2019年5月26日 更新

三毛別羆事件は漫画や映画の題材に?事件の詳細と海外の反応は?

史上最大の獣害事件として、映画や漫画の題材にもなっている三毛別羆事件。なぜこのような事件が起こったのか?どうやって解決したのか?ここでは事件の詳細、資料館に展示されている羆の剥製、事件を題材にした創作、海外の反応、事件の生き残りについて解説していきます。

Night Photograph Star Schlern - Free photo on Pixabay (283972)

羆風もまた、矢口高雄さんの代表作のひとつに数えられています。開拓当時の北海道で繰り広げられた人間とヒグマの争いを、圧倒的な描写力で克明に再現されているのが特徴です。

自然の風景描写やヒグマの襲撃シーンが臨場感にあふれるだけでなく、開拓民によって棲家を追いやられたヒグマ(通称:袈裟懸け)の視点からもストーリーが語られるという、革新的な試みもされています。

物語終盤で人間たちに追い詰められた袈裟懸けは「山奥に帰りたいがもう無理だろう」と感じ、死の直前に後ろ足で立ち上がって威嚇します。自然の王者に対する、ある種の経緯を払った描き方でした。

三毛別羆事件を題材にした映画

Bear Brown Wildlife - Free photo on Pixabay (283986)

三毛別羆事件を取り扱った映画には、先述した『熊嵐(高倉健主演のラジオドラマ版もあり)』の他、『リメインズ 美しき勇者たち』という作品があります。

ここでは千葉真一氏監督の映画『リメインズ 美しき勇者たち』の見どころ、監督、出演者、映画の裏話等について詳しく解説していきます。

リメインズ 美しき勇者たち

Snow Mountain Hiking - Free photo on Pixabay (283993)

当初は深作欣二さんが監督を務める予定だったリメインズですが、本人の強い要望によって千葉真一さん監督の映画に変更されました(深作さんは企画監修で参加)。

主演の真田広之さんは音楽監督も担当し、ジャパンアクションクラブ(JAC)のアクション俳優らと共にマタギの役で出演しています。アクション監督には金田治さんを起用。

終盤の冬山でヒグマを追いかけるシーンは、自然の美しさとスタントがコントラストになっているほか、厚さ20mmの防弾ガラスを2枚重ねした檻の中に人間が入り、実際にクマと対峙するという命懸けの撮影も行われました。

監督は千葉真一

Drinking Glasses Straw Drink - Free photo on Pixabay (283995)

監督の千葉真一さんは日本を代表する名俳優で、アクション映画のジャンルを確立させたアクションスターの一人に数えられます。本名は前田禎穂(まえださほ)。元は体操選手でしたが身体の悪化により引退。大学中退後、俳優界の道に転じました。

俳優に転身後は「新・七色仮面」 「アラーの使者」で頭角を現し、ドラマ「キイハンター」でアクションスターとしての地位を不動のものとしました。スティーブン・セガールを始め、千葉氏の演技はハリウッド俳優にも高く評価されています。

アクション界を退いた今でも、千葉氏は作曲活動を始め、国内外問わず多方面で活躍しています。

ユキ役は村松美香

Sunset Sheep Dike - Free photo on Pixabay (283998)

リメインズに登場するヒグマ『アカマダラ』は『女のみを食らう』という設定があり、そのために女性のマタギ(猟師)を登場させる必要がありました。そこで、ヒロインの『ユキ役』に起用されたのが村松美香さんです。

プライベートの村松さんは明るい人柄で知られ、出身校の堀越高等学校には藍田美豊さん、木村亜希さん、志村香さん、橋本美加子さん、森高千里さん、八木小織さん、安原麗子さん、山瀬まみさんなどの同級生がいました。

リメインズ以外の出演作品には巨獣特捜ジャスピオン(特撮)、太閤記(時代劇スペシャル)などがあります。

三毛別羆事件の詳細

Mountains Snow Mountain - Free photo on Pixabay (284358)

ここからは三毛別羆事件の発端から解決に至るまでの経過を、日にちごとに詳しく解説していきます。史上類を見ない凶悪事件は6日間にも渡って続き、山奥の事件とあって、世間に周知されるまで長い時間がかかりました。

インターネットも携帯電話もなく、交通や連絡手段も限られていた大正時代の獣害事件。後に語られる小説や映画ではマタギの活躍が頻繁に取り上げられていますが、当時は誰もがヒグマの脅威に恐れおののき、事件の解決に全力を尽くしました。

人肉の味を覚えてしまった羆

Brown Bear Winter Ice - Free photo on Pixabay (284351)

ヒグマはネコ目クマ科の哺乳類。あらゆるクマ科の中でも最大級の体長を誇り、日本に生息する陸上哺乳類でも最大の種と知られます。

本来は雑食性の動物で、ヒグマが人間に襲いかかるのも警戒心や恐怖心からだと言われています。サケが好物ですが、時に応じて自由に食性を変え、場合によっては共食いもします。

一度人間の味を知ってしまったヒグマは、人間を獲物と認識し、何度も人間を襲うようになります。三毛別羆事件のヒグマは最初に女性を食害したため、女性ばかりを狙うようになりました。

事件一日目(12月9日)

Lake Snow Nature - Free photo on Pixabay (284359)

事件のきっかけは11月初旬。六線沢の池田家に、巨大なヒグマが出没したことから始まりました。この時は飼い馬が暴れたおかげで、ヒグマは驚いて逃走。被害も少しばかりのトウモロコシに留まりました。

これによって、家を襲ったのは冬眠に失敗したヒグマ『穴持たず』だと分かりました。主人の池田富蔵さんは二人のマタギと協力してヒグマを待ち伏せますが、仕留めるには至らず取り逃がしてしまいます。
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12月9日。
太田家の寄宿人、長松要吉(通称・オド)さんが昼食を食べようと家に戻ると、土間の囲炉裏端に蓮見幹雄(太田家に預けられた子供。同時6歳)さんが前かがみで座っていました。

オドが回り込んで幹雄さんの顔を覗き込むと、喉の一部がえぐられ、側頭部に親指ほどの穴が空いていました。幹雄さんは既に事切れていたのです。同居していた太田三郎さんの妻(内縁)、安倍マユさんの行方も分かりませんでした。
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騒ぎを聞きつけた男たちが家を調べたところ、この被害はヒグマの仕業だと分かりました。トウモロコシが干されていた窓を破られ、そこにヒグマの侵入した足跡が残っていました。

この事件で村は大騒動となり、太田家から500m離れた隣家の明景(めいけい)家に身を寄せ、対策を話し合うことになりました。

ヒグマ討伐のため取り急ぎ村役場へ連絡を取らなければならないものの、通信手段は誰かが直接出向くしかありませんでした。

事件二日目(12月10日)

Bear Paw Beast - Free photo on Pixabay (284352)

連絡役に選ばれた斉藤石五郎さんは、早朝に村を出発。家族は明景家に預けられました。残った村人たちも30名ほどの捜索隊を組織し、安倍マユさんの捜索に乗り出しました。

森に入った捜索隊は、トドマツの根元で巨大なヒグマに遭遇します。猟銃は寒さで手入れが行き届いておらず、発砲できたのは5丁の内1丁のみ。ヒグマは逃走してしまいました。

その後、捜索隊は雪の中でマユさんの遺体を発見します。膝下の脚と頭蓋骨しか残されていない、無残な姿でした。人間の味を覚えたヒグマは、マユさんの遺体を保存食にしていたのです。

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