2019年9月9日 更新

山口連続殺人放火事件の原因は村八分?裁判判決とその後とは

山口県で起こった連続殺人放火事件をご存知でしょうか?この事件のきっかけは村八分といういじめや「夜這い」という風習が関係していると言われ、「自業自得」とも言われている事件です。今回は、事件のその後や犯人に下された判決、犯人の愛犬も含めて詳しくご紹介します。

目次

同情の余地も?村八分がきっかけの殺人事件

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山口連続殺人放火事件とは、山口県周南市金峰という集落で2013年(平成25年)7月21日に発生した連続殺人・放火事件です。2013年と言えば割と新しいと感じる方もいるかもしれません。

事件当時村の住人だったか当時63歳の男が、自宅の近隣に住む高齢者5人を殺害し、その後被害者宅に火をつけた事件ですが、実はこの事件のきっかけとなったのが、男が村の中で受けていた村八分というイジメではないかと言われています。

ネット上では、犯人に対する同情の声や被害にあった村の人達に対する「自業自得」の声もあがっていますが、実際の所はどうなのでしょうか?今回は、山口連続殺人放火事件の闇に迫ります。

山口連続殺人放火事件の概要

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2013年7月21日、この日は第23回参議院選挙の投票日、山口県周南市金峰にある小さな山村には、前月から続く猛暑で朝から強い日差しが降り注いでいたと言います。市街地からわずか16㎞ほど離れたこの村は、住民の半数以上が高齢者のいわゆる限界集落で、8世帯12人が暮らす小さな村は過疎化が進んでいました。

この日隣村に住む男性は金峰の集会所で投票を済ませ、帰りに義理の妹の家に寄りました。妹と一緒に縁側でアイスコーヒーを飲んでいると、隣の家から大音量でカラオケの音と男の歌い声が聞こえてきたそうです。毎朝10時と夕方5時に始まるカラオケに「いつものことだ」と驚くこともなく男性は妹の家を後にしたそうです。

2013年7月21日民家2軒が全焼、3人の遺体発見

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そんなのどかな村の様子が一変したのはその日の21時ごろでした。2軒の民家から相次いで炎があがり、住民から「近所の民家が燃えている」と周南市の消防本部に通報があったのです。燃えていたのは約50m離れた農業を営む女性が住むA宅と無職の男性が住むB宅でした。

その後消防が消火活動を行いましたが2軒とも全焼し、農業を営む女性宅から一人、無職の男性宅から二人の遺体が発見され、それぞれA宅に住む女性Aと、B宅に住む男性Bとその妻であるということが確認されました。しかし、これはただの火災ではありませんでした。

2013年7月22日別の民家2軒でそれぞれ遺体が見つかる

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翌日の2013年7月22日、別の2つの民家2軒でそれぞれ新たに2人の遺体が見つかりました。遠方に住んでいる娘がCさん宅を訪れた所、Cさんが2階で血まみれになって倒れているところを発見したのです。Cさんは昨晩の火災の際、消防団にお茶や水を出すなどの世話に追われて日付が変わった午前1半頃帰宅しています。

さらに、火災の起きた昨晩から連絡がとれないDさん宅に警察が訪問し、その数分後Dさんが遺体で発見されています。村の入り口には直ぐに規制線が貼られ、現場検証が始まりました。

被害者5人は鈍器で殴打されていた

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現場検証の結果、被害者5人は全員鈍器で殴打され撲殺されていたことが分かりました。5人の遺体に共通して見られたのが頭部の陥没骨折と足の殴打痕でした。さらに「口の中に何かを無理やり押し込まれた形跡」があったそうです。

AさんとBさん夫妻の遺体は黒く焼け焦げていたため、司法解剖が行われました。その結果、顔の皮下出血と頭蓋婚陥没骨折が認められ、鈍器で激しく殴打され殺害されたことが分かったのです。

また、翌日発見されたCさんDさんも同様で、Cさんは前歯が折れるまで首の後ろを激しく殴打されており、Dさんには後頭部や膝の後ろを激しく殴打された損傷が見られ、口の中には棒のようなものを突っ込まれた形跡があったそうです・

焼失した家の隣家から川柳の張り紙が見つかる

Fountain Pen Note Notebook - Free photo on Pixabay (607901)

連続殺人事件であることを悟った村人たちは大変に恐怖し「家で寝ていたら殺されるかもしれない」と思ったそうです。そこで県警はさらなる被害者を出さないために、村人たちを選挙の投票所であった集会所に避難させました。

山口連続殺人放火事件が起こった村の入り口には、地元のテレビ局や東京からの記者などおびただしい数の報道陣が駆け付けたそうです。そして彼らが注目したのが、全焼した家の隣に住む男の所在が不明だということと、何よりその男の自宅の窓ガラスに張られた、不気味な紙でした。

その紙には「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」という放火をほのめかすような川柳が書かれていたのです。

住民の男を重要参考人として捜索

Police Cop Uniforms - Free photo on Pixabay (607903)

山口県警は7月22日、周南署に山口連続殺人放火事件の捜査本部を設けました。そして、全焼した家の隣に住む男が何らかの事情を知っていると見て「殺人と非現住建造物放火の疑い」で自宅を家宅捜索すると共に、行方をくらましている男Hを重要参考人として捜索を開始しました。

県警の調べによると、男はAさんとB夫妻の3人を殺害し放火した後も約5時間にわたり付近に潜伏し、その後Cさん宅とDさん宅に侵入し2人を殺害していることが分かったのだそうです。

2013年7月26日保見光成を発見、逮捕

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山口県警捜査本部は7月23日以降、現場付近の捜索などを約400人体制で実施し、事件発生から4日後の25日に事件現場付近の山中で容疑者の物と思われる携帯電話や男性用のズボン・シャツなどの衣類を発見しています。

そして翌7月26日は早朝から170人体制で捜索を行い、午前9時頃郷公民館から約1kmほど離れた林道沿いに、下着姿に裸足で座っている容疑者Hを捜索中の機動隊員が発見しています。「保見(ほみ)さんですか?」と機動隊員が声をかけると、男は「そうです」と答え、抵抗することなく任意同行に応じ逮捕されたそうです。

裁判で出た判決

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取り調べ当初、逮捕された保見は5人の殺害を認めていたそうです。そのため、山口県警は7月27日の午前中に、保見の身柄を山口地方検察庁へと送検しました。

保見の国選弁護人を担当した山口県弁護士会所属の山田貴之氏・沖本浩氏の両弁護人によれば、保見は犯行後に大量の睡眠薬とロープを持参して山中に入り、自殺を図ったことを話し、被害者や遺族への謝罪の気持ちを述べていたそうです。

保見はすでに5件の殺人と2件の現住建造物等放火の罪で起訴され、山口地方裁判所と広島高等裁判所、最高裁判所で判決が言い渡されています。詳しい流れについ見て行きましょう。

無罪を主張する

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