2019年10月18日 更新

ウシジマくんの「洗脳くん」は実話?元ネタの北九州洗脳事件とは

大人気漫画『闇金ウシジマくん』において、最大の問題作と言われている「洗脳くん編」。この話には元ネタとなった実話の事件があります。それは北九州での洗脳監禁殺人事件。この記事では「洗脳くん」の結末と共に、そのモデルになった事件の内容についてご紹介します。

これだけの惨い事件が起きてしまったのも、犯人による巧妙なマインドコントロールによる洗脳が大きく作用していたからでした。ではいったい、マインドコントロールとは何なのでしょうか?

北九州事件のように、悪意のある人間や組織に施されてしまえば、自分の意思と反する行動を起こしてしまう危険性があります。しかし反対に、自らの精神状態の乱れを制することに応用すればポジティブな作用を期待することも。

ここではマインドコントロールとは何なのかを、日本でマインドコントロールという言葉が広がった事件などを交えて記載していきます。

特定の結論に誘導する技術

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実際にマインドコントロールがどんなものなのかを簡単に定義するとすれば、「あくまで本人の意思で決定したように見せかけて特定の結論に誘導する」こと。例えば、あなたが仕事で何か決定的なミスをして落ち込み、自己嫌悪や劣等感、罪悪感に悩まされているとします。

そんな時に「別部署のリーダーが君を必要しているようだが」と上司から言われ、人事異動の相談が来ればおそらくあなたの自尊心はかなり救われるでしょう。実際に異動するか今の部署に残るかはあなたの希望次第とされていましたが、次の人事であなたは晴れて部署を異動します。

ところが、実はあなたは数ヶ月前まで部署異動など絶対にしたくないと考えていました。それが今では「自分を欲してくれる場所があるならば」と主体的に異動しています。たとえそれが実質的な左遷であっても、あなたは自らの意思で選んだと考えるはず。これこそマインドコントロールの第一歩なのです。

アスリートなどが心理状態を調整すること

Subway Person Man - Free photo on Pixabay (155663)

こうして書くとマインドコントロール=悪というように捉えてしまうかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。むしろ上手く利用できさえすれば人間にとって様々なポジティブな効力を及ぼしてくれるのです。

中でも代表的なのがスポーツ選手が試合前にリラックスしたり、ネガティブになってパフォーマンスが落ちてしまわないようにするための応用です。プロ選手の中には専門のメンタルケアの先生を付けたり、必ず決まったルーティンを行なって平常心を保つなど、様々な方がいます。

かつて、イチロー選手の好成績の秘訣のうちのひとつとして、あのバットを掲げるルーティンがプラスに作用しているとする説が出たこともあります。※もちろんあくまでも一説であります。

日本でのマインドコントロール

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日本でマインドコントロールという言葉が知られるようになったのは、1993年頃からと言われています。

当時、キリスト教から生まれ、キリスト教以外にもあらゆる宗教の教義などを取り込んでいる『世界平和統一家庭連合』の合同結婚式に参加していた山崎浩子さんが、婚約解消後に会見を行ない「マインドコントロールされていた」と発言したことに端を発しています。

その後、X JAPANのボーカルToshlさんや歌手の辺見マリさんなど、有名人にもマインドコントロールに陥ったと報道された方が多くいます。

世界でのマインドコントロール

Architecture New York City - Free photo on Pixabay (155968)

世界目線では、1950年代の中国共産党による捕虜や反対者への洗脳による思想改造がよく知られています。そもそも「洗脳」の言葉自体も中国で生まれたものです。

アメリカではチャールズ・マンソンと、彼の唱える終末思想に支配された信奉者達による女優シャロン・テート殺害事件や、人民寺院による議員襲撃、集団自殺などが起こっています。

アメリカのジャーナリスト、エドワード・ハンターはこうしたマインドコントロールの危険性をいち早く世間に警告。また、アメリカのマインドコントロール専門家、スティーブン・ハッサンは現在でも被害者救済の活動を行なっています。

オウム真理教もマインドコントロール?

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地下鉄サリン事件などで多くの犠牲者を出したオウム真理教。日本でマインドコントロールが広く一般的に使われるようになったのは一連のオウム事件がきっかけだったと言われています。

当時、オウム真理教ではサティアンと呼ばれる施設に信者たちを集めていました。外面的には「出家」という名目でしたが、実情は閉鎖空間に集めて外の情報を遮断し、信者たちをマインドコントロールするためのものでした。

実行犯のほとんどは、元々事件を犯すような人間ではなかったと言われており、そんな彼らが教団の唱える「理想的国家」の虚言を妄信し、あの恐るべき事件を起こしてしまったのです。

ウシジマくんの概要

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上記でマインドコントロールの恐ろしさについて触れてきました。ではここからはもう一度ウシジマくんの話に戻しましょう。『闇金ウシジマくん』は2004年~2019年にかけて、『ビッグコミックスピリッツ』で不定期連載された真鍋昌平さんによる青年漫画です。

闇金業者「カウカウファイナンス」の経営者であるウシジマくん=丑嶋馨(うしじま かおる)と、彼のもとを訪ねてきた債務者達のお金を巡る人生の顛末を描いた作品。一本の長大なストーリーではなく、各債務者ごとの中編的な物語がオムニバス形式で続いていきます。

各ストーリーのタイトルは債務者が借金をする因果にちなんだ「○○くん」の形で統一。今回紹介した「洗脳くん」も同様です。私たちが活きる社会の裏側にある闇をリアルに描きだす内容は方々から支持を獲得し、著名人にもファンの多い人気作でした。

テレビドラマ化及び映画化

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本作は2010年に、毎日放送制作によりテレビドラマ化されました。主人公のウシジマくんを演じたのは山田孝之さん。2014年にはSeason2が、2016年にはSeason3が放送される人気シリーズとなりました。

また、2012年、2014年、2016年にはそれぞれのSeasonの続編となる映画が3本公開。そして映画のpt.3の後には続けてシリーズ最終作となる『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』が公開されています。

今回取り上げた「洗脳くん編」は、テレビシリーズのSeason3で映像化。原作の内容が凄惨なだけに、監督をはじめ、制作人は並々ならぬ覚悟を持って撮影に臨んだと語っています。

世間で起こった実際の事件が元ネタ

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社会に出て活躍している大人をも虜にする『闇金ウシジマくん』。その魅力はやはりあまりにも現実的で生々しさのある物語の質の高さでしょう。

しかしなぜこれほどまでにリアリティを出せるのか。その理由のひとつが、この漫画で描かれる話の多くが実際に世間で起こった事件をモデルにしているから。

先の「洗脳くん」の話もそうですが、それ以外でもお金に困っている人が遭遇し、被害にあった事件は多数。どんな時代にも借金に人生を狂わせてしまう人はおり、その向こう側には「闇金融業者」が存在しています。

闇金の実態

Architecture Modern - Free photo on Pixabay (156889)

ニュースなどではよく目にする「闇金業者」。しかし普段生活している中ではなかなか出会うことはなく、なんとなくイメージとして「危険」「借りてはいけない」といった漠然とした印象のみがあるだけではないでしょうか。

ここでは闇金について少し詳しく説明していきます。違法行為である運営や取り立て内容など、あらかじめ知っておくだけでも、いざという時むやみに利用してしまうようなことを避けることができるはず。

お金の借りやすさから、困窮した方がつい手を出してしまう闇金業者ですが、一度利用してしまったら、沼にはまったように借金地獄から抜け出せなくなると思っておいた方がいいです。

闇金運営は違法行為

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