2019年7月16日 更新

ウェルテル効果の意味や実例は?心理学的見方や自殺との関連性

「ウェルテル効果」という言葉をご存知でしょうか?ウェルテル効果とは、自殺や犯罪の後に起こる影響についての心理学用語です。日本でもこのウェルテル効果による事例もあります。この記事では、ウェルテル効果の意味や実例について紹介しています。

目次

2011年に上原美優さんが自殺で亡くなったことで、その死後1週間に自殺者が急増した事例があります。この現象は、ウェルテル効果が発生したことによるものであると言われています。

この時に自殺した人々は、上原美優さんと年齢が近い10代から20代の女性が多く、ウェルテル効果によるものであることを裏付けるデータとなっています。

1日に平均120人近い人が亡くなったとされ、上原美優さんの自殺は大きな影響があったとされています。

ウェルテル効果の影響を受けやすい人

Summerfield Woman Girl - Free photo on Pixabay (479472)

日本で発生したウェルテル効果の事例を紹介しました。日本で起きたウェルテル効果の代表例は、有名人の自殺報道が原因であることが分かりました。

しかし、自殺報道がされたとしても、その報道を見た全ての人がウェルテル効果の影響を受ける訳ではありません。ウェルテル効果は、影響を受けやすい人に現れるものであるとされています。

では、ウェルテル効果の影響を受けやすい人とは、どのような人なのでしょうか?ウェルテル効果の影響を受けやすい人の特徴を紹介します。

自殺願望のある人

Pills Death Danger - Free photo on Pixabay (479474)

元々自殺願望がある人は、自殺報道などを見てウェルテル効果の影響を受けやすくなります。自殺報道によって、その人の中にあった「死んでしまいたい」という願望が刺激されてしまうことなどが原因になります。

自殺願望のある人は、自殺をしようかどうかという狭間で常に揺れています。そのような精神状態の時に、自殺報道を見てしまうと、自殺をしようという願望の方に傾いてしまい、そのまま自殺してしまいます。

自殺をした人に憧れのようなものを感じてしまう人もいます。

自殺者と同じ悩みを抱えている人

Desperate Sad Depressed - Free photo on Pixabay (479478)

自殺した人が遺書などを残している場合や、自殺前の行動などから何故自殺したのか判明することがあります。自殺をした理由を知って自分に共通するものがあると感じる人は、ウェルテル効果を受けやすい人になります。

自殺した人と同じような悩みを抱えている人は、自殺した人に自分を自然と重ねてしまいます。その為、「私も死んだ方が楽になれるかもしれない」などと思い悩んでしまうようになります。

自殺した人と同じ境遇の人は、ウェルテル効果の影響を受ける傾向があります。

自殺者の年齢や性別に類似点がある人

Woman Blond Portrait - Free photo on Pixabay (479479)

ウェルテル効果によって自殺者が多発してしまう時は、自殺者と同じくらいの年齢や同じ性別の人が多い傾向があります。若い女性が亡くなった場合は、10代から20代の近しい人がウェルテル効果を受けやすくなります。

年齢や性別に類似点があると、先に述べた通り自分と自殺者を重ねてしまうようになります。自殺者と共通点が多ければ多い程、ウェルテル効果の影響を受けやすくなります。

その為、年齢や性別などの共通点がある人は、ウェルテル効果の影響が出やすい傾向があります。

自殺者のファン

Audience Concert Music - Free photo on Pixabay (479480)

自殺者が有名人である場合、自殺者の熱狂的なファンはウェルテル効果の影響を強く受けてしまうことが多くなります。ファンによるウェルテル効果の影響では、自殺者の後追い自殺をするケースがあります。

自殺者が亡くなったショックから、自殺者の後を追いかけたい衝動に駆られて自殺してしまいます。また、自殺者に強い憧れがある場合、自殺方法などを模倣して自殺するケースもあります。

有名人が亡くなった際は、ファンによるウェルテル効果の自殺現象が最も多く見られます。

心理学ではどう見る?何故ウェルテル効果が起こるのか

Mental Health Wellness Psychology - Free photo on Pixabay (479483)

ウェルテル効果の影響を受けやすい人について紹介しました。ウェルテル効果は、自殺者と自分を重ね合わせることが出来る共通点を持っている人や、自殺者のファンなどが影響を受けやすいことが分かりました。

ウェルテル効果は、社会学者が証明した事象であることは前述しました。では、心理学の観点では、ウェルテル効果とはどのように説明することが出来るのでしょうか?

心理学でウェルテル効果はどのように説明することが出来るのか、詳しく解説します。

ウェルテル効果は社会的学習理論で説明出来る?

Woman Look Wondering - Free photo on Pixabay (479485)

社会的学習理論とは、「人は他人の観察し、他人の行動などを模倣することで新しい行動を学習し、自分のものにすることが出来る」という理論のことを指します。獲得するものは新しい行動だけではなく、習慣や価値観なども該当します。

社会的学習理論以前は、学習は本人が直接体験しなければ成立しないとされていました。しかし、間接的に観察するだけでも、学習は成立するとしたのがこの理論になります。

ウェルテル効果も自殺者を模倣することから、この理論で説明出来るのではないかと言われています。

観察学習とは

Girls Lesbians Best Friends - Free photo on Pixabay (479490)

観察学習とは、他人の行動の結果を観察することで学習する方法のことを指します。観察学習では、あくまで他人の行動の結果から学ぶことを指しており、他人の行動を模倣して学習することではないとしています。

観察学習では「注意・保持・再生・動機付け」の4つの過程を経ることで学習が成立するものであるとされています。ウェルテル効果では、自殺者に注目することで脳にインプットされ、動機付けされることで実際に自殺を実行します。

モデリングとは

Animal Sea Bird Wild - Free photo on Pixabay (479492)

モデリングとは、模倣や同一視を包括したものとして提唱されたものです。モデリングでは、他人の行動やその行動による結果を観察することで、本人の行動などに変化が生じるようになることを指摘しています。

モデリングでは、観察対象に注目し、観察対象の行動を記憶、模倣してみた後に遂行する為のモチベーションを高めることで成立するとされています。

このモデリングのプロセスが自殺報道を見た人々の中で行われることで、ウェルテル効果の事象が発生するのではないかと言われています。

代理強化とは

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