2019年5月26日 更新

ハーメルンの笛吹き男は実話?その怖いあらすじと男の正体や子ども達の末路

ハーメルンの笛吹き男はグリム童話のひとつ。笛吹きの男が町の子供たちを連れ去ってしまう・・・というのが大まかなあらすじですが、これに実話説があることは御存知でしょうか?ここでは笛吹き男の正体、物語の怖い真実、舞踏病説などの仮説について紹介していきます。

ハーメルンの笛吹き男の伝承

Flute Player Flautist Flutist - Free vector graphic on Pixabay (307894)

グリム童話といえば、老若男女問わず世界的に親しまれる児童書として有名です。これらの物語は残酷な結末を迎えるお話も数多く、時代の変遷に伴って幾度となく脚色、改訂が加えられてきました。

ハーメルンの笛吹き男も例に漏れず、物語の大まかな流れは原本に沿いながらも、連れ去られた子供たちがその後どうなったのか等、肝心な部分はあえて伏せられていたりします。
Bell Historic Center Tower - Free photo on Pixabay (308734)

こうした部分を紐解き、秘められた真実を知ることで、グリム童話は単なる子供向けの絵本に留まらない、奥深いテーマ性に富んだ話であることが分かるようになっています。

まずはハーメルンの笛吹き男の大まかなあらすじを見ていきましょう。その後、物語の結末に関する様々な考察を紹介していきます。

ハーメルンの笛吹き男のあらすじ

Cloister Monastery Courtyard - Free photo on Pixabay (307911)

ハーメルンはドイツに存在する都市で、その歴史は古くから石器時代までさかのぼります。集落から都市へと発展したのはフランク王国時代の9世紀頃で、笛吹き男の伝承の元となった事件が起こったのは1284年のことです。

この年号は中世後期に確定されたもので、以来ハーメルンはネズミ捕りの街と称されるようになりました。主な名所はハーメルン劇場、ネズミ捕りの家、市民公園で、地元出身の有名人に野性児ピーター、ハインリヒ・ビュルゲル(19世紀の生物学者)等がいます。

笛吹き男のネズミ退治

Nutria Water Rat Coypu Beaver - Free photo on Pixabay (307914)

1284年、ハーメルンの町にネズミが大量発生。食料や衣服はおろか、小さな子供や病人までかじられるという事態に、町民の誰もが頭を悩ませていました。

そんなある日。奇妙なまだら服を着た道化師風の男がやってきて、報酬を払えばネズミを駆除すると持ちかけます。男が笛(ピッコロ、フルート説が有力)を吹くと、その音色に誘われてネズミが集まってきました。

男はネズミの群れを郊外のヴェーザー川へ連れて行き、一匹残らず溺死させてしまいました。町の人々は男の力に恐れを成し、報酬を反故にしてしまいました。

笛吹き男が子どもを連れ去る

Boy Scout Scouting - Free photo on Pixabay (307921)

6月26日の朝(昼説もあり)。ハーメルンに再び笛吹き男が現れ、町の子供たちを連れ去ってしまいます。子供たちは笛の音に誘われるように家を飛び出し、その数は130人という大所帯になりました。

たまたま出遅れて難を逃れた子供の話によると、彼らはポッペンベルク山の洞窟に入って大岩で入り口を閉ざし、二度と戻ってくることはなかったそうです。

異説によっては、足の不自由な子供、目の見えない子供、耳の不自由な子供だけは家に残されたと言われます。

子ども達はハンチントン舞踏病だった?

Cancer Ribbon Syndrome - Free vector graphic on Pixabay (307932)

ハーメルンの子供たちは、どうして笛吹き男について行ったのでしょう?物語には「子供たちは踊りながら去って行った」と記述があるのみで、なぜ大人は連れ去られなかったのか、子供たちとネズミの共通点は何だったのか、詳しいことは何も分かっていません。

子供たちの失踪事件については、後に様々な仮説が立てられました。ここでは物語の子供たちの様子、仮説のひとつとなっているハンチントン舞踏病の症状や特徴について解説していきます。

物語の子ども達の様子

Rainbow Children Play - Free image on Pixabay (307943)

物語の中で、町の子供たちは楽しそうに踊りながら笛吹き男について行きました。記述によっては、これがハンチントン舞踏病ではないかとする説もあります。

舞踏病の集団発生は、当時のヨーロッパでペスト(黒死病)が流行した過程で発症したとも言われ、別の作家が書いた1376年という日付とも一致しています。

現在では1284年説の方が有力なため、疫病説は他の仮説ほどには有力視されていません。子供たちの集団行進は死の舞踏(ヨーロッパの絵画)の表現ではないかとする説もあります。

ハンチントン舞踏病とは?

Partner Display Dummy Doll - Free image on Pixabay (307948)

ハンチントン舞踏病とは、大脳の異常が原因で進行性の不随意運動(体が言う事を聞かなかったり、自分の意志とは無関係に動いたりする)を引き起こしてしまう症状のことです。

子供たちが踊りながら歩き出したのも自分の意志に反した行動だとすれば、舞踏病が流行していたとする説も納得のできる話です。

しかしながら舞踏病を最も発症しやすいのは35歳~44歳の成人期で、幼年期の子供が発症する確率は10%に満たないと言われています。

ハーメルンの笛吹き男は実話?男の正体は?

Flute Player Musician - Free photo on Pixabay (308439)

ハーメルンの事件で記録されているのは子供たちが失踪したという事実のみで、笛吹き男については詳しい記述が残っていません。ネズミ退治の話も、後の時代になって付け加えられた創作だったのです。

笛吹き男は何者だったのか。本当に実在したのか。ここでは物語の起源、笛吹き男の正体についての考察、子供たちが集団失踪した原因、その後どうなったのかの仮説について紹介していきます。

物語の起源は不明

Villa House Gloomy - Free photo on Pixabay (308446)

ハーメルンでネズミが大量発生したのは1559年頃が初であり、それ以前の記録はもちろん、1284年の子供たちが失踪した事件とは何の関わりもありません。

何世紀にも渡って研究、調査されてきた笛吹き男の物語ですが、歴史的な事実に基づいた明確な説明は、どの記録を探しても明らかになっていません。

子供たちの失踪事件に関して様々な憶測や仮説が飛び交い、脚色されるようになったのも、笛吹き男の物語が民間伝承から発展した物に過ぎず、笛吹き男の本名や素性に関して何ひとつ分かっていないためでもあったのです。

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