2019年5月25日 更新

水戸事件の詳細と加害者赤須正夫のその後!真相と聖者の行進との関係

水戸事件は、助成金着服事件の捜査過程で明るみになった、知的障碍者への虐待が問題になった事件です。その事件をモデルとしたドラマ「聖者の行進」が放送されたことでも話題になりました。水戸事件の詳細とその後について紹介していきたいと思います。

目次

水戸事件のその後

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事件発覚から23年が経過、民事裁判から14年という時間が流れました。障碍者の支援助成金を悪用した事件として初めて検挙された水戸事件。その事件の後、赤須正夫はどうなったのでしょうか、そして、アカス紙器はどうなったのでしょうか。

赤須正夫は社長を辞任した

Pocket Watch Locket - Free photo on Pixabay (308493)

水戸事件をきっかけに、赤須正夫は社長を辞任しました。

ちなみにアカス紙器は事件後に不審火により寮を残して工場は全焼しました。不審火にまつわる事実はわかっていませんが、その保険金が不正受給の返納のために使用されたという噂があります。

有限会社アカス紙器は社名変更で現在も存続している

Industry Factory Industrial Plant - Free photo on Pixabay (308497)

水戸事件の後、会社名を有限会社水戸パッケージと変更、更には現在、有限会社クリーン水戸という社名に変更しており、現在も存続しています。

所在地は赤須紙器と同じですが、赤須正夫が関係しているかは不明です。

赤須正夫の現在は不明

Cranium Head Human - Free vector graphic on Pixabay (308501)

赤須正夫は、社長職を辞任しており、現在の状況は不明です。法律の加護の元、個人情報は公表されておらず、裁判では執行猶予付きの判決なので、懲役刑も免れています。多くの被害者を出していながら、自分自身は身を引き幕を閉じた形です。
水戸事件に関連して、当時、茨城県議員であった井手よしひろ県議は、1997年の県議会本会議一般質問において、障碍者の権利を守るための具体策を提案しています。
(1997/3/6県議会本会議一般質問)
井手よしひろ議員の福祉部長への質問
 今回の事件は(水戸アカス事件),福祉行政の欠陥につけ込まれた事件であり,その欠陥を放置した行政側の責任も厳しく問われていると認識しております。障害者の権利を守るために,障害者からの訴えがあったならば真剣にその訴えに耳をかし,対応する責任があったのではないでしょうか。
 また,障害者の声を積極的に吸い上げる仕組みの整備も必要であると思います。
県はその提案を受け、1997年から障害者の相談窓口「障害者なんでも相談室」を設置し、知的障害者らからの相談を児童相談所やハローワークなどと連携して解決に当たる活動を開始しています。

2011年障害者虐待防止法成立

Hammer Horizontal Court - Free photo on Pixabay (308504)

水戸事件のような障碍者に対する差別や虐待を防止する目的で法整備が進み、事件から17年が過ぎた2011年に障害者虐待防止法が成立し、2012年に施行しました。国や地方公共団体・障害者福祉施設従業者・使用者などに障害者虐待の防止等のために責務を課しました。

さらには障害者虐待を受けたと思われる障碍者を発見した者に対する通報義務も課し、関連して全国の市町村には障害者虐待防止センターの設置が義務付けられました。

水戸事件をモデルにしたドラマ

Tv Television Retro - Free photo on Pixabay (308509)

この水戸事件を元に、野島伸司脚本の問題作「聖者の行進」がテレビドラマ化されました。このドラマはショッキングで重いテーマを取り上げた作品のため話題となりました。1998年にTBSで放送されたテレビドラマです。

野島伸司シリーズの第4弾で、野島伸司の「強い人間だけが生き残ることの出来る現代社会に対するアンチテーゼ」作品でもありました。

聖者の行進

Lost Places Factory Old - Free photo on Pixabay (308527)

ドラマの内容は、水戸事件を元にしているので、地方都市の工場が舞台です。純粋で優しい心を持つ知的障碍者が人間としての尊厳を著しく奪われるものとして描かれています。彼らを虐待する暴力シーンやレイプシーンなど、時には見ることが辛くなるような過激シーンも多くありました。

ドラマの裁判シーンでは、社長が法廷で女性に乱暴していないと否認したことに対して、主人公は検察側の証人として「社長さんは嘘をついています」と証言します。しかし社長側の弁護人の巧みな法廷術により覆され「嘘はついてはいけないよ」とまで言われてしまうのです。
Fire Flame Carbon - Free photo on Pixabay (308525)

ドラマ「聖夜の行進」で国から助成金詐欺と知的障碍者たちへの暴行を行っていた竹上工場長は、最終回で工場に放火されます。その炎の中で障碍者たちに思いのたけを述べたあとマンホールから障碍者たちを逃がし、自身は焼死体として発見されます。

このラストは、製作者たちによる赤須正夫への批判とメッセージと見てとれるものです。賛否両論が起きたドラマですが、裁判での正確に話せないが故の社長の不起訴など、非常に理不尽なものが丁寧に描かれ、考えさせられる作品になっています。

水戸事件は障碍者を騙した悲惨な事件だった

Sparkler Holding Hands - Free photo on Pixabay (308545)

厚生労働省の「使用者による障害者虐待の状況等」により、経済的虐待が最も多いということが分かっています。水戸事件の赤須正夫のように、反論出来ない弱い立場の障碍者からむしり取り、私腹を肥やすという卑劣で許しがたい構図が浮き彫りになっています。

障害者防止法は成立していますが、2016年には「相模原障害者施設殺傷事件」が起きるなど、障碍者への差別・偏見はなくなっていません。この事件の犯人は「障碍者なんていなくなってしまえ」と確信犯である持論を供述していました。

障碍者を人間として扱わない・人権を無視するようなことが起きないような社会となるよう努力していく必要があります。現在は、「ダイバーシティ」など、どんな人も自分の人生を大切に出来る社会づくりが話題となっています。健常者も障碍者も自分の人生を楽しめる、そんな社会を築いていく必要が迫られています。
Summer Sunset Meadow - Free photo on Pixabay (308548)

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