2019年5月25日 更新

水戸事件の詳細と加害者赤須正夫のその後!真相と聖者の行進との関係

水戸事件は、助成金着服事件の捜査過程で明るみになった、知的障碍者への虐待が問題になった事件です。その事件をモデルとしたドラマ「聖者の行進」が放送されたことでも話題になりました。水戸事件の詳細とその後について紹介していきたいと思います。

目次

水戸事件の概要

Police Crime Scene Blue Light - Free image on Pixabay (308270)

1990年代、知的障碍者の社会参加への理解というのは、今と違い厳しい時代でした。そんな中で、「有限会社アカス紙器」は知的障碍者の雇用を積極的に行っていた貴重な事業所であり、知的障碍者の家族から感謝されていました。

しかし、1995年に「特定求職者開発助成金」の受給についての詐欺容疑が明るみになり、世間を驚かせました。そして事件の捜査が進むにつれ、「アカス紙器」で行われていた従業員への虐待が発覚し、問題はさらに大きくなりました。

事件となった会社は「有限会社アカス紙器」

Businessman Boxes Transport - Free image on Pixabay (308271)

事件となった「有限会社赤アカス紙器」は段ボール加工会社で、主にダンボール製品の加工を業務内容としていました。積極的に20名程度の知的障碍者を従業員として雇用し、従業員全員を会社の寮の住まわせていました。アカス紙器社長の赤須正夫は、障碍者雇用に熱心な名士として地元では有名であり、尊敬されていました。

1995年に事件発覚

Bodyworn Body Camera Police - Free photo on Pixabay (308272)

水戸事件発覚したのは、1995年10月のことです。障碍者を積極的に採用していた「有限会社アカス紙器」で、国から交付される「特定求職者開発助成金」を雇用している知的障碍者に支払っていないという詐欺容疑が発覚しました。

「特定求職者開発助成金」とは、高齢者や障碍者などの就職が困難とされる人を雇用している企業に、一年間に渡って与えられる助成金のことです。この金額は、企業が給料として支払っている額に応じて支給されるものです。

従業員への給料が未払いだった

Ballots Money Real - Free photo on Pixabay (308275)

アカス紙器社長の赤須正夫は、特定求職者開発助成金を受給しておきながら、裏では帳簿の改ざんを行い支払ったことにして、従業員のほとんどに、まともな給料を支払っていませんでした。

本来であれば、助成金を給与に補填して支払うべきものであり、そうすることで障碍者の雇用と平等機会などの権利が守られるものなのです。しかし、被害者は賃金の未払いや低賃金について抗議する術のない知的障碍者です。そのことを悪用し、赤須正夫は私腹を肥やしていったのです。

知的障碍者たちへの暴行・強姦が行われた

Fear Woman Stop Violence Against - Free photo on Pixabay (308277)

そして、国からの助成金を着服し、その額は立証された限りでも800万円にも及んでいただけでなく、雇用していた知的障碍者に対する拷問とも言えるような暴力、そして差別行為を日常的に行っていました。また女性に対しては強姦まで行っており、強姦事件に関しては、赤須正夫や他の従業員・その友人たちなど数名が犯行に及んでいたことも明らかになっており、痛ましい悲惨な事件となっています。

会社内で、知的障碍者のことを「国から認められた一人前ではない馬鹿」と罵倒したり、「馬鹿だから何でも食べる」と腐ったバナナを食べさせていたりしていました。女性従業員の少なくとも10名に対して強姦や性的虐待を行っており、中には中学を卒業してすぐにアカス紙器に就職した少女も含まれていたという許しがたい行為を長きに渡り行っていました。

就職困難者を継続して雇用すると、事業者は1年にわたり国から賃金の半分を特定求職者開発助成金として受給できます。その期間が過ぎると、特定求職者開発助成金を受給出来なくなるので、知的障碍者の従業員が自主的に辞めるよう仕向けるために虐待を行っていたという見方もあります。

赤須紙器社長の赤須正夫が逮捕された

Handcuffs Trouble Police - Free photo on Pixabay (308278)

アカス紙器では、障碍者雇用により国からの特定求職者開発助成金を受け取っていたにも関わらず、帳簿を改ざんして実際には知的障碍者の従業員に対して、支払うべき給与を支払っていなかったとされたのは1995年10月。その翌年の1月8日にアカス紙器社長の赤須正夫は詐欺容疑で逮捕されました。

1月8日に助成金詐欺容疑で逮捕されたのをきっかけに水戸事件が発覚し、同じ月の29日に起訴なりました。しかし、この時はすぐに保釈されています。

水戸事件と呼ばれる理由

Cop Policewoman Colleagues - Free photo on Pixabay (308281)

水戸事件が起きた有限会社アカス紙器は茨城県水戸市にあります。水戸市で起きた事件であることはもちろんですが、この事件の捜査を行った水戸警察署や、裁判を行った水戸地方裁判所での出来事が世間から大きく注目を浴びたことで、「水戸事件」と呼ばれることになりました。

水戸事件の詳細を辿ると、アカス紙器の背景にあった水戸警察や福祉・行政・法の欠陥などについても多く指摘されいます。現在でも障碍者たちに人権について国を指摘する際には、水戸事件が代表的に取り上げられるほどに、様々な問題が起きた事件でした。

水戸事件で逮捕された赤須正夫とは?

Handcuffs Black Criminal - Free photo on Pixabay (308282)

水戸事件として逮捕された赤須紙器社長の赤須正夫とは、いったいどんな人物だったのでしょうか。地元での評判や、人物像について詳細を見ていきましょう。

地元で尊敬されていた人物

Fashion Jacket Elegant - Free photo on Pixabay (308286)

1990年代は、障碍者への理解はまだ厳しい時代でした。そんな中で知的障碍者を積極的に雇用していたので、地元では障害者支援に熱心な人であるという、「名士」と取り上げられ尊敬されるような存在でした。

知的障碍者を雇用し、さらには社員全員を会社の寮に住まわせるというのは、障害を理解している人であっても並大抵のことではありません。本当にそれをしていたとするならば、社長の赤須正夫が、長い間福祉に尽力していたと言えるかもしれません。

障害者支援で表彰もされていた人物

Winner Businessman First - Free image on Pixabay (308290)

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