2019年7月16日 更新

ウェルテル効果の意味や実例は?心理学的見方や自殺との関連性

「ウェルテル効果」という言葉をご存知でしょうか?ウェルテル効果とは、自殺や犯罪の後に起こる影響についての心理学用語です。日本でもこのウェルテル効果による事例もあります。この記事では、ウェルテル効果の意味や実例について紹介しています。

目次

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モデリングの際のプロセスの最後に、遂行するモチベーションを高める「動機付け」があります。この時に人は、観察対象者の行った行動へのイメージを強化することで、モチベーションを高めます。

このイメージ強化には、外的強化、代理強化、自己強化の3つが存在します。自殺報道によるウェルテル効果では特に外的強化が顕著であるとされ、自殺が肯定的に報道されることで「自殺は正しいこと」と認識してしまいます。

これにより自殺へのイメージが強化され、自殺を遂行する動機付けがされてしまいます。これがウェルテル効果を発生させるプロセスなのではないかと言われています。

WHOが定めるメディア向け自殺予防の手引きとは?

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自殺報道によるウェルテル効果の発生は、世界的に大きな問題となっています。そこで、WHOは2000年に「自殺予防 メディア関係者のための手引き」という自殺報道に関するガイドラインを作成しています。

このガイドラインは、世界中で使用されており、実際にウェルテル効果が減少する結果となっています。では、このメディア向け自殺予防の手引きとは、どのようなものなのでしょうか?

メディア向け自殺予防の手引きの内容について解説します。

WHOとは?

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WHOとは、世界保健機関の略称になります。世界保健機関は、「人間が健康であることは基本的人権の1つである」という理念の元に設立された、国際連合の専門機関の1つです。

1948年に設立された機関であり、本部はスイスのジュネーブにあります。世界の人々の健康水準を可能なところに到達することを目的としている為、健康に関する世界的な基準などを制定するなどの活動をしています。

メディア向け自殺予防の手引きもその1つです。

「自殺予防 メディア関係者のための手引き」の意味

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「自殺予防 メディア向け自殺予防の手引き」は、1984年から1987年にオーストリアのジャーナリストたちが自殺などに関する報道を変えた結果が根拠とされています。

この時に自殺報道の方法を変えたことで、オーストリアでは自殺が80%減少するなど、自殺率を減らす効果がありました。これにより、報道のやり方を変えることが有効であることが証明されます。

これを根拠として作られたものが、「自殺予防 メディア向け自殺予防の手引き」になります。

自殺に関する啓発・教育について

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メディア向け自殺予防の手引きでは、自殺に関する啓蒙や教育活動を行うことの重要性が示されています。自殺に関して誤った知識を得てしまうと、ウェルテル効果の影響を受けやすくなってしまいます。

その為、日頃から自殺に関する啓蒙や教育をしっかりと行うことで、自殺を予防することが出来るとされています。自殺を考えるような困難な状態への対処法などを身に付ける教育をすることが、自殺の予防になると考えられています。

報道の頻度や報道の仕方について

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メディア向け自殺予防の手引きでは、自殺の報道に関する注意点が書かれています。その中では、自殺報道の頻度や報道の仕方に関しても注意事項があります。自殺の報道は、過剰に繰り返し報道してはならないとされています。

その為、自殺に関してテレビでは何度も報道されません。また、新聞などで目立つところに自殺報道を掲載してはならないことも記されています。報道のやり方としては、写真や映像を使う際は慎重になるべきであるとしています。

報道内容について

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自殺報道の内容に関しても、ガイドラインが作られています。自殺報道の内容に関する記載では、自殺をセンセーショナルに扱うこと、問題解決の手段のように扱うことはしてはいけないとされています。

また、報道する際に自殺の手段などを詳細に伝えないことも注意点として記されています。その為、現在ではどのように自殺したのかについて、テレビでは詳細に報道されないようになりました。

これは自殺者の遺族への配慮としても有効であるとしています。

その他

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メディア向け自殺予防の手引きでは、報道に関する注意点だけではなく、様々な注意点が記されています。例えば、自殺を考えた際にどこに支援を求めるべきかメディアが情報提供をすることで、自殺を予防することが出来ることが書かれています。

また、メディア関係者も自殺報道から影響を受けてしまう場合もあることも指摘されています。その為、メディア関係者もウェルテル効果の影響を受けてしまわないように十分注意する必要があります。

【報道編】ウェルテル効果を防止する為には

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WHOの「自殺防止 メディア向け自殺予防の手引き」について紹介しました。この手引きに記載されている注意点を元に、現在のテレビなどのメディアでは自殺報道を慎重に扱うようになりました。

この手引きの注意点を遵守することで、ウェルテル効果による影響を抑えることが出来ます。では、報道ではウェルテル効果をどのように防止しているのでしょうか?

現在の報道現場で行われているウェルテル効果の防止方法を紹介します。

自殺報道をしない

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「テレビで自殺報道を見かける機会が減ったように思う」と感じている人も多いのではないでしょうか?現在自殺報道は基本的には行わない傾向が強くなっています。特に一般人の自殺に関しては、殆どの場合報道されません。

その為、例えば身近なところで自殺があった場合でも、テレビなどで報道されることは殆どありません。自殺報道自体をしないようにすることで、ウェルテル効果を防止することが出来るようになります。

自殺を大々的に取り上げない

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