2019年9月13日 更新

瀬織津姫は龍神?瀬織津姫の話や「君の名は。」との関係性とは

神社からもその名を消され、封印されてしまったという女神「瀬織津姫」を知っていますか?映画「君の名は。」では、夫であるニギハヤヒと瀬織津姫の愛が描かれていると言われています。今回は、龍神とも言われ、スピ界では復活を望む声も多い、瀬織津姫について紹介します。

謎に包まれている瀬織津姫

Japan Aso Cloud Sea Of - Free photo on Pixabay (620626)

神話を知らない国は滅ぶと言う言葉は、トインビー博士の残したものです。

日本にも古事記や日本書紀などの神話はありますが、戦後GHQによる日本人弱体化計画(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム略してWGIP)として、神話の類はことごとく教科書から消されてしまいました。勿論、自虐史観を植え付ける為に、この国の歴史書や古文書の多くが焚書(ふんしょ:書物を焼き捨てる)されたのです。

このように、歴史を創るのは常に勝者です。しかし、その影には必ず悲しい結末を迎える敗者達がいました。その時々の権力者に都合の悪い事実は消されていく運命にありますが、敗者達は自分達の物語を神話や口伝、そして昔話などに隠しながら、のちの世に真実を伝えようとしてきたのです。
Sculpture Mask Tears Bronze - Free photo on Pixabay (620723)

戦後の教科書以外に歴史を知らない日本人達は、長い間日本の神話を教えられず、愛国心を持つことを禁じられていました。しかし、その反動か最近では古事記などに興味を持つ人や、神社巡りをする人、そして生まれ育った日本という国が好きだと口に出す人達も増え、勝者達が必死に隠そうとしていた真実が、徐々に炙り出されてくる時代となってきたのです。

最近はそのような中で、かつてほとんど注目されていなかった縄文時代や、古代日本にも興味を持つ人達が増えたおかげで、今まで隠されていた女神の名前も登場し始めました。その名は、瀬織津姫(せおりつひめ)。

日本は神武天皇から万世一系の王朝が続く世界最古の国です。しかし、実はそれ以前の縄文時代と呼ばれる日本の文明は、約1万6千年以上前からあるのです。その間争い(戦争)の形跡は無く、人々はとても平和に暮らしていたことが判明しており、瀬織津姫はその時代の女神だったと言われています。今回は、未だに謎が多く、ネットでも様々な解釈の飛び交う、この神秘的な瀬織津姫について真実を探っていきましょう。

瀬織津姫とは

Japan Waterfall Natural - Free photo on Pixabay (620533)

日本の神話であり国の歴史書として残された、古事記や日本書紀には様々な神達が登場しますが、その中に瀬織津姫(せおりつひめ)の名前は全く記されていません。

しかし不思議なことに瀬織津姫の名は、神社での祭祀に使われる「大祓詞(おおはらえのことば)」という、大切な祝詞(のりと)の後半にたった1度だけ登場します。大祓詞は、元々6月と12月の年2回朝廷での儀式で奉上するものでしたが、今現在、朝拝する神社であれば毎朝奉上されるほど重要な祝詞の中に、何故古事記にも登場しない瀬織津姫の名前が出てくるのでしょうか?

ネットでは、スピリチュアル系の人や、縄文時代を研究している人、古代文字による古文書を研究している人、それらとは全く逆に古事記や勝者の歴史を元に語っている人など、立場や考えによって瀬織津姫の解釈に統一性が無い為、尚更真実が分かりにくい女神となっています。ここではまず、それぞれの立場の人達の中でも共通認識されている、一般的な「瀬織津姫」を紹介していきます。

人の穢れを浄化する女神

Meditate Meditation Peaceful - Free photo on Pixabay (620638)

大祓詞(おおはらえのことば)は、人々の罪(犯罪では無く、神道としての罪)や穢れ(けがれ)を祓う為に使われる、最強の祝詞と言われています。その中では穢れを祓う神様として、瀬織津比売神(せおりつひめ)、速開都比売神(はやあきつひめ)、気吹戸主神(いぶきどぬし)、速佐須良比売神(はやさすらひめ)という四神が登場します。

この神様達を祓戸四神(はらえどよんしん)と呼ぶのですが、祝詞の後半部で四神がどのように穢れを祓うのかという役目が詠われているのです。しかし、なんと古事記や日本書紀には、速開都比売神以外は誰も名前が記されていません。

ちなみにこの祝詞には、高天原(たかあまがはら)という国からやってきた、天津神(あまつかみ:天皇の祖先)がどのように地上を治めていったのかという建国の話から始まり、後半部分ではそれらの歴史の中で積み重ねた罪や穢れを、四神が祓ってくれるという話で終わります。
Sunset Afterglow The Scenery - Free photo on Pixabay (621076)

古事記や日本書紀に描かれるこの国の成り立ちの中でも、天津神と国津神(くにつかみ:地上に元々いた神達)での統治権争いがあったということが汲み取れることから、罪や穢れとはそれらに対する天津神達の不安感や、畏れという感情を表しているのではないか?と考えられます。

もしかすると、祝詞内にのみ登場する瀬織津姫達は国津神達で、天津神達が統治権を正当化する為に、あくまでも激しい対立などせず、互いに協力してこの国を平定し、穢れを祓い守りますよとという意味と共に、自分達に対する罪を許して欲しいという贖罪の祈願が込められているのかもしれません。

