目次
- 即身仏とは
- 即身仏とは
- いつ頃の話なのか
- 最初に即身仏になったのは空海
- 空海とは
- 空海が即身仏になった理由
- 即身仏の作り方
- 即身仏になるための修行
- 木食修行
- 土中入定
- 即身仏になる詳しい手順
- 十穀断ちで脂肪や水分をそぎ落とす
- 塩と水だけでさらに断食
- 漆の樹液を飲み腐敗を避ける
- 地下三メートルの石の室に入る
- 太い竹筒から酸素と水を送る
- 決まった時間に鈴を鳴らす
- 弟子たちが石の質を密閉する
- 3年3か月後に掘り起こす
- ミイラと即身仏の違い
- ミイラとは
- 即身仏との違い
- なぜ即身仏になろうとしたのか
- 人々を救うため
- 未来での復活
- 即身仏は失敗することが多い
- 途中で断念する
- 腐敗してしまった
- 関係者に裏切られる
- 即身仏は明治時代の法律で禁止に
- 即身仏は法律で禁止に
- 最後の即身仏
- 代表的な即身仏
- 現存するのは全国で17体
- 即身仏になった人の特徴
- ストイックな人
- 人々に深く崇拝された人
- 現代でも即身仏になれるのか
- 現代の日本では自殺
- 手伝えば自殺幇助にあたる
- 日本の即身仏に対する海外の反応
- 愚かな修行法
- 日本は苦労を美徳にしている
- 即身仏は究極の苦行だった!
途中で断念する
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まず一番最初にあげられる理由として途中で断念するというものがあります。即身仏になるための修行は、想像を絶するほどに過酷です。とくに十穀断ちをする木食行はそれはそれは厳しいもので、約3年間は続けないと肉体から脂肪を完全に削ぎ落すことは難しいとされています。いくら徳の高い僧とはいえ、木の皮や木の実、山菜だけを食べてかろうじて命をつなぐのは厳しく、栄養失調を起こして病気になり木食修業中に命を落としたり、精神的に追い詰められて断念するということも記録に残っていない事例も含めて多数存在したと見られています。
腐敗してしまった
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日本は梅雨があって湿気が多く、細菌などが繁殖しやすい土地柄をしています。神仏習合の聖地であり、出羽三山の1つである湯殿山は寒い所で、ミイラを作るのには適していたのかもしれませんが、それでも湿気の多い日本の風土に変わりはなく、多少でも遺体に水分が残っていると腐敗しやすく、菌が繁殖しやすいので、日本でミイラ作りは難しいと言われています。
もちろん、土中入定の前に防腐効果の強い漆の樹液を飲んで、嘔吐や下痢・発汗などを促進し、ぎりぎりまで体から水分を絞り出し入定しますが、それでも自然の影響には逆らえない場合がほとんどで、土に葬られれば骨になってしまいます。つまり、即身仏になったということはそれだけ運がよく、また完璧に修行を完遂したことの証でもあったのです。
もちろん、土中入定の前に防腐効果の強い漆の樹液を飲んで、嘔吐や下痢・発汗などを促進し、ぎりぎりまで体から水分を絞り出し入定しますが、それでも自然の影響には逆らえない場合がほとんどで、土に葬られれば骨になってしまいます。つまり、即身仏になったということはそれだけ運がよく、また完璧に修行を完遂したことの証でもあったのです。
関係者に裏切られる
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即身仏になるには、入定して息絶えてから3年と3か月の歳月を待たなければいけません。しかし、入定した僧が弟子や周囲の人たちとの信頼関係を十分に構築できていなくて忘れ去られてしまったり、後を任された弟子が実はそれほど師匠を崇拝しておらず、裏切ってしまうといったこともあり、もしかしたら即身仏として完成していても、土の中から掘り出されることなく放置されているといった事例もあったのではないかと考えられています。
いずれにせよ人間関係とは難しいもので、土中入定から先は他人の手を借りないと即身仏成功はないため、後を任された側に問題がある場合も失敗に繋がる要因になります。
いずれにせよ人間関係とは難しいもので、土中入定から先は他人の手を借りないと即身仏成功はないため、後を任された側に問題がある場合も失敗に繋がる要因になります。
即身仏は明治時代の法律で禁止に
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即身仏は明治天皇の時代に法律で禁止されました。そのことについて詳しく解説します。
即身仏は法律で禁止に
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日本では、即身仏になるための修行が平安時代から江戸時代にかけて行われ即身仏が作られてきました。しかし、1877年明治天皇は即身仏も一種の自殺として捉え、自殺を助ける行為や墓を掘り起こす行為などを法律で禁止しました。当然ですが即身仏になろうとしている者の石室も墓として考えられ、石室の開封は違法とされました。
