2019年9月5日 更新

日本史上最悪の「津山三十人殺し事件」の概要とその真相とは?

日本史上最悪の事件と言われる「津山三十人殺し事件」をご存知でしょうか?今回は、事件から80年以上経った今でも、風化することなく残る津山事件について、その真相や事件の現場、犯人が残した遺書や事件を題材にした映画などの作品についてご紹介します。

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事件の生き残りである寺井ゆり子さんは、津山三十人殺し事件の後に他の集落に移り住んだのだそうです。そして2014年の段階では生存が確認されていたようですが、100歳近い年齢になっておられますので、当時の事を覚えている人はもうほとんど残ってはいないでしょう。

寺井さんは事件当時、移り住んだ集落でも津山三十人殺し事件の原因を作った張本人と後ろ指をさされ、地域社会の中で孤立し差別的な扱いを受け孤独に生活されていたそうです。しかし、母親として再婚相手との間に生まれたお子さんをしっかりと育て上げたのだそうです。

津山三十人殺し事件をモデルとした映画

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津山三十人殺し事件は、その稀にみる猟奇性や人の心に潜む闇を映し出した事件であることから、当時から80年以上経った今でも、人々が興味を掻き立てられる事件として未だなお映画や小説・漫画などの作品として残り続けています。

特に津山事件を題材にした映画として有名なのが「八つ墓村」と「丑三つの村」で、「八つ墓村」には根強いファンが多く、この作品を原作とした映画やドラマ、舞台などもあります。

また、「丑三つの村」はフィクションではありますが、津山事件の事実に基づいた内容がかなり取り入れられていると言われ、現在でもDVDで見ることが可能です。

「八つ墓村」

DECADE on Instagram: “【#村上虹郎】 \本日情報解禁/ 横溝正史原作 ドラマ『八つ墓村』に出演致します。  村上は田治見家の跡取りとして呼び戻され 事件に巻き込まれる井川辰弥を演じます _ <放送日時> 10月12日(土) 21:00〜 NHK BSプレミアムにて放送  皆さま放送をお楽しみに📢…” (604003)

「八つ墓村」は横溝正史原作の小説をもとに作られた1977年10月29日公開の日本映画です。監督の野村芳太郎氏をはじめとして、脚本に橋本忍氏、撮影に川又昴氏、音楽に芥川他寸志氏を起用し、およそ7億円の製作費と2年3カ月という製作期間をかけて作られた松竹映画史上歴代に残る大ヒット作になりました。

興行収入は19億8600万円を記録したそうです。映画の中で語られる村人32人殺し事件は、津山三十人殺し事件をモデルとしています。

主人公の寺田辰弥は、あることがきっかけで生まれ故郷の「八つ墓」村に向かうことになります。そこで腹違いの兄多治見久弥が余命いくばくもなく、自分が豪家「多治見家」の後継者であること知ります。そんな最中、辰弥の帰郷に呼応するかのように連続殺人事件が起こり、私立探偵「金田一耕助」が事件の調査に乗り出すというあらすじです。

「丑三つの村」

daisei on Instagram: “丑三つの村(1983) 津山30人殺しをモチーフにした映画。故古尾谷雅人の演技は圧巻。 あと中尾彬の奥さんの池波志乃のおっぱいにも圧巻! 古尾谷雅人の狂人な演技にブラボー。 当然女性子供にはオススメできません。 #丑三つの村 #津山事件…” (604010)

「丑三つの村」は、西村望原作のノンフィクション小説を原作として作られた映画で、津山三十人殺し事件を題材にしています。舞台は戦前の昭和、岡山の寒村に祖母と暮らす青年「犬丸継男」は村一番の秀才として名高く、「やすよ」という恋人もいました。しかし次第に村の風習である「夜這い」に溺れていくようになります。

ある時徴兵検査を受けた継男は、当時不治の病であった結核と診断され、「名誉の出生」が叶わないだけではなく、結核の噂が村中に広まり、継男と関係のあった女達や村人達から村八分にあい、ついに恋人まで離れて行ってしまいます。そして次第に追い詰められていった継男がついに復讐を決意し決行するというお話です。

映画は、1983年1月15日に松竹富士により公開されましたが、当時の映倫が「全編が残虐的で非道」と判断したためR18指定の映画となっています。

その他の事件をモデルとした作品

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津山三十人殺しをモデルとした作品には、他にも漫画「負の暗示」や「夜見の国から」、ゲーム「SIREN」や舞台「<津山三十人殺し>幻視行」などがあります。なぜ、事件から80年以上経った現代でも、都井睦雄が起こした事件が人々の注目を集めるのでしょうか?

