2019年9月22日 更新

ハイコンテクストとは?ローコンテクストとの違いや長所とは

ハイコンテクストという言葉がありますが、その意味をご存知でしょうか?何となくは分かるけど、詳しくは分からないという人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、ハイコンテクストの意味をはじめ、長所や短所、例文、ローコンテクストとの違いなどをまとめてみました。

目次

ローコンテクストとは、言語に依存したコミュニケーション方法のことです。コミュニケーションを行う際に、前提となるコンテクストが少なく、文脈や背景よりも言葉そのものを重視します。

聞き手に空気を読むことや察する力が必要とされるハイコンテクストに対し、ローコンテクストは話し手に思考力や表現力、論理的な説明能力が必要とされており、直接的な表現できちんと正確に意図を伝えることが求められます。

コミュニケーションを取る時に、聞き手にすべてを委ねるのがハイコンテクストならば、話し手にすべての責任がかかるのがローコンテストなのです。察するよりもきちんと伝えることが大事とされています。

「ハイ」「ロー」は優劣を表すものではない

Scale Question Importance - Free photo on Pixabay (633369)

ハイコンテクストの「ハイ」やローコンテクストの「ロー」は優劣を表すものではありません。あくまでこれらは区分の一つであり、高いから良いというわけでも、低いから悪いというわけでもありません。

ハイコンテクストにはハイコンテクストの、ローコンテクストにはローコンテクストの長所があり、短所があります。ハイコンテクストな国ではハイコンテクストなコミュニケーションが求められるように、ローコンテストな国ではローコンテクストなコミュニケーションが求められるのです。

ハイコンテクスト傾向が強い国

Map Of The World Background Paper - Free image on Pixabay (633373)

ここからはハイコンテクスト傾向が強い国について解説していきます。ハイコンテクスト傾向が強いとされる順に、その理由やエピソードなどをまとめてみました。

日本

Japanese Cherry Trees Flowers - Free photo on Pixabay (638870)

ハイコンテクスト傾向が最も強いと言われているのが日本です。日本はハイコンテクスト文化、ハイコンテクスト社会と言われており、コミュニケーションを取る時に、文脈や背景を重視する傾向があります。

日本がハイコンテクスト傾向が強いと言われる理由は、日本は島国であり、人種的・文化的な多様性があまりないからです。そのため、話し手と聞き手の間には慣習や価値観など共通するものが多く、言葉を尽くさずとも分かり合うことができます。

例えば、日本では、意思疎通ができていれば、主語がなくても会話が成立します。話し手が「あれ、どうなってる?」と聞いてきた時に、聞き手は状況や文脈から主語を察して、「あれなら問題ないよ」と答えることができるのです。

中国

Panda Bear Mammal - Free photo on Pixabay (638873)

日本の次にハイコンテクスト傾向が強い国として挙げられることが多いのが中国です。中国もまた、日本と同様に単一民族であり、人種的・文化的な多様性があまりないからです。

古来より、農業と漁業を生業として生活を営んできており、共同作業を通して人々の繋がりが密接になり、考え方や価値観など共通する部分が多くなったことにより、文脈や状況から話し手の意図を察することができるようになりました。

また、ハイコンテクスト文化では、時間に融通が利くという特徴もあります。その中でも中国は時間にルーズすぎると言われています。中国では、地下鉄やバスに時刻表がなく、いつ来るかも分からない列車やバスを待つことが当たり前になっているのです。

アラブ

Downtown Dubai Uae - Free photo on Pixabay (638874)

アラブ諸国もハイコンテクスト傾向が強いと言われています。アラブ諸国とはアラビア半島や西アジアなど、アラビア語を話すアラブ人が中心となっている国の集まりで、そのすべてがイスラム教を国教としています。

国によって政体の違いや貧富の差はあるものの、アラブ人という民族意識とイスラム教独特の国家概念を持っており、それぞれの国が連帯意識を持って結束していることから、ハイコンテクスト傾向が強いと言われています。

誇りとアイデンティティの象徴である民族衣装、ナイフやフォークや箸を使わずに右手を使って食事をする習慣、イスラム暦の9月に夜明けから日没まで飲食を禁じるラマダーンなど、アラブ諸国ならではの文化があります。

ギリシャ

Monument Sculpture Greek Gods - Free photo on Pixabay (638888)

ギリシャもハイコンテクスト傾向が強いと言われている国の一つです。ギリシャは他のヨーロッパの国と比べて、文化・習慣・言語などが非常に独特であり、ギリシャならではの暗黙のルールがたくさんあります。

ギリシャでは基本的にすべてがゆっくりでせっかちな人は嫌われます。14時から17時はお昼寝の時間となっており、この時間帯に電話をするのは失礼にあたります。月曜日と水曜日には14時までしか働きません。

ギリシャではギリシャ語を話し、ギリシャ正教を国教としています。国の定めた祝日もキリスト教にまつわるものが多く、ギリシャの教会は法を上回る力を持っています。このように独特な社会であるため、ギリシャはハイコンテクスト傾向が強い国として分類されています。

イギリス

London Tower Bridge England - Free photo on Pixabay (638902)

イギリスをハイコンテクスト傾向が強い国として分類するのか、ローコンテクスト傾向が強い国として分類するのか、人によって意見が分かれそうですが、ここではハイコンテクストな国として分類しました。

ただ、ハイコンテクスト傾向が強い他の国々と比べるとその傾向はそこまで強くありません。どちらかと言えば、ハイコンテクスト寄りといった感じでしょうか。ローコンテクスト傾向が強い国として分類されてもおかしくありません。

なぜなら、イギリスは日本と同じように島国であり、四方を海に囲まれているため、他国の影響を受けずに独自の文化を育んできましたが、ロンドンではグローバル意識が高かったり、スコットランドでは独立志向があったりと、コンテクストがそこまで近い状態ではないのです。

ローコンテクスト傾向が強い国

Earth Map Winter - Free photo on Pixabay (633375)

ここからはローコンテクスト傾向が強い国について解説していきます。ローコンテクスト傾向が強くなる理由には、移民が多く、さまざまな人種が住んでいることにより、文化や歴史的背景、価値観などが多様化していることが挙げられます。

そのため、ローコンテクスト社会では、コミュニケーションを取る時には、直接的な表現を使って正確に意図を伝えることが好まれます。そうしなければ、相手に伝わらないからです。それでは、どの国がローコンテクスト傾向が強いと言われているのか、見ていきましょう。

ドイツ系スイス

Bern Switzerland Rose Garden - Free photo on Pixabay (641829)

ローコンテクスト傾向が最も強いと言われているのがドイツ系スイスです。スイスには4つの言語地域があり、ドイツ語圏、フランス語圏、イタリア語圏、ロマンシュ語圏に分かれています。

その中で一番割合が高いのが、ドイツ語を話すドイツ系スイスです。スイス人はプライドが高く、愛国心がとても強いと言われています。勤勉で真面目で、言語圏によって気質は異なりますが、ドイツ系スイス人は時間にとても正確です。

個人主義であり、自分は自分、他人は他人という考えが強く、自立心が旺盛です。そして、言いたいことははっきりと言うなど、率直で理論的な言い回しを好みます。

ドイツ

Cologne Cathedral Dom - Free photo on Pixabay (641831)

2 / 5

関連する記事 こんな記事も人気です♪