2019年4月11日 更新

「是非に及ばず」の意味と使い方は?「是非もなし」との違いも

今回は、織田信長の名言として有名になった「是非に及ばす」を取り上げて、その意味や使い方を紹介し、本当は信長がそのときにどういう思いで「是非に及ばず」と言ったのかを考察します。また「是非もなし」をはじめいくつかの類義語との違いについても考えていきます。

Thought Idea Innovation - Free photo on Pixabay (167578)

よく「是非に及ばず」と「是非もなし」は同じ意味にとらえられますが、本当のところはどうなのでしょう。ここではこの2つの言い方について考察をします。

是非もなしの意味

Plush Dog Street Give - Free photo on Pixabay (169568)

ここでもう一度、「是非」の意味を考えてみましょう。「是」は「正しいこと、よいこと」、「非」は「正しくないこと、悪いこと」を意味します。つまり「是非もなし」は「よいも悪いもない」といっているわけです。これはどういうことかというと、「よいも悪いもどちらともいえない、よいのか悪いのかどちらだかわからない」という意味です。

したがって、「よいのか悪いのか、わからないんだから仕方ない」となって、「是非もなし」は、「しかたがない」といった意味で使われています。

是非もなしの使い方

Tom Arranhador Cat - Free photo on Pixabay (169689)

ここでは、「是非もなし」がどのように使われているのか、例文を上げて見ていきましょう。

例文1. 「こんな状態でけんかが起こったんだったら是非もなしだね」⇒「こんな状態でけんかが起こったんだったら、よいか悪いかは判断できないね」となり、「こんな状態でけんかが起こってもしかたがないね」という意味になります。

例文2. 「あんな強敵がいたとなれば、負けても是非もなしだよ」⇒「あんな強敵がいたとすれば、負けたことが悪いかどうかわからないよ」となって、「すごい強敵がいたんだから負けてもしかたがないよ」という意味になります。

是非に及ばずとの違い

Friends Cat And Dog Cats Dogs - Free photo on Pixabay (169787)

では、「是非に及ばず」と「是非もなし」はまったく同じなのかどうなのか、ここで考察します。どちらも「しかたない」という意味を含んでいるということは先に説明しましたが、まず「是非に及ばず」の意味について、再度ここで考えてみましょう。

「是非に及ばず」とは、「よいか悪いかそれには及ばない」といっているのですね。つまり「よいか悪いかどちらなのだと考えたり判断したりするには及ばない」⇒「そんな必要はない」といっているのです。これに対して、「是非もなし」は「よいか悪いか判断できない、わからない」といっています。

これからもわかるように、「是非に及ばず」と「是非もなし」は微妙にニュアンスが違います。「是非に及ばず」は「しかたない」と思いながらも、「ぐだぐだいっておらずにやるしかない」という積極的な攻めの意気込みが感じられますが、「是非もなし」は、「どうしたらいいかわからないから仕方ない」といったあきらめの気持ちが含まれた言葉です。

是非に及ばずの例文

Lion Mane Hair - Free photo on Pixabay (169867)

「是非に及ばず」は単独ではなく、前後にそれがどういった意味で使われているのかがわかるような言葉を置く場合が多いとされています。以下に、現代の会話でこの「是非に及ばず」がどのように使われるかを見てみましょう。

1. 「あれだけセクハラをくり返していたんだものね。課長が解雇されるのも是非に及ばずよね」⇒「あれだけセクハラをくり返していた課長が解雇されることに関して良し悪しを論じる余地などない」、つまり、解雇されることに対して「当たり前」という意味で使われています。
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2. 「借りていたお金、返さなきゃだめ?」と聞かれた答えで「どんな理由であれ借りたものを返すのは是非に及ばず!」⇒「どんな理由があろうとも借りたものを返すべきかどうかを考えることなど必要ない。返すのが当たり前だよ」という意味で使われています。

3. 「やるべきがやめるべきか、決めたことならば是非に及ばず!」⇒「やるべきかやめるべきか迷っているようだけど、決めたことならばどうしようか迷わずにやるしかないでしょ」といった、あきらめではなく、アグレッシブな意味で使われています。

小説で知らない言葉を放置するメリットとデメリット

Adult Blur Book - Free photo on Pixabay (170044)

この「是非に及ばず」は、織田信長が最後にいった言葉として有名です。が、ある歴史小説で、謀反を起こしたのが光秀であることに対して信長が、「それならばしかたない」という思いで口にした言葉だと解釈されています。

しかし、現在、その解釈について、「是非」の意味を明らかにしたり、「信長公紀」でのその言葉の前後を取り上げたりして、本当にそういう意味で言ったのだろうか、と、いろいろなところで、論争が持ち上がっています。

小説や物語の中で、知らない言葉や意味がよくわからない言葉が出てきたとき、読者はどういう風に対処するのがいいと思っているでしょう。辞典を調べてその意味を明らかにするのがいいのか、そのまま放置して読み進めていくのがいいのか、以下ではそれぞれのメリットとデメリットについて考察します。

小説の内容が入って来ない

Phone Mobile Telephone - Free photo on Pixabay (170074)

「小説の内容が入ってこない」は、小説の中で知らない言葉と出会ったときにそのまま放置するデメリットの1つとして上がっていた意見です。

どういうことかというと、言葉の意味がわからないと、たとえばそれがセリフの中の言葉だった場合は、主人公やその登場人物が何をいいたいのかがわからなくなるし、本文の場合は、作者が何をいわんとしているかがつかめなくなるので、読んでいて、ストーリーや登場人物の心理の移り変わりが読者に伝わってこなくなる、ということです。

反対に、メリットとしてとらえている意見もありました。知らない言葉と出会うたびに、書籍から離れて辞典などを開くと、読んでいるリズムや勢いがそがれて、今までの内容に感じていた臨場感なども薄れて、小説の内容がスムーズに入ってこなくなる、といった意見です。

小説の感動が薄れる

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この「小説の感動が薄れる」も、上記の「小説の内容が入ってこない」と同様に、デメリットとメリットの両方に上がっていた意見です。理由も似通っています。

途中で知らない言葉に出会って放置するデメリットとしてとらえている理由は、登場人物の思いや、作者がそこで何をいわんとしているかなどが理解できずに、本来得ることのできる感動を味わうことができなくなる、ということです。

反対に、途中で知らない言葉に出会って書籍から離れて辞典に手を伸ばすことで、今までワクワクドキドキしながら読んでいたその感動の波を中断することは、そのまま小説の感動が薄れることになる、という正反対の意見も多く見られます。

作者の意図が伝わらない

Book Flowers Read - Free photo on Pixabay (170267)

この「作者の意図が伝わらない」は、みなさん、知らない言葉を放置するデメリットとして上げられていました。書き物は、それを書いた著者が何らかのことを読者に告げたくて書いているわけです。その一語一句に著者の思いが込められているということです。

しかし、そこで使った言葉や言い回しを誤解されてしまったらどうでしょう。著者または作者の意図は正確には読者に伝わらなくなりますよね。つまりわからない言葉に出会ったら、辞典などで調べて、作者が何を言いたかったのか、理解することはとても大切なことなのではないか、といった視点に立って上げられた意見です。

小説を読むのが楽しくなる

Boys Children Reading - Free photo on Pixabay (170316)

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