津山事件があまりにも凄惨だったからというのもあるでしょうが、都井睦雄という殺人鬼の犯行が、現代で起きる通り魔事件や大量殺人事件に通じるものがあるからではないでしょうか?もちろん、都井睦雄という男が起こした事件は決して許されるものではありません。

ですが、都井を犯行に走らせた原因には当時の村社会で行われていた風習やイジメが関係していると言われています。それは現代にも通じるものがあり、大量殺人事件を起こした犯人の中には、都井のように孤立していたり、イジメを受けていたり、様々な事情を抱えている人物も少なくありません。
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そう考えると、津山三十人殺し事件が風化しないのは、私たちが目の前で困っている人や孤立した人を見て見ぬふりをする・放置する行為は、大きなリスクをはらんでいると警鐘を鳴らしているからだとも考えられるのです。

漫画「負の暗示」

はなのこです on Instagram: “「負の暗示」読後はなんとも言えないモヤモヤがする。事実を元に書かれたということがまた怖い。#山岸凉子#神かくし#負の暗示#昭和の漫画” (605237)

「負の暗示」は、津山三十人殺し事件をモチーフに描かれた、山岸涼子先生原作の漫画です。舞台は、戸数30にも満たない山間の僻村とされており、主人公の「土井春雄」は幼少期に両親を結核で亡くし祖母から溺愛されて育ちます。しかし、そんな春雄のプライドを傷つける些細な出来事が重なり、春雄は次第に「夜這い」に溺れて行きます。

そんな春雄に追い打ちをかけるように徴兵検査の甲種不合格と結核の診断。自分を名士とはやし立てていた村人や女たちが手の平をかえして自分を蔑み無視するという現実。自分を優秀だと思っていた春雄にとって、これほどの屈辱はありませんでした。春雄は次第に胸の内に報復を秘めていきました。

漫画「負の暗示」は、津山三十人殺し事件の数少ない資料を基に、負に囚われた男の生涯を描いた作品と言われ、平凡な男が些細な負の連鎖により鬼と化していく背筋の凍るような姿の描写に、ありきたりなサスペンス漫画とは一線を画す名作という評価も高いようです。

ゲーム「SIREN」

@kte_knzk on Instagram: “#廃墟#岳集落#廃村集落#サイレン#SIREN#羽生蛇村#新聞#写真好きな人と繋がりたい#ファインダー越しの私の世界#カメラ女子#一眼レフ” (605240)

ゲーム「SIREN」の舞台である羽生蛇村は陸の孤島と言われる架空の村で、モデルは埼玉県秩父郡内にかつて存在していた「岳集落」と言われており、実際の羽生市とは無関係とされています。

ゲームは、昭和51年8月3日深夜0時、○○県三隅郡羽生蛇村が大規模な土砂災害により壊滅し、その27年後の昭和78年8月1日、羽生蛇村でかつて大量殺戮が起きたという都市伝説に興味を持った高校生の須田恭也が一人で村を訪れるというところから始まります。

この大量殺戮が起こったという都市伝説の部分が、どうやら津山三十人殺し事件をモデルにしているようです。また、音楽や題材には映画「八つ墓村」の雰囲気も醸し出されており、昭和78年の日本を舞台にした、土着的・民族的なモチーフを題材にした3Dアクションホラーゲームとなっています。

演劇「<津山三十人殺し> 幻視行」

miniTadokoro on Instagram: “〈津山三十人殺し〉幻視行名シーン。#月蝕歌劇団 #津山三十人殺し #観劇 #千本桜ホール #舞台イラスト #illustration #minitadokoro #art #illstgram #drawing #digitalart” (605250)

演劇「<津山三十人殺し>幻視行」は、津山事件をモチーフにして作られたお芝居で、村で大量殺人を繰り広げようとするムツオ(睦雄)の前に、異国風の衣装に身を包んだ3人組が現れます。その正体は、小説家を夢見ていたムツオ(睦雄)がかつて創作した小説の主人公たちでした。

彼らは、津山三十人殺し事件を阻止し、ムツオに幸せな人生を送ってもらうために、ムツオの少年時代にタイムスリップします。そこで結核を治す薬を開発するなどして、ムツオに殺人を思いとどまらせようとしていました。しかし、そこに別の思惑でムツオの殺人を阻止しようとするもう一つの集団が現れます。

そして物語はクライマックスへと向かい、最後にムツオの前に現れた第三の人物とは?というあらすじです。津山事件というメインテーマにアクロバティックな歴史解釈を織り交ぜた、独特の世界観が広がる演劇になっています。

漫画「夜見の国から」

イーニドGO!GO!GO! on Instagram: “これ買った” (605251)

池辺かつみさん原作の「夜見の国から~残虐村奇譚」は、別冊漫画ゴラクに連載されていた作品で、モデルは言うまでもなく、太平洋戦争中に岡山県の集落で起こった「津山三十人殺し事件」です。

本作の主人公の名前が都居睦男(トイムツオ)であることからも、それは明らかです。この作品の前半では、ただれた人間関係やネチネチとした集落の因習、陰湿なイジメによりどんどん心が蝕まれていく睦男の心理描写がこれでもかと言わんばかりに丁寧に描かれています。

そして、あまりにも悲惨なイジメに心の中に殺人の動機を徐々に構築していく睦男の大量殺戮が作品の後半で始まるのですが、数百ページにも及ぶ殺戮シーンには容赦がないと言われ、読む人が度肝を抜かれる作品になっています。

津山三十人殺し事件と類似性を持つ事件

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