そのような大祓詞の中で描かれている瀬織津姫は、渓谷の中におり、山から流れてきた罪や穢れを川から海へと流してくれる女神だと言われていることもあって、浄化する女神と言われているのです。

祭神にしている神社

Water Shrine Japan - Free photo on Pixabay (620642)

古代縄文時代の日本は、自然崇拝(アニミズム)の信仰で、山や海、森や川、果ては石の1つにまでも神は宿ると考え、人々は自然そのものを神と考えていました。その思想や概念は、今現代も日本人の根底に潜んでおり、全く消えてしまった訳ではありません。

しかし、時代によっては統治権を争う度に、信仰の対象が神になったり仏になったりなど、日本でも宗教戦争はありました。先程も述べたように天津神や国津神という統治権を争った際の、古代神道と新神道、大陸から仏教が入り込んできた時の仏教VS神道、ザビエルが来日して以降は、キリスト教が日本の宗教を壊そうともしています。

更には、明治維新以降に新政府が始めた廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)と国家神道に至るまで、宗教という名の権力争いは続いていました。その間、長い歴史の中で、権力者の都合によって名前や性別を変えられたり、存在自体を消されてしまった神々はたくさんあるのです。
Torii Gate Architecture - Free photo on Pixabay (621619)

瀬織津姫もその1人ですが、今も密やかに祀られている神社が存在することから見ても、実は重要な神だったのではないか?と考えられているのでしょう。

瀬織津姫として正式に多く祀られているのは岩手県で、最近聖地と化しているのは伊豆神社です。その他、東京都多摩市にある小野神社、石川県には瀬織津姫神社と名前を謳っている場所もありますが、一見瀬織津姫とは違う祭神名であったとしても、名前を変えて祀っている神社も多々あるのです。

スピリチュアル界では瀬織津姫が祀られているとして有名な、兵庫県にある六甲比命大膳神社(ろっこうひめだいぜんじんじゃ)や、名前は全く登場せずとも伊勢神宮には瀬織津姫が祀られているという話もあり、実は解釈によって意外と身近なところに、瀬織津姫は隠されているのかもしれません。

龍神とは

Dragon Woman Human - Free photo on Pixabay (621216)

西洋では何故か悪魔の化身とされてしまうドラゴンも、日本を始めとするアジア圏では神や神の使いと呼ばれています。その為日本人にとって龍は、神社でもよくお目に掛かる馴染み深い神様の一種でしたが、2016年(平成)辺りからはスピリチュアル界で、何故か龍ブームが突然起こり始めました。

龍を味方に付けると人生が上手く行ったり、仕事が成功するなど、現世御利益を謳うものが多いのですが、本来神とは人間の都合で動いてくれるような存在ではありません。スピリチュアルが流行してからは、マスコミが持て囃したおかげで、まるでスタンプラリーのような御朱印帳集めや、パワースポットとしての神社など観光地化してしまい、ギラギラした人の欲望や業などで、返って穢れを集め聖地を弱体化させている気がしてなりません。

今回紹介している瀬織津姫も、龍神だと言われていますが、何と現在「有限会社ヤンズ」という会社が瀬織津姫の名前を商標登録して波紋を呼んでいます。このようにスピリチュアル界には、金儲けを企む輩が多く、本来の神の役割を隠蔽し、人間に都合良く利用しようとする者達が増えているのです。では龍神とは、本来どのような神様なのでしょうか?ここでは様々な龍神を紹介していきます。

様々な神様の総称

China Monument Tourism - Free photo on Pixabay (621219)

龍神と言っても、実は様々な属性を持つ龍がたくさんいます。その伝承も多々あり、古代中国大陸の皇帝のシンボルとして登場した霊獣としての龍や、インドでの仏法を守る神として龍、そして日本の古事記などに登場する八岐大蛇(ヤマタノオロチ)のような悪さをする龍なども登場します。

八岐大蛇に関しては、氾濫や洪水を繰り返す大きな川を表しているという説もあり、龍神の解釈は人それぞれと言えますが、それら神様の総称として龍神と呼ばれています。

色や指の数などでも役割や、地位の高さなどが分かれる龍ですが、日本に伝わってきたのは仏教の伝来が始まった飛鳥時代からで、それまでは蛇が神様とされていました。しかし、神道対仏教の権力争いの後からは、蛇神よりも龍神信仰が広まっていくのです。

八大龍王

Buddha Little Buddhism - Free photo on Pixabay (621222)

仏教伝来と共に伝わった龍は、ブッタ(釈迦)の弟子としての眷属(けんぞく)です。元々インドにはナーガと呼ばれる蛇神がいましたが、古代中国大陸に仏教が伝わる時に龍や龍王と訳されしまいました。

仏教の中に登場する仏や神達は、あくまでもブッタ本人と仏法に仕える人のみを守るという役目があります。インドではそのような龍が何体もいると信じられており、その中でも最も位の高い龍とされる龍王を含めた龍達のことを、八大龍王(はちだいりゅうおう)と呼んでいるのです。

この八大龍王は、ブッダが誕生した際にお祝いの甘い雨(甘露)を降らせたと言われていますが、あくまでも龍神そのものとして祀られるものではなく、仏教を守護する天龍八部衆(てんりゅうはちぶしゅう)に組み込まれた守護神だということを忘れてはいけません。

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