2019年6月17日 更新

アメリカ最大の殺人犯ゲイリー・リッジウェイの犯行と生い立ちや現在

1982年〜2001年にかけて分かっているだけでも49人の女性の命を奪ったゲイリー・リッジウェル。シアトルに位置するグリーン川に死体が遺棄されることが多かった為グリーン・リバー・キラーと呼ばれ世界中を震撼させました。そんな凶悪連続殺人事件の詳細を紹介します。

目次

それに対する警察の対応

Technology Police Car Roof Blue - Free photo on Pixabay (340839)

結果としてテッド・バンディが挙げた犯人像はリッジウェルに非常に近いものであり、遺体遺棄後の行動も、まさに言い当てていたことになります。しかし警察はテッド・バンディのプロファイリングを採用することはありませんでした。リッジウェイは実際に何度も遺体遺棄現場に戻っていたのに、そのチャンスを生かすことはなかったのです。

中には、ほんの僅かながらテッド・バンディのプロファイリングを参考にする刑事もいましたが、大規模な捜査には至らずに、その後17年もリッジウェイは野放しにされました。

捜査に協力するなか、テッド・バンディが自分の事件に関する資料を見たがったりしたことも、警察にプロファイルを信用されなかった理由の一つです。警察は、テッド・バンディは本当に捜査協力をしたいのではなく、他に意図があるのではないかと怪しんだのです。

死刑執行を引き延ばすのが目的?

Hanging Rope Hangman - Free vector graphic on Pixabay (340853)

警察に捜査協力を申し出たテッド・バンディは、当時フロリダ州のスターク刑務所で死刑執行を待つ死刑囚でした。そのため、捜査協力することによって死刑を引き延ばすことが、彼の本当の目的と思われたのです。

実際テッド・バンディは弁護士を雇わず自らが自分の弁護士として裁判に立つことで手錠などの拘束を弱め、その隙に裁判所の図書館から逃走を成功させたことがありました。また、その後収監された後も脱獄を成功させるなどしたため、テッド・バンディのプロファイルが警察から信用されないこともある意味で仕方がなかったと言えます。

高い知能を最大限に生かし、凶悪な殺人を重ねたテッド・バンディの死刑が執行されたのは、1989年1月24日、彼が42歳の時でした。死刑が執行されると、刑務所周辺では大きな歓声が上がり、中には花火をあげて喜ぶ人もいました。

ゲイリー・リッジウェイの生い立ち

Log Cabin Barn - Free photo on Pixabay (340880)

世の中には、一般の人には到底理解できないような思考回路を持つ自己中心的な犯罪者がたくさんいます。特にリッジウェイやテッド・バンディのような凶悪犯罪者は社会病質者、いわゆるサイコパスと呼ばれる人々に分類されます。

犯罪心理学者ロバート・D・ヘアによるとサイコパスとは、良心などの感情が欠如している・普通に嘘をつく・罪悪感がない・無慈悲である・他者に極端な冷酷である、などの特徴を持ち、さらにその中でも反社会的行動が見られる人々のことを指します。また彼らの多くは幼少期から行動面で異常が見られると言います。

ではグリーン・リバー・キラーとなったリッジウェイは、いったいどんな生い立ちを持ち凶悪殺人者への道を歩むことになったのでしょうか。

ゲイリー・リッジウェイの幼少期

Boys Playing Friends Children - Free photo on Pixabay (340886)

1949年ユタ州西部に位置するソルトレイクシティで3人兄弟の次男として生まれたリッジウェイは、その後ワシントン州のシアトルに移住します。

幼い頃のリッジウェイは静かな少年でした。失読症とされ、あまり賢くなかったと言われています。IQは82で、IQは平均値が100ということからもリッジウェイが平均より知能が低かったことが分かります。

また、13歳までおねしょをすることがあり、その度に母親が着替えさせてあげていたというエピソードがあります。ある程度成長してもおねしょをしてしまうという夜尿症は、シリアルキラーに多く見られる幼少期の特徴とも言われています。

父親と母親

Father Son Walk - Free photo on Pixabay (340899)

そんなリッジウェイの父親トーマス・ニュートン・リッジウェイは、バスの運転手でした。近所の売春婦の存在に不平を言うことが多々あり、そのことは後のリッジウェイの犯行にも大きく関係していると思われます。

