2019年8月20日 更新

カスパーハウザーの出生の謎や暗殺事件の真相は?未だに残る多くの謎

カスパーハウザーという名前を聞いたことがなくても、肖像画を見れば「あー!」と思い当たる人も多いと思います。16歳で突然発見された少年は、ほとんどまともに言葉を話せず、一度も折り曲げたことがなかったような膝を持ち異様な様子でした。

目次

彼の保護・養育にあたったドイツの刑法学者『パウル・ヨハン・アンゼルム・フォイエルバッハ(Paul Johann Anselm von Feuerbach)』によると、カスパーは当初、通常の生活を送っていれば身につく常識や人間らしさを失っていたと言われます。

しかし、当時の市長もカスパー・ハウザーに特別興味を示し、熱心に彼の成長を記録し続けました。

カスパー・ハウザーの死後は、事件の顛末一切の記録を本に著し(日本語訳『カスパー・ハウザー』)、カスパー・ハウザー死後の解剖報告書も添付されました。

地下の監獄に囚われていた可能性

Lost Places Keller Elevator - Free photo on Pixabay (565285)

パウル・ヨハン・アンゼルム・フォイエルバッハは、カスパーがかなりの長期にわたり孤独な状態で地下の監獄に囚われていたのではないかと推測しています。

生まれながらにして暗い小部屋で外部との接触を絶たれて生活してきた結果、人間らしさを失っていったと考えられました。

ですが、いったいその幽閉場所はどこにあったのだろうと思い巡らされ質問もされましたが、カスパーハウザーの口から語られることはありませんでした。

カスパーハウザーの知覚

Fantasy Light Mood - Free photo on Pixabay (565287)

カスパーの特異な性質は次々と明らかになりました。まず、コーヒーやビールといった匂いに対し、異常なまでの拒否反応を示し、部屋に運び込まれただけで気分が悪くなってしまうほどで、ワインにはその匂いだけで酔ってしまうほど敏感でした。

長い間なにもない地下牢にいたとされ、いきなり情報量が多い地上に出され、しばしば頭痛を訴え地下牢に戻りたいと要求したこともあったカスパー・ハウザーは、異常なほど研ぎ澄まされ人間離れした感覚の持ち主で、その感覚は嗅覚だけではありませんでした。

暗闇での感覚

Forest Fog Trees - Free photo on Pixabay (565288)

カスパーの感覚機能は発見当初はほとんど麻痺状態でしたが、やがて外界のものを知覚できるようになっていきました。そこで発揮された知覚の鋭さは異常とも言えるほどのもので、暗闇でも全く暗い家の中を歩いている人が手すりに捕まって歩いているのを見ると、不思議な顔をして笑っていました。

なぜ暗闇でそんなふうにしなければならないのか理解できない様子で、日没後でも遠くの家を数えることができたり、聖書を読めたり色彩を判別できましたが、昼間にはそうした能力は失われ遠くを見ることは困難なようでした。

金属の材質を見抜く力

Man Portrait Gloomy - Free photo on Pixabay (565289)

金属を握っただけで鉄や真鍮などその材質を見抜いたり、遠く離れたクモの巣に獲物がかかっていることを言い当てるなど並外れていたとされる。

嗅覚も異常に敏感で、コーヒーやビールといったものに対し、異常なまでの拒否反応を示した。それらが部屋に運び込まれただけでカスパーは気分が悪くなってしまうのである。ワインにいたってはその匂いだけで酔ってしまうほどでした。

その耳も恐ろしく敏感で、隣の部屋で囁く声を聞き分ける事ができました。

優れた知覚は生活に馴染むほどに消失

Fantasy Light Mood - Free photo on Pixabay (565291)

カスパーハウザーのこの異常な能力は、特殊な視覚など一部を除き、一般の食事や生活に順応するにつれ消失していきました。人は目が見えなくなると聴覚や触覚などの機能が異常に発達し、耳が聞こえなくなると触覚や目で見て感じる機能が異常に発達すると言われています。

真っ暗闇の中で、誰の愛情も受けることなく「考える」という機能が恐ろしく失われていたカスパーハウザーは、人々の注目を受け、興味を引き「感情」を受けることで人間らしさを取り戻していく中で、以上に発達していた機能は失われてしまったのでしょう。

世に出されたカスパーハウザー

Desperate Sad Depressed - Free photo on Pixabay (565294)

カスパー・ハウザーは軍隊で預かるわけには行かないということで、警察に引き取られていましたが、全てにおいて繊細すぎるカスパー・ハウザーは、幽閉する目的でつくられた窓がついた小さな塔の中に収容されました。

街の噂で評判になっていたカスパー・ハウザーをひと目見ようと群衆が集まりました。カスパー・ハウザーは突然窓の下に表れた群衆に怯え、過敏すぎる感覚に悩まされました。

せまくるしくて暗い地下の穴から突如として自由な外界に移された結果、気を失うのでなければ、極度の酩酊状態に似た状態に陥った状態だったでしょう。目はくらんでいなくても、何も見ることができないばかりか、何も知覚することさえできなかったでしょう。

光と騒音による苦痛

Guy Man People - Free photo on Pixabay (565296)

カスパーハウザーの過去は完全な謎に包まれており、かつ特異な感覚能力の持ち主である彼に興味を持つ人々は増える一方で、彼を市費で養う代わりに『見世物』として群衆の眼前に彼が連れてこられることもありました。

その際、カスパーハウザー自身は経験したことのない光と騒音により、感覚の凄まじい過敏さゆえに痛みを受け苦しみました。16年もの間、彼が『檻(おり)』と呼んでいた真っ暗闇の狭い空間の中から、突然民衆のもとに見世物として連れ出されたのですから当然の反応だったでしょう。

徐々に平静を保てるように

City Man Person - Free photo on Pixabay (565293)

カスパーハウザーは、民衆のもとに見世物として連れ出され、光と騒音による苦痛にも慣れてくることによって、この苦痛も徐々に軽減していきました。

やがてカスパーハウザーは、多くの人々の前でも平静を保つことができるようになり、ニュルンベルクの人々も彼の人と成りを知ることで同情し、良い意味での興味を示し受け入れていきました。

やがて、当時の王侯貴族だけが受けていたとされる種痘のあとがカスパーハウザーから発見されたことから、元々、高貴な人物の血を受け継いでいるのではないかという噂が人々の間で囁かれ出した。

カスパーの語った過去

Artificial Intelligence Brain - Free image on Pixabay (565297)

自分が何者かを知らず、故郷も知らないカスパー・ハウザーは、言葉が流暢になり「回顧録を書きたい」と言い出しました。周囲の期待もあり、ただちに彼の取りかかられたこの大仕事で、カスパー・ハウザーの言葉で書かれたその文章にはおおよそ次のような彼の生い立ちが記されていました。

彼が16歳で表に出るまで暮らしていた「オリ」と呼んでいた場所は、奥行き2m、幅1mで、窓のない立ち上がることもできないほど天井が低い場所でした。寝床代わりの干し草が敷かれた床は汚れ、大小便は、横に置かれていた壺にしました。

その部屋にいた十数年の間、彼と外部との接触は皆無で人間と話すことはなかったので、毎朝目を覚ますと、床にパンと水が置かれていたのは誰かの行いでなく、自然のことだと思っていました。時々、水からは嫌な匂いがし飲んだ後に眠たくなり、起きた時は、爪を切られ、新しい服を着せられていました。

暗殺されたカスパーハウザー

Detective Crime Scene Dagger - Free photo on Pixabay (565298)

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