなったことを聞かされます。そして、登校し同じクラスだったDに口止めをしています。この日の昼には、警察から事情聴取されていますが、「体育館には行っていない」「児玉君には会っていない」という供述を一貫していて、聴取後にはEにも口裏を合わせようとしており、その日の夜にはBとの電話でも、お互いに嘘をつき通すことを確認し、翌日15日の朝にはCに対して口止めを行っています。
1月17日には2回目の事情聴取を受けています。事情聴取を終えたとき、1人の婦警が声をかけています。この婦警はAにとって母親のような存在で。「どうしたのA君?」という質問に、嘘をつき通すと言っていたAは、あっさり犯行を自白し加害者である他の6名の名前も挙げています。
1月17日には2回目の事情聴取を受けています。事情聴取を終えたとき、1人の婦警が声をかけています。この婦警はAにとって母親のような存在で。「どうしたのA君?」という質問に、嘘をつき通すと言っていたAは、あっさり犯行を自白し加害者である他の6名の名前も挙げています。
加害者Cの供述
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1月13日午後4時10分頃、有平君がAコートとBコートの境にネットを張りにきたと言います。(明倫中学校の体育館では、Aコートを卓球部・Bコートをバドミントン部が使用することになっていて、それぞれ東側を男子、西側を女子が使用するというルールになっている)ネットを張っていた有平君にCは一発芸を強要し、有平君は「金太郎」という劇をさせられており、その後有平君は卓球部の練習に戻っていきました。この後、Cはサッカー部のBと遊んでおり、有平君の劇について話し、Bは見たいとCと一緒に有平君をマット用具室へ連れていき一発芸を強要します。このときD・E・Aが話を聞きつけ合流します。その後は加害者Aの供述と一緒です。
犯行を認めていた加害者が供述を翻し始める
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自白していた7人ですが、1月25日には、供述を翻す少年が出てきます。それは児玉有平君を先行して殴っていたEです。「今まで言っていた事はすべて嘘です。実は児玉君の顔もよくわかりません」「僕は何もしていません。あの日、Bコートの方には1歩も入っていません」と証言、弁護士との接見でEは全面否認に転じていたのです。
Eの否認を受け、他の少年たちも自白していた供述を翻していきます。そして加害者の弁護団は「児玉有平君は、ひとり遊びをしていて自分からマットに入って死んだ」という事故説をたてます。体育館で目撃していた生徒の中には「あれは嘘でした」と言い始める者も出てきて、当時体育館にいた50人近くの生徒たちも「知らない。見ていない」と非協力的でした。最終的には、少年1人を除く6人が否認という結果になりました。
Eの否認を受け、他の少年たちも自白していた供述を翻していきます。そして加害者の弁護団は「児玉有平君は、ひとり遊びをしていて自分からマットに入って死んだ」という事故説をたてます。体育館で目撃していた生徒の中には「あれは嘘でした」と言い始める者も出てきて、当時体育館にいた50人近くの生徒たちも「知らない。見ていない」と非協力的でした。最終的には、少年1人を除く6人が否認という結果になりました。
被害者家族は「村八分」にあっていた
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裕福で新築を建て引っ越してきた児玉一家。標準語を話しており、地域住民からすると嫉妬も混ざり、「生意気だ」という老人もいました。
村八分とは
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村八分とは、村落(村社会)において、掟や秩序を破った者に対して課される制裁行為です。一定の地域に居住する住民が結束して交際を断つこと(共同絶交)です。地域社会から特定の住民を排斤したり、集団の中で特定のメンバーを排斤したりする行為を指しています。
地域生活における十の共同行為のうち、葬式の世話と火事の消火活動の二分以外の一切の交流を断つとされています。ちなみに残りの八分は、成人式・結婚式・出産・病気の世話・新改築のお祝い・水害時の世話・年忌法要・旅行です。
地域生活における十の共同行為のうち、葬式の世話と火事の消火活動の二分以外の一切の交流を断つとされています。ちなみに残りの八分は、成人式・結婚式・出産・病気の世話・新改築のお祝い・水害時の世話・年忌法要・旅行です。
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