2019年2月27日 更新

ジョンドゥの意味とは?名無しの権兵衛との違いと女性の場合の呼び方

ある特定の人に対して呼ばれる名前「ジョンドゥ」には、どのような意味がある?ジョンドゥの女性版の呼び方は?日本に昔から伝わる「名無しの権兵衛」とは何が違う?架空の名前「ジョンドゥ」にまつわる様々なトピックを、詳しくご紹介します。

目次

ジョンドゥの意味とは

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私たちが生まれたときにもらえるもののひとつに、「名前」があります。物心つく前から持っているものなので、普段は特にその重要性を考えることはありません。

しかし、名前が分からない場合は、いろいろと困ったことが起こります。名前があることで、その人の存在を確かなものにしているともいえるからです。

名前などが分からない身元不明者に、一時的に付けられる名前が「ジョンドウ」です。これから「ジョンドウ」ついて、詳しく解説します。

ジョンドゥ=名無しの権兵衛?

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日本に限ることではありませんが、どこの誰だか分からない身元不明の人がいるというのは、珍しいことではありません。身元不明の人が現われたとき、まずは免許証など、名前を証明するものを探します。しかし、それが分かるものを何も持っていなかったりすると、その人が誰なのかを調べることは難しくなってしまいます。

しかし、名前が分からないからといって呼び名がないままでは、何かと不便です。そこで日本では「名無しの権兵衛」という架空の名前を付けて、一時的に呼ぶことが多くなったのです。

日本において「名無しの権兵衛」と名付けられた身元不明者ですが、海外、英語圏の国の場合は「ジョンドウ」と呼ばれます。つまり、ジョンドウ=名無しの権兵衛となります。

ジョンドゥの由来

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ジョンドゥの由来ははっきりしたものがありませんが、イギリスが発祥という説があります。一つは、1215年に制定されたマグナ・カルタという法律です。その法律を執行するときには証人が必要なのですが、目ぼしい人物がいないときは架空の証人として「ジョンドゥ」と署名したそうです。

また、マグナ・カルタより後の時代、土地の持ち主が誰なのか占有権をめぐって、架空の貸主・借主「ジョンドゥ」として裁判が行われたこともあったようです。

「ドゥ(Due)」という言葉の意味が「架空の姓」となっているのは、この由来が元になっているのかもしれません。いずれにしろ今も昔も、物事をスムーズに進めるために、架空の人物をうまく利用していることは変わりがありません。

女性の場合の呼び方

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ジョンドゥは、「ジョン」が名で「ドゥ」が姓となっています。ジョンというのは一般的に男性の名前であることから、身元不明の人物が男性である場合に「ジョンドウ」と呼ばれます。

女性の身元不明者の場合は、ジョンの部分が女性の呼び名に変わります。ジョンの女性名「ジェーン」から「ジェーンドゥ」と名付けられます。

ちなみに、「ジョン」「ジェーン」の名前の由来は「ヨハネ」で、キリストの弟子、12使徒の一人です。有名な絵「最後の晩餐」の中でキリストの隣に描かれた、女性のような優しい雰囲気の人物です。キリストに最も愛された弟子といわれています。

他の呼び方

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「ジョンドゥ」は身元が分からない人に付ける名前ですが、他にも呼び方があります。姓の「ドゥ」を「スミス」に変えて、「ジョン・スミス」「ジェーン・スミス」となります。

スミスというのは、アメリカなどで多く見られる姓です。スミスはもともと職業を表したもので、鉄の道具を作る人、鍛冶屋がそのように名乗りました。昔は鍛冶屋を職業にする人はとても多かったので、スミスという姓が増えていったのでしょう。

「ジョン」「ジェーン」「ドゥ」「スミス」のようになじみがあって、珍しくない名前だからこそ、身元が分からない人に付けるには適切です。誰に付けても違和感がない、ということが、身元不明者にとっては大切だからです。

ジョンドゥはどういう時に使われる?

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ジョンドゥは誰だか分からない、身元不明の人物に付ける以外にも、使われることがあります。

身元不明の遺体を指す時

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身分を証明するものを何も持っていない、身元不明の遺体が発見された。実際の事件でも、そのようなことがよく起こります。ドラマや映画でも頻繁に見られるくらい、珍しいことではありません。

男性の遺体の場合は「ジョンドゥ」、女性の場合は「ジェーンドゥ」と仮に名付けることは、警察などの捜査がしやすくなります。その名前が付いているということが、身元が分かっていない男性(女性)の遺体だとすぐに理解できるからです。

なお、身元不明の遺体が複数発見されたときは、姓「ドゥ」が複数形「ドゥズ」になります。同時に発見された遺体は、それぞれの遺体を「ジョンドゥ1」「ジョンドゥ2」というように、名前に数字を付けて呼ばれました。

ジョン・ドゥ起訴をする時

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強制わいせつや強姦などの性犯罪が起きたとき、その犯人の氏名などは身元不明で、DNAの情報は分かっていることがあります。このような犯罪には時効があるので、犯人が特定できず起訴しなければ、被害者は泣き寝入りとなってしまいます。

そこでアメリカでは、現場に残った痕跡などから犯人のDNAが分かっていれば、起訴することが認められていて、それによって時効を止めることができるのです。犯人の身元が不明なので、身元不明者「ジョンドゥ」として起訴する、このようなやり方は「ジョン・ドゥ起訴」と呼ばれています。

今は犯人が特定できなくても、時効を止めている状態ならば、いずれ犯人が見つかる可能性があります。再犯、もしくは別の犯罪で捕まった人物がその犯人だったり、科学捜査の進歩で新たな証拠が見つかったりといったことが期待されています。

裁判で訴える相手の名前が不明な時

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裁判で訴えたい相手の身元が分からないとき、日本では裁判を起こすことができませんが、アメリカでは身元不明者「ジョンドゥ」として、裁判をすることが認められています。

それを逆手にとった「著作権トロール訴訟」が、問題になっています。著作権トロールとは「著作権を侵害している」と訴えることで、賠償金を得ることを目的にしている者のことです。

氏名など身元が分からなくても、例えばIPアドレスが分かっていれば、仮名の「ジョンドゥ」として訴えることができてしまいます。あくまでお金を得ることが目的のこの訴訟のように、ジョンドゥが悪用されてしまうケースもあります。

ネットで本名を名乗りたくない時

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ブログやツイッターなど、SNSで様々なことを発信する人は、とても多く存在します。しかし、ネットで本名を公表している人は、有名人などを除けば、まだ少数なのではないでしょうか。

今は少ない情報でも、本人を特定できてしまう時代です。その危険性から、ネットで本名を名乗るということは、大きなリスクを伴います。

しかし、ネットはいろいろなことを発信する場として、とても便利なものです。ネットにおいて、本名ではなく「ジョンドゥ」として名乗ることは、安全に発信できる手段といえます。しかし、その匿名性を悪用して誰かを誹謗中傷したときなどは、場合によっては犯罪になりますので、注意が必要です。

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