2019年9月29日 更新

メスメリズムは医学的なものではない?オカルトの一種?

あなたは催眠術をご存知でしょうか?実は催眠術のルーツをたどると、最後に行きつくのは18世紀に登場したメスメリズムと言われています。今回は、医学とスピリチュアルが混在する18世紀のウィーンやフランスで、多くの人を癒し魅了したメスメリズムについてご紹介します。

目次

メスメリズムについて

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あなたは、現代の催眠術のもととなったとされるメスメリズムをご存知でしょうか?催眠術と聞くと、何だか胡散臭いヤラセやマジックのように感じる人もいるかもしれませんね。確かに、自分の言動を他人にコントロールされてしまうなんて、なにか裏があるんじゃないかと思ってしまいそうです。

しかし、現代の催眠術と呼ばれるものにはきちんとした原理があり、れっきとした治療法として医療現場などでも使われています。今回は、催眠術の先駆けであるメスメリズムについてご紹介します。

メスメリズムとは?

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そもそもメスメりズムとは、一体どんなものなのでしょうか?その提唱者でもある、メスメルという人物が生まれた1730年代のドイツでは、まだ医学とスピリチュアルの分野が比較的近しい状況にありました。

そのため、現代の医学では迷信と言われるような方法で病気が治ると信じている人もいました。メスメリズムの提唱者メスメルは、今で言うところのオーラやヒーリングなどを使って、多くの人々の苦痛を和らげて行きました。まずは、メスメリズムの概要について見て行きましょう。

フランツ・アントン・メスメル/フランツ・アントン・メスマーが提唱

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メスメリズムは、フランツ・アントン・メスメル(フランツ・アントン・メスマー)が提唱しました。

もともとウィ―ンで医師をしていたメスメルは、ルネサンス期ドイツの錬金術師で医化学者のパラケルスス、ベルギーの医者・化学者で錬金術師のヤン・ファン・ヘルモント、ドイツの万能学者キルヒャーらの唱えた磁気論に基づき磁気療法を始めたのです。

メスメルは磁気療法によって多くの難病患者を治療し、症状を緩和させることに成功しました。そして彼は、それまでとは異なる磁気の概念動物磁気について提唱し始めるようになったのです。

動物磁気のこと

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メスメルは、人間の体の中には磁石のS極とN極が存在し、その磁石がそれぞれ伝達しあい、宇宙から体内に流れ込んでくるエネルギーを変換・消滅・増大させていると考え、この作用こそが動物磁気であると唱えました。

そして、この動物磁気のバランスが崩れることにより、人は病気になると考えたメスメルは、自分が持っている動物磁気をコントロールし、患者の身体へと作用させることで病気を治癒させることが出来ると思いついたのです。

提唱者以外がメスメリズムと呼ぶ

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メスメルは薬を使用することなく、自分の体の中にある動物磁気(流動体)を患者の体に作用させるという方法で、ウィ―ンやパリで治療を行いました。そしてメスメル自身は、決して疑うことなく動物磁気の存在を信じていたため、触れるだけで患者が治ったのは動物磁気のおかげと考えました。

しかし、動物磁気の存在は科学的に立証することは出来ず、提唱者メスメルの名前(Mesmer)からメスメリズム(mesmerism)と呼ばれるようになったのです。

メスメリズムは催眠術を開発した

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メスメルの提唱した動物磁気による治療は多くの人を救済したましたが、当時の正統的な医学として認められることはありませんでした。しかし、メスメルの唱えた動物磁気は結果的に催眠術を開発することになります。

メスメルが治療した患者の中には、痙攣や卒倒、盲目や手足の麻痺などを引き起こすヒステリー患者がいました。彼らは投薬や通常の治療では回復しませんでしたが、メスメリズム(催眠療法)によって苦しみから解放されたのです。

それまで婦人病と考えられていたヒステリーは、催眠や暗示によって生じたり消えたりする心身の機能障害と考えられるようになりました。

提唱者メスメルについて

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ここまでは、メスメリズムの提唱者がフランツ・アントン・メスメルメであること、メスメルは動物磁気を提唱したこと、メスメル以外の人間がメスメリズムと呼ぶこと、メスメリズムが催眠術を開発したことについてお話ししてきました。

メスメルは、自分の行っている治療はあくまでも動物磁気によるものだと信じていましたので、まさか自分のしていたことが催眠だとは思いもよらなかったことでしょう。しかし、結果的に催眠術を生み出すという功績を遺すこととなりました。

ここからは、提唱者メスメル自身について、出生から彼が過ごした学生時代、結婚して開業するところまでご紹介します。

ドイツで生まれた

Hohenschwangau Alps Alpsee - Free photo on Pixabay (671698)

メスメリズムの提唱者メスメルは、ドイツ南部にあるバーデン州のウンター湖畔にあるイツナンク(現在のモース)で生まれました。イツナンクはコンツタンツ湖と呼ばれる湖が南側にある、ドイツとスイス国境の街です。

メスメルの父親は、神聖ローマ帝国に所属していたコンスタンツ司教領の森林管理官をしており、メスメルは経済的に恵まれた家庭で育ちました。幼少の頃から頭の良かった彼は、両親からも主君にあたる司教からも認められ、神学校に通っていたようです。

しかし、神学校卒業後自分は聖職者に向かないと悟ったメスメルは、大学に進学することを決意します。

イエズス会の大学に行く

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メスメルは、ドイツのバイエルン州ディリンゲン・アン・デア・ドナウ郡とドナウ川沿いインゴルシュタッドにあるイエズス会系の大学に進学しました。

イエズス会とは、1534年にイグナチオ・デ・ロヨラやフランシスコ・ザビエルなどによって創設された、キリスト教カトリックの男子修道会です。世界各地へキリスト教の教えを広めることに務め、日本にカトリックをもたらしたことでも有名ですね。

メスメルはイエズス会系の大学で法学と哲学を学びましたが、その探求心は尽きることなく、今度は医師になることを目標にウィーン大学へと進学します。

1759年ウィーンの大学で医学を学ぶ

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