一方、母親のメアリー・リタ・リッジウェイは子供に厳しい人物だったとされています。勉強が苦手なリッジウェイは、母親によく怒られていました。そんな高圧的な母親は親戚からその性格を責められ、親戚と両親による激しい口論が頻繁に繰り広げられていました。

逮捕後リッジウェイは心理学者に、思春期の頃自分は時母親を殺害することを妄想していたと告白しています。また一方で、母親に対し性的魅力と憎しみを抱いていたことも告白しているのです。

16歳で事件を起こす

Fog Coniferous Forest Spruce - Free photo on Pixabay (340904)

リッジウェイが最初に事件を起こしたのは16歳の時でした。6歳の少年を森に連れて行き、木の棒で刺したのです。この少年は肝臓を刺されましたが、なんとか生き延びます。リッジウェイは後にこの時のことを、「人を殺すのは楽しいと思った」と言っています。

リッジウェイのような凶悪犯罪者は、先天的にサイコパスの特徴を持って生まれてきたわけではなく、後天的にそうなったと考えられています。母親の高圧的な性格と教育、そして親戚との頻発した口論が、他人を傷つけても何も感じない性格を生み出した可能性は否めません。

高校卒業後に米国海軍に入隊

Usa Flags Stars And Stripes United - Free photo on Pixabay (340909)

リッジウェイは高校卒業後の1969年、19歳の高校時代からの恋人クラウディアと最初の結婚をします。その後リッジウェイはアメリカ海軍に所属し、ベトナムへ行きます。戦地ベトナムでは娼婦を買い漁り、その結果淋病などの性病を患いますが、そのことも気にせずリッジウェイは避妊具も付けずに売春婦との性行為を続けました。

そんな生活をリッジウェイがベトナムで送っている間に、妻のクラウディアはリッジウェイの友人と浮気をします。結果彼らの結婚生活は崩壊し、離婚へ。リッジウェイはベトナムから帰国後も売春婦に執着し、彼女たちを買い続けました。

3度の結婚

Paper Page Ring - Free photo on Pixabay (340914)

リッジウェイは合計3回結婚しています。最初の妻クラウディアと彼女の不倫が原因で離婚した後、2番目の妻と出会い、結婚しました。2人は子供にも恵まれましたが、今回も妻の浮気によって離婚します。

リッジウェイは息子マシューのことは溺愛していましたが、周囲には2番目の結婚生活のことを「満たされない結婚生活だった。最初の結婚は満たされていた」と語っています。マシューは前妻に引き取られ、寂しさからリッジウェイの歓楽街通いは加速しました。

その後目撃者や逃げ切った女性が現れ、容疑者として警察に疑われるも釈放されたリッジウェイは3度目の結婚をします。3度目の妻であるジュディス・モーソンとの結婚生活がリッジウェイの心満たすものであった証拠に、ジュディスとの結婚以降被害者の数は4人と、それ以前に比べて急激に減りました。

ゲイリー・リッジウェイの私生活

Shutters Architecture Window - Free photo on Pixabay (340862)

たくさんの殺人を犯しても20年近く逮捕されなかったゲイリー・リッジウェイ。彼は殺害・遺体遺棄現場からさほど距離の離れていない場所に住み、普通に生活し、犯行を重ねていたのです。

またリッジウェイは3度も結婚し、子供もいます。一緒に生活する人がいて、毎日仕事を共にする人がいる状況で殺人という大罪を繰り返すことは、困難なように思われます。

家族や周囲の人に気付かれることなく犯行を重ねられたのは、どうしてだったのでしょうか。またリッジウェイは私生活で、どんな人物と認識されていたのでしょうか。

トラックの塗装工

Spray Cans Color Of - Free photo on Pixabay (340868)

高校を卒業しベトナムへ行ったリッジウェイは、帰国後およそ30年間にわたりトラックの塗装工として生計を立てます。そんな中、リッジウェイに変化が起こります。2番目の妻と結婚している時に、リッジウェイは急に宗教熱心になったのです。

彼は職場でも家でも聖書を音読し、聖書の説教に涙し、2番目の妻にも牧師の教えに従うべきだと主張するようになります。信仰深く教会に通い、時には娼婦の存在に不平を漏らしていたリッジウェイは一方で、頻繁に歓楽街へ足を運び娼婦を買い漁っていました。

こういった相反する二つの行動について専門家は、リッジウェイは当時聖書の影響を受けた信仰熱心な部分と、性への倒錯した欲望の狭間にいたと表現しています。

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