2019年4月20日 更新

「貴様」の元々の意味とは?悪い意味になった経緯と元の使い方も

「貴様」など使用しようものならば、いらぬ騒動を招きかねない昨今でありますが、「貴様」は過去においてはとてもいい言葉でありました。字面からそれは予想できるものの、経緯などはご存じないという方は多いようです。その経緯に関してや「お前」などについてもご紹介します。

目次

現在でも”おんまえ””みまえ”として使われている

Chinese Japanese Lantern - Free photo on Pixabay (200885)

「御前」は「お前」としては敬いがなくなってしまいましたが、人々が常用することのなかった、「おんまえ」や「みまえ」などと言った言葉は、現在でも高い敬いの意味が込められております。

ただし、使用される頻度は極めて低く、神仏に関わる職業や天皇家に仕える方々など以外での使用は殆ど見られません。それらの言葉を使用せずとも「~様」や「~氏」で敬意を示すことができるからであります。

現在での使用は古来よりの形式に則った使用以外の場面ではみられない言葉と言えるでしょう。

こちらも江戸初期までは、良い意味で使われていた

Restaurant Flirting Couple - Free photo on Pixabay (200886)

江戸時代までには、神仏を敬う言葉として使用されていた「御前」。その当時における使用は神聖なものであったことでしょう。仰々しく使用する「御前」がどれほどの存在感を示していたかは、想像することしかできませんが、さぞ、価値あるものであったでしょう。

その後の時代で貴人を示す言葉となった辺りから、「御前」に込められた神聖さは失われてしまったと言えます。

現代においては、最早、神聖さの欠片も存在しませんが、たまには仰々しく「御前」と使用してみるといいかもしれません。「お前」と呼称してきた、近しき者の有り難みを思い出すことになるでしょう。

貴様と似た意味の二人称と意味が変わった二人称など

Market Vegetables Garden - Free photo on Pixabay (200887)

「貴様」や「お前」のように人を表す言葉については、過去と現在では大きな変化がみられます。人々に愛されて。多く用いられたからこそなのでありますが、少し悲しさを覚えてしまうものであります。

本項で取り上げるのは「手前」、「君」、「あなた」、「自分」、「おんどりゃ」、「あんた」であります。使い慣れている言葉もあれば、全く使用しない言葉もありますが、それぞれに魅力的な言葉であります。それらを、一つ一つをご紹介します。

「手前(てめぇ)」の使い方

Bamboo Forest Nature - Free photo on Pixabay (200889)

「手前」は「てまえ」や「てめぇ」という読みで使われている言葉であります。この言葉の意味は自身の前や自身の元であるのですが、その使用される領域は極めて広いものとなっております。

例えば、「一番手前の本を取ってくれ」など、自身の近くにあるものを示す使用や、「言い出した手前、引き返せない」などの、自身の体裁を表す言葉としても用いられ、「お手前拝見」などと言った技量、腕前を表した意味でも使用されています。

この他にも、「手前」には多くの意味合いがあるのですが、相手を呼称する意味の手前について述べさせて頂きます。

自身の前にいる人に対し「てまえ」や「てめぇ」を使用する「手前」を時代劇などで耳にされたことはあることでしょう。こちらの意味は今で使用されますが、他の意味合いと混同することもあって、現在での使用頻度は極めて低いものとなっております。

「てめぇ」と言う言葉は粋を感じる言葉でありますが、「てまえ」に比べ品がなく、その「てまえ」でさえ、相手を下にみた言葉となっていますから、こちらも「貴様」同様、使用は控えるべきであります。

「君」も親しい人や目下に人に

Japanese Garden Temple Pagoda - Free photo on Pixabay (200890)

「君」は「貴様」や「お前」と同じく相手を敬った言葉であります。現在では「きみ」という読みの他に「くん」などの読みで使用が見られる言葉であります。

「君」は「君主」など高い地位にあるものを表す言葉でありました。日本の国歌のタイトル「君が代」にも使用されているように、日本においての「君」は天皇を表す言葉であると言えるものであります。

しかしながら、一般人が使用する「君」は「くん」の影響か、同輩か目下の者を指して使用する言葉となっております。「貴様」や「お前」よりは品位が高い呼び名となっていますが、少しばかりの疎外感を感じる言葉ともなっています。

「あなた」の種類

Lanterns Asian Japanese - Free photo on Pixabay (200892)

「あなた」は「貴方」であり、同等か目下の相手に使用する、丁寧に親しみを込めて贈る言葉であります。他の言葉と比べると、とてもいい印象を保ち続けていると言えますが、やはり過去と比べると品位は落ちています。

「あなた」には「貴方」の他に「貴男」、「貴女」と性別に分けた漢字も存在し、「彼方」という漢字で使用すると、遠くのものを示す言葉となります。また、「きほう」という読みも存在し、こちらは相手を敬った上でその相手の住居、住所を言う言葉となります。

関西でよく使われる「自分」

Japanese Flowering Crabapple - Free photo on Pixabay (200893)

「自分」も使用する場面の多い言葉でありますが、自分自身を指し示す意味での使用は「私」や「俺」などが存在するため、使用する機会は少ない言葉であります。しかしながら、この言葉を使用する方は関西では多いようです。

この「自分」が人々に広まった大きな要因は軍隊で使用する言葉であったからでしょう。「貴様」と呼ぶ一方、「自分は」などといった使用していたのであります。このことから、プライベートにおいての使用は、男性なりの敬いの心がこもった言葉とも言えます。

時代劇や舞台で使われる「おんどりゃ」

Sun Mt Fuji Japan - Free photo on Pixabay (200894)

「おんどりゃ」は「おんどれ」の変化形であり、「おどれ」や「おどりゃあ」、「おんどりゃあ」などの活用法があります。この言葉は大阪弁であり、その近辺で使われていた方言であります。

威嚇としての意味合いが強い「おんどりゃ」は時代劇などの作品でみられる言葉でありますが、現在でも使用している方はいらっしゃいます。

作品中でみる「おんどりゃ」は格好いいと思う方もいらっしゃるでしょうが、実際に使うのはあまりよくないことを招きかねないものであります。ご使用はご計画的に。

あんた

Japan Train Railroad - Free photo on Pixabay (200895)

「あんた」は「あなた」の砕けた言葉であり、「あなた」に比べると粗雑な言い回しと言える言葉であります。昭和などの時代を舞台とした作品ではよく使用がみられ、実際に多くの場面で使用されていた言葉であります。

ですが、「あんた」はどちらかというと、相手を下げた言葉であり、現代の通常の会話で使用するはあまりおすすめできない言葉であります。「貴様」などよりは遙かにマシであると言えますが、基本的には避けて使うべき言葉であります。

時代とともに言葉は変化していく

Aso Komezuka Sea Of Clouds - Free photo on Pixabay (200896)

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