2019年3月31日 更新

日本の即身仏とは?即身仏になるための修行法や失敗例

即身仏とは何なのか、どうやって作るのか、どんな人が即身仏になるのかなどを知りたいと思っている方のために、即身仏と関係の深い弘法大師空海を取り上げ、実際の即身仏の作り方やその失敗例、現代日本での即身仏の捉え方、海外の反応などをご紹介しています。

3年3か月後に掘り起こす

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3年3か月をかけて密閉された石室のなかにある僧の遺体をミイラ化させます。想像を絶する過酷な修行を完璧にやり遂げ、脂肪や筋肉を削ぎ落した肉体は腐敗することなく乾燥し、即身仏になるとされています。そして、3年3か月後に弟子たちが石室の中から即身仏を掘り起こすのです。

ミイラと即身仏の違い

Mummy Museum Egyptian - Free photo on Pixabay (135910)

即身仏とミイラの違いについて解説します。

ミイラとは

Mummy Egypt Pharaoh - Free photo on Pixabay (135925)

ミイラとは、人工的あるいは自然条件によって乾燥し、長期間亡くなった時のままの原型を留めている遺体のことを指します。脱水症状を起こすなどして、遺体の腐敗が進行するよりも早く急激な乾燥が起きると、人体組織を腐敗させ分解する細菌の活動が弱まり、ミイラ化しやすくなるのだそうです。

そのため、自然発生のミイラは砂漠で見つかることが多く、これは急速な乾燥をもたらす自然条件と、そこでミイラ化した遺体が脱水状態により餓死するなどの条件がそろっているためと考えられています。ただし、自然環境下での全身ミイラ化は起きにくいとされていて、主な理由としては内臓の腐敗が挙げられています。
Pyramids Egypt Giza - Free photo on Pixabay (135976)

古代エジプトでは遺体保存のため人工的なミイラ作りが行われており、ミイラは来世に復活するという信仰と密接に結びついていました。また、死者を人工的にミイラにする風習は南米アンデス地方にもあり、ミイラは祠に安置されたり、生前のように住居に住まわせ、あたかも生きているかのように家族が話しかけたり、食事を共にするなどの文化が見られています。
また驚くべきとこに、中国ではいまだに即身仏としてミイラが作られているのだそうです。ただし、生きたままミイラになるのではなく、遺言によって死後人工的にミイラになるものであり、保存状態を保つために全身に金箔を塗るのだそうです。

即身仏との違い

Buddha Statues China Stone - Free photo on Pixabay (136000)

即身仏とミイラの違いですが、大きく分けて3つあります。まず、ミイラは即身仏と違い死後に人為的に処理されミイラになるということです。これは自らの意志でない場合も多いですが、即身仏は自らの意志で生きながらにミイラになるための準備をします。

次に大きな違いとして、脳が残っているかいないかが挙げられます。エジプトのミイラは、王の死後すぐに器具を鼻から入れて脳みそをかき混ぜて泡立て、液状にして排出したとされています。その証拠にエジプトのミイラには脳がないのだそうです。

一方即身仏は死後の処理を一切行いません。脳は一番腐りやすく脳を残したままミイラ化するのは非常に難しいと言われているのだそうですが、即身仏には脳があります。
History Egypt Sarcofaag - Free photo on Pixabay (136005)

最後に大きな違いとして挙げられるのは、ミイラは脳だけでなく内臓も取り除き、防腐処理をしているということです。とくに胃や腸、肺などは外界と繋がっているため腐りやすく、エジプトではミイラを作る際早急に処理が行われました。取り除かれた内臓はアルカリ性の塩(ナトロン)に漬けられ瓶詰にされました。そして遺体の中や外側もナトロンで覆いつくし、1か月以上そのまま置いておきます。

ナトロンで処理を行った遺体は腐りませんが、決して良い臭いではないので、臭い消しのためオイルでマッサージし、麻布で包んだそうです。テレビなどで目にするミイラの完成です。

即身仏は内臓を取り除いたり、防腐処理を行っていませんが、日本に現存する即身仏の中には、信者の手によって防腐処理されたものもあると言われています。

なぜ即身仏になろうとしたのか

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なぜ即身仏になろうとしたのか理由を見ていきたいと思います。

人々を救うため

Skeletons Funny Hear No Evil Speak - Free photo on Pixabay (136025)

即身仏になる理由としては、それまで飢餓や天災、疫病などに苦しんでいる人々を救うために活動してきた僧侶が、想像を絶するような過酷な修行を通してこの世の苦しみを一身に背負い、最後には自身の命と引き換えに、衆生救済の祈願を神仏に聞き入れてもらうために行ったということが多くの寺伝などでとりあげられています。

また、人々の救済を心から願うのと同時に、自身の身を捧げることで、徳を積み悟りを開くことができるという希望が、即身仏になることを決意させるのではないかとも言われています。

未来での復活

Clouds Landscape Beyond - Free photo on Pixabay (136032)

即身仏になる理由としてもう一つ挙げられるのが、未来での復活と言われています。弥勒菩薩は釈迦(仏陀)が入滅してから56億7000万年後の世界に降臨し、あらゆる人々を残らず救済すると誓いを立てたそうです。そこで弥勒菩薩が降臨する未来に復活し、弥勒菩薩に会うために即身仏になり、その体を残したと言われています。エジプトのミイラ信仰も未来での復活を望むものでしたが、東洋・西洋問わず未来への希望をもっていたためと考えられています。

即身仏は失敗することが多い

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即身仏は現代でも残っているのは17体だけであり、日本の気候・風土によるものや、体調の悪化、精神が衰弱して途中で断念せざるおえなくなるなど、失敗することが多かったといわれています。

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