2021年5月25日 更新

フリッツル事件の犯人の現在は?事件の動機と子供たちのその後も

最近ようやく毒親という言葉が知られるようになりましたが、今回紹介するフリッツル事件の犯人は父親です。しかしこの父親は、毒親を通り越してただの鬼畜な犯罪者と言えます。今回はフリッツル事件の全容と父親の動機、そして被害者である子供のその後と現在を紹介します。

目次

Graphics Court Justice - Free image on Pixabay (434990)

2009年(平成21年)3月19日(木)ヨーゼフに対する判決が下りました。15年間の仮釈放を認めない終身刑が言い渡されます。決定打になったのは、双子の1人をすぐに保護せずに死なせてしまったことが、放置殺人罪として有罪になったことでした。

しかし、ヨーゼフはこの判決に対して不服も申し立てず、控訴もしなかったのです。そのことにより、刑は確定しました。

一体どのような気持ちの変化は分かりませんが、娘と精神科医の会話ビデオテープを観て、何かしらの気持ちが湧いたようです。ヨーゼフはこの時初めて、娘に対して「申し訳ない」という反省の言葉を口にしています。

ヨーゼフの現在

Eastern State Penitentiary Al - Free photo on Pixabay (435010)

ヨーゼフは刑が確定した後、ガルステン刑務所にある、精神疾患犯罪者用の特別な区画に収監されているようですが、彼が判決を言い渡された時点ですでに74歳です。

事件からすでに10年近く過ぎた2021年時点でヨーゼフ・フリッツルは86歳という高齢になりましたが、15年は仮釈放を認められないので、少なくとも後5年は出てくることが出来ません。しかし、24年間も劣悪な環境で監禁されていたエリーザベトとしては、彼が死ぬまでそこから出てきて欲しくは無いでしょう。

ヨーゼフが送られたガルステン刑務所は、オーストリア共和国の連邦州の1つである、オーバーエスターライヒ州というところにあるようですが、元は修道院だったようです。

地元メディアでは特集が組まれるほど話題に

Press Camera The Crowd - Free photo on Pixabay (435102)

監禁されていた長女のケルスティンが入院した直後から、当初は行方不明の母親であるエリーザベトを捜索する為に、地元マスメディアが入っていました。

その為、事件が発覚すると、特集が組まれるほど連日このニュースを報道する騒ぎとなるのです。病院や事件現場となったフリッツル家などには、パパラッチや野次馬が押し寄せるなどの大騒ぎとなります。

しかし、ニュースのおかげで、エリーザベトや子供達の長期に亘る治療や、生活支援の為の寄付や献金が届いたという良い一面もありました。ここでは、そんなメディアで話題となったことを紹介します。

タブロイド紙で「怪物」と表現

Newspapers Leeuwarder Courant - Free photo on Pixabay (435129)

タブロイド紙では、あまりにショッキングなこの事件の犯人となった、ヨーゼフを「怪物(Monster)」と呼びました。確かに普通の感覚の持ち主から見れば、実の娘に対してこんなにも非道な事をする心理は理解出来ません。

裁判で、ヨーゼフが「自分は怪物(Monster)ではない!」と反論したのは、このタブロイド紙に対しての反論でもあったのでしょう。

しかし審理中、検察の質問に対して矛盾のある答え方をしたことを突っ込まれると、「やはり自分は怪物かもしれない」と自ら認める場面もあったようです。

ヨーゼフや地下室の写真も公開

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現在でもネットでは、当時撮影された事件現場の地下室の写真や、ヨーゼフと妻ロゼマリア、被害者のエリーザベトなどの写真が残されています。

事件直後から、ヨーゼフ・フリッツルの家は、「恐怖の館」と呼ばれ、観光客までがその家の前で記念撮影するような状況でした。事件後、妻のロゼマリアが孫のおもちゃや、自分の私物を取りに戻った時には、あまりの野次馬の多さに警備を付けたほどです。

捜査終了と同時に、事件現場となった地下室はコンクリートで埋められたようですが、今現在まだその家が残されているのかは不明です。

フリッツル事件がモデルとなった作品

Kids Little People - Free photo on Pixabay (435357)

フリッツル事件は、監禁事件としても世間に大きな衝撃を与えました。そのせいか、この事件をモデルとした作品も作られたのです。

作品はあくまでもフィクションなので、フリッツル事件の真実が描かれているわけではありません。しかし、これから紹介する2作品が大いに話題となったことで、人々は忘れかけていたこの事件を再び思いだすことにもなりました。

ここでは、フリッツル事件がモデルとなった作品と、フリッツル事件との違いを紹介します。

エマ・ドナヒュー「部屋」

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エマ・ドナヒューは、アイルランドの女性作家です。彼女は、この事件を元に「Room(部屋)」という小説を出版しました。日本では、2011年(平成23年)に土屋京子が翻訳した「部屋」が出版されています。

この小説では、7年間監禁されていた母親のジョイと、息子のジャックが主人公で、監禁先からの脱出劇と解放された後の、新しい世界での新たな戦いを描いています。

息子のジャックの目線で描かれたこの小説は、文体も5歳児から見た世界観で表現されており、外の世界を知っている母と、外の世界を知らなかった息子のギャップや葛藤などを通し、新たな親子関係を作り出していく物語です。

映画「ルーム」

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2015年(平成27年)に制作されたドラマ映画「ルーム」は、エマ・ドナヒューの原作を元に作られています。彼女と同じ、アイルランドの監督、レニー・アブラハムソンが映画化したのです。この作品も大きく評価され、トロント国際映画祭では最高賞など合わせて、74もの映画賞を受賞しました。

あらすじは、小説と同じく5歳のジャック目線で描かれており、母子のギャップや葛藤が描かれています。この映画で母親役を演じたブリー・ラーソンは、アカデミー主演女優賞に初ノミネートされました。

フリッツル事件との違い

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実際のフリッツル事件と、作品の違いはたくさんあります。小説と映画では、少女を監禁したのが見知らぬ他人の男です。そして、子供は息子1人。このジャックはフリッツル事件で監禁されていた、エリーザベトの最後の息子フェリックスがモデルとなっているようです。

更に、解放のされ方も違います。実際の事件は、ケルスティンの病気がきっかけとなりましたが、作品では自力での脱出を試みて、息子に死体のように固くなれと母が命じ、カーペットに包んだ遺体を装い、脱出する計画を実行するのです。

監禁期間も、作品では7年になっていました。実際のフリッツル事件は悲惨過ぎる為、さすがにリアルには使えなかったのでしょう。

フリッツル事件の類似事件

Internet Crime Cyber - Free image on Pixabay (435544)

フリッツル事件だけではなく、世の中では物騒で理解不能な事件は悲しいことに多くあります。犯罪者は拉致や誘拐、監禁、殺人に至るまで、どうしても弱く抵抗力の弱い、未成年の子供や女性を狙うのです。

誰も信じられないという世の中は嫌なものですが、自分の身を守れるのは自分であり、子供を守るのは親の務めです。被害者や加害者にならない為にも、事件を知り対策を考えることも重要と言えるでしょう。

ここでは、フリッツル事件と似ている類似事件を紹介します。

ジェイシー・リー・デュガード誘拐事件

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