刑法第189条(墳墓発掘)には『墳墓を発掘した者は、2年以下の懲役に処する。』とあり、土中入定した僧侶の即身仏を掘り起こすことはこの法律に抵触するとして禁止されました。
最後の即身仏
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しかし、明治政府が自殺ほう助や墳墓の掘り起こしを禁止する法律を制定した後も、法の目をかいくぐり即身仏に成功したとされる事例がありました。それが、日本最後の即身仏と言われる仏海上人です。
仏海上人は本名(俗名)を近藤庄次郎といい、1828年(文政11年)新潟県村上市安良町に生まれました。16歳の時出家し湯殿山注連寺の門を叩き、その2年後には本明寺に弟子入りし、その後15年を同寺で過ごされています。
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その後は湯殿山の仙人沢にこもって木食行などの厳しい修行を行い、観音寺の住職となってからも、加持祈祷を行い地元の人たちを救済し、お布施や祈祷料を寄付するなどして、新潟県知事から7回も受賞されています。そして1903年(明治36年)76歳になった仏海上人は3月20日入定されました。3年後、即身仏として日の目を見ることを遺言した仏海上人でしたが、明治初年に制定された墳墓発掘禁止令により、望みは叶いませんでした。
月日が経ち、1961年(昭和36)年7月に、新潟県村上市の教育委員会と日本ミイラ研究グループによって石室の発掘調査が行われ、仏海上人はやっと日本最後の即身仏として世にその姿を現すことができたのでした。
月日が経ち、1961年(昭和36)年7月に、新潟県村上市の教育委員会と日本ミイラ研究グループによって石室の発掘調査が行われ、仏海上人はやっと日本最後の即身仏として世にその姿を現すことができたのでした。
代表的な即身仏
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現代でも残っている代表的な即身仏について箇条書きでご紹介します。
現存するのは全国で17体
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日本に現存する即身仏は20数体と紹介されている記事もネットにはあるようですが、現在日本に現存する即身仏は即身仏巡りを実際に行われている方の情報から17体とされており、おそらく間違いないと言われています。
それでは17体の即身仏をご紹介していきたいと思います。
それでは17体の即身仏をご紹介していきたいと思います。
①弘智法印即身仏 所在地:新潟県 西生寺(新潟県長岡市寺泊野積8996) 常時公開と思われる
②弾誓上人即身仏 所在地:京都府 阿弥陀寺(京都市左京区大原古知平町83) 一般公開不可
③本命海上人即身仏 所在地:山形県 本明寺(山形県鶴岡市東岩本字内野388) 要問合せ
④宥貞法印即身仏 所在地:福岡県 貫秀寺(福岡県石川郡浅川町大字小貫字宿ノ内) 要問合せ
⑤舜義上人即身仏 所在地:茨城県 妙法寺(茨城県桜川市本郷1) 要問合せ
⑥全海上人即身仏 所在地:新潟県 観音寺(新潟県東蒲原郡阿賀町豊実甲1779) 年1回御開帳日に拝観可能
⑦心宗行順法師即身仏 所在地:長野県 瑞光院(長野県下伊奈郡阿南町新野) 年2回御開帳日に拝観可能
⑧忠海上人即身仏 所在地:山形県 海向寺(山形県酒田市日吉町2丁目) 常時公開と思われる
⑨秀快上人即身仏 所在地:新潟県 真珠院(新潟県柏崎市西長島鳥甲) 一般公開不可
⑩真如海上人即身仏 所在地:山形県 大日方(山形県鶴岡市大網字入道11) 常時公開と思われる
⑪妙心法師即身仏 所在地:岐阜県 横蔵寺(岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲神原1160) 常時公開と思われる
⑫円明海上人即身仏 所在地:山形県 海向寺(山形県酒田市日吉町2丁目) 常時公開と思われる
⑬鉄門海上人即身仏 所在地:山形県 注連寺(山形県鶴岡市大網字中台92-1) 常時公開と思われる
⑭光明海上人即身仏 所在地:山形県 蔵高院(山形県西置賜郡白鷹町黒鴨544-1) 要事前申し込み
⑮明海上人即身仏 所在地:山形県 明寿院(山形県米沢市簗沢小中沢) 要事前申し込み
⑯鉄龍海上人即身仏 所在地:山形県 南岳寺(山形県鶴岡市砂田町) 常時公開と思われる
⑰仏海上人即身仏 所在地:新潟県 観音寺(新潟県村上市肴町) 常時公開と思